
そして今回紹介するのは、「500」のSUV版たる「600」(セイチェント)。世代としては2代目にあたり、初代(1955~1982年)はレースで活躍したほか、小型ミニバンの始祖ともいえる「600ムルティプラ」も発売された名車だ。最新の「600」はどんなクルマなのか。BE-PAL編集部員が東京~富士五湖を走ってテストした。
BE-PAL視点でソト遊びグルマ候補をレビュー!
フィアット「600」ってどんなクルマ?

「600」は全長4m強の小型SUV。日本では2024年秋に電気自動車の「600E」がまず発売され、今回ハンドルを握ったのは2025年5月に追加導入された「600ハイブリッド」。街乗りを前提としたつくりで駆動方式も前輪駆動となるが、ハッチバックを備えた5ドアの車内は乗車空間、荷室ともにしっかりと確保され、ソト遊びにも対応する。


価格は受注生産のベースグレードが365万円で、今回テストしたのは装備が充実した「ラ プリマ」というサブネーム付きのグレード。先着600台がローンチキャンペーンで399万円、以降は419万円で販売される。
愛されるカタチを現代的な手法で表現


「600ハイブリッド」は一見してわかる、丸っこいクルマだ。戦後イタリアの庶民に愛された旧世代の面影が、そうさせている。室内空間の広さを優先させるなら四角いカタチにするのがベストだが、4WD走破性を含めたギア感あふれるSUVの世界は別のクルマに任せて、「600ハイブリッド」は楽しく遊ぶ、ワイワイ乗ることに夢を重ねたいクルマだ。
まぶたが付いているようなヘッドライトの効果で、とても優しい顔に見える。主張強めのギラついたSUVやミニバンが多いなか、これは貴重な存在だ。誰もが楽しく過ごしたいフィールドにおいて、その姿は乗り手の心を代弁してくれるだろう。

魅力は雰囲気だけではない。外観同様、随所に丸を基調としたデザインを用いる運転席周りはシンプルな設計で、視認性、操作性ともに良好。前席中央の収納ポケットは深く、後席の足元空間にも余裕がある。
3人がけの後席は2分割式。背もたれをたたんでも荷室との水平は保たれないが、そのぶんシートにボリュームがあり、多人数乗車でも楽しくでかけられるに違いない。
高速道路での安定感はピカイチ

今回は東京から東名高速で御殿場を経由して山中湖へ行き、そのあと河口湖を通って中央自動車道から東京へ戻るツーリングを敢行した。「600ハイブリッドのパワーユニットは、1.2リッターの3気筒ターボエンジン(100kW=136PS)とバッテリー容量0.89kWhのモーター(最高出力16kW=22PS)が組み合わされる。
数値でおわかりのようにモーターは決してパワフルではないものの、小排気量で高効率なエンジンを絶妙にアシストし、きびきびとよく走る。特に高速クルージングでは安定感抜群で、遊び疲れた帰りのロングドライブに効くのは間違いない。

ひとくちにソト遊びグルマといっても、とにかくたくさん積む人から数か月に一度ファミキャンに行く人まで、需要はさまざま。パートナーが家族の送迎や買い物で普段使いすることも多いとなれば、むしろ日常で光るポイントが重要になってくる。
その点、「600ハイブリッド」は街でもフィールドでも冴えわたる個性があり、我慢しなくて済むほどの十分な実用性を兼ね備えている。ファッション的価値観も大切にしたい人にとって、このクルマは選択肢のひとつになると思う。
【FIAT 600 Hybrid La Prima】
- 全長×全幅×全高=4,200×1,780×1,595mm
- ホイールベース:2,560mm
- 最小回転半径:5.3m
- 車両重量:1,330kg
- 駆動方式:前輪駆動
- エンジン:直列3気筒ターボ
- エンジン最高出力:100kW(136PS)/5,500rpm
- エンジン最大トルク:230N・m/1,750rpm
- モーター:交流同期電動機
- モーター最高出力:16kW/4,264rpm
- モーター最大トルク:51N・m/750~2,499rpm
- WLTCモード燃費:23.0km/ℓ
- 車両本体価格:¥5,560,000~(税込み)
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