
引っ張ると締まる結び方

物を固定したり、テントを張ったり、荷物をまとめたり。ロープワークはキャンプ地で過ごしたりクライミングやトレッキングなど、フィールドでの活動で非常に役立ちます。様々な結び方がある中で、力を加えると結び目がキュッと締まり、簡単に緩まない結び方は、知っておくと安心なテクニックです。
今回はそんな便利な「引っ張ると締まる結び方」を2種類をご紹介し、用途と結び方の手順を解説します。
ナットヒッチ

ポールや木に結び、道具を繋いでおきたいときやウェアを干したいときなど、用途が広い結び方がナットヒッチ。非常にシンプルで実用的な結び方で、締めれば締めるほどしっかりと固定されるため、覚えておいて損はありません。
ナットヒッチの用途
ナットヒッチはハンモックやランタン、重い荷物を木の枝などに吊るすときや、道具を立木などに固定するのに適しています。高い固定力を発揮するので、安心して道具を繋ぎ止めておくことができます。
ナットヒッチの結び方
ロープを対象物の裏から左に通す

まず、ロープを柱やポールなど、固定したい対象物の後ろから回し、手前に持ってきます。
末端の紐を下に下ろす

次に、右側にあるロープの末端を下向きに垂らします。
左の紐を前から右に交差するよう移動させる

左側にある本線を、末端の上を通過するように、右側へ持っていきます。このとき、本線と末端が交差し、輪っかができます。
末端を下から輪に通す

先ほど作った輪の下側から、ロープの末端を上に通します。このとき、結び目となる部分を形成します
前から下に下ろす

輪っかから出した末端を、今度は手前(上)から下に向かって垂らします。
本線の裏から右へ通す

次に、ロープの末端を、本線の下(裏側)を通すようにして、右側へ持って行きます。
上から右の輪に通し、引き締める


最後に、ロープの末端を、右側にできた小さな輪っかの上側から下側へ通します。この状態で、本線と末端の両方をしっかりと引っ張ると、結び目がキュッと締まります。
水気をしっかりと切る
結び終わったら、結び目付近のロープにたるみがないかを確認し、全体をしっかりと引き締めます。濡れたロープは緩みやすいので、水気をよく拭いてから結ぶようにしましょう。
エバンスノット

物をしっかりと固定したい時や、ロープの末端を輪にして使いたい時に便利な結び方がエバンスノットです。結んだ際にできる輪っかのサイズを調整できるというのが特長で、解かずに様々な道具を繋いだり固定することができます。
エバンスノットの用途
エバンスノットは、箱や荷物にロープをかける際、エバンスノットで輪っかを作ったり、ナットヒッチと同様に、物を吊るす際にも使用できます。
エバンスノットの結び方
末端の紐を上に折り返す

まず、ロープの末端を、ロープの本線と平行になるように、上に向かって折り返します。
長い方の紐の前から下に下ろす

次に、折り返した末端の上に、ロープの長い方(本線)を上から下に交差させます。
輪の裏から上に移動させる

本線を、先ほど作った折り返しの輪の下側から上へ通します。
前から下に下ろす

輪っかから出した本線を、再び手前(上)から下へ向かって垂らします。
紐を人差し指に引っ掛ける

次に、結び目を作りたい位置を人差し指で押さえ、ロープを指に引っ掛けるようにして持ちます。
さらに輪の裏から上に移動させる

本線を、再び折り返しの輪の下側から上へ通します。このとき、最初の通し方とは逆方向に通します。
下に下ろして前に持っていく

輪っかから出した本線を、下から手前に持ってきます。
輪っかに右から左方向に通す

最後に、新しくできた小さな輪っかにロープの末端を右から左へ通します。
結び目ができたら引き締める

末端を輪っかに通したら、結び目全体をしっかりと引っ張って引き締めます。このとき、結び目がきれいに整うように、両方のロープをバランス良く引っ張ります。
引っ張ると締まる結び方がわかれば安心!

いかがでしたか。今回はナットヒッチとエバンスノットの、引っ張ると締まる結び方を2種類ご紹介しました。どちらも一度覚えれば様々なシーンで役立つ便利なロープワークで、キャンプや登山での活動をより快適にしてくれます。
どちらも一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、繰り返し練習することでマスターできます。いざという時に困らないよう、ぜひこの2つの結び方を覚えて、ロープワークのスキルを向上させてみましょう。