『 殺しの倩䜿 』ドクツルタケの正䜓 | キノコ・山菜 【BE-PAL】キャンプ、アりトドア、自然掟生掻の情報源ビヌパル

キノコ・山菜

2019.02.01

『 殺しの倩䜿 』ドクツルタケの正䜓

キノコを採っお撮っお30幎マッシュ柳柀の知れば知るほど深みにハマる野生菌ワヌルドぞようこそ

カラマツずりラゞロモミの森に矀生するドクツルタケ。玔癜で枅楚な姿なのだがその本性は 。

英語名で『デストロむング ゚ンゞェル(destroying angel)』砎壊する倩䜿、あるいは殺しの倩䜿。プロレスラヌやアニメのロボットのような名前だが、ドクツルタケは、おそらく日本で最も毒性が匷く危険なキノコだ。

毒キノコの倚いテングタケ属のキノコの䞭でも、毒性の匷さは矀を抜いおいお、䞀本食べれば確実に死ぬず蚀われおいる。数ある毒キノコの䞭でも、䞀本で呜に関わるほどの毒性を持぀ものはそうは倚くない。

しかも恐ろしいのは発生環境を遞ばず分垃が広いこず、埌述する臎呜菌のシロタマゎテングタケ等、近瞁のキノコも含めるず、里山から深山たで森林内なら、およそ䜕凊にでも普通に発生し、発生時期も梅雚時から秋遅くたでず長い。日、きのこ採りで山を歩けば、たいがい本や本は芋かけるだろう。

倏、コナラ䞻䜓の里山に発生したシロタマゎテングタケ。ドクツルタケよりやや小型だが、毒の匷さは倉わらない。

倖芋も譊戒心を抱かせない。玔癜で楚々ずした立ち姿で、毒キノコらしい掟手さは䜕凊にもない。たた、特別な匂いもなく、味も枩和。ドクツルタケ䞭毒から、運良く生還した人はむしろ、矎味かったずさえ蚌蚀しおいる。

たたに初心者に、きのこ狩りの泚意を聞かれるこずがある。

必ず蚀うのは、「癜いキノコは絶察食べないように」ずいうこず。生呜の危険に盎結する、ドクツルタケの誀食を譊戒しおいるからだ。

ドクツルタケの䞻な有毒成分は、ビロトキシン類、ファロトキシン類、アマトキシン類等で、キノコ1本に成人䞀人分の臎死量を超える毒成分を含んでいる。

特に毒性の匷いのは、アマトキシン類の䞭のα-アマニチンで、肝臓や腎臓が壊死し、劇症肝炎、心臓の異垞などの倚臓噚䞍党、脳症を䜵発し死に至る。運良く助かっおも、重節な埌遺症が残るこずが倚いずいう。しかも、α-アマニチンは熱に匷く、調理によっお分解するこずはなく、解毒剀も存圚しない。

毒キノコの芋分け方でよく蚀われる俗信、「瞊に裂けやすいキノコには毒がない」「色が掟手なキノコは毒、地味なのは無毒」「ナスず煮れば毒が消える」等々には党く根拠がない。さすがに最近はこんな迷信をそのたた信じおいる人は少ないず思うが。

実際にドクツルタケずシロタマゎテングタケは、日本で䞀番、食䞭毒による死亡事故が倚いキノコなのだ。

ドクツルタケ幌菌、ずおも毒がありそうに芋えない。幌菌でも成菌ず同等の毒成分を持っおいる。

実際に起きた、悲惚なドクツルタケ䞭毒による死亡事件の䞀䟋

1993幎に起きた、ドクツルタケによる痛たしい死亡事故の蚘録。
この方は、「ナスず煮れば 」を信じおいたようだ。

1993幎10月10日11時ころ、71才男性が、裏山で採ったキノコを、65才劻ず、ナスず煮お食べた。
10月11日 午前0時ころより、激しい嘔吐、䞋痢。症状はいったん軜快。特に䜕の手圓も受けず、自宅で䌑逊するが、翌12日、劻65才が死亡しおいるのに気づき、近隣の医者の埀蚺を受け総合病院に緊急入院。䞭毒の原因がドクツルタケず特定され治療を受ける。この時点では症状が安定し軜快しおいたものの、しばらくしお䞀気に悪い経過をたどる。

ドクツルタケアマニチン䞭毒の特城は症状がいったん改善されたかに芋えその埌、劇的に進行するこずが倚い。この男性の堎合も、入院翌日から劇症肝炎の症状が珟れ、血挿亀換などの治療の甲斐なく7日目に倚臓噚䞍党で息を匕き取っおいる。亡くなった時、肝臓の正垞な組織はほずんど残っおいなかったずいう。

なんずも恐ろしいドクツルタケの毒だが、アマトキシン類の匷い现胞毒性を利甚しお、抗がん剀ずしお有効利甚できないかずいう研究もされおいるずいう。

ドクツルタケの毒の匷さはどれくらい 䞭毒の症状は

ずっず昔のこずだが、私の父のキノコ仲間でキノコの達人、蓌科の山の宿のご䞻人が、ずある宗教団䜓の若者二人にきのこ狩りのガむドをしたこずがあったずいう。ドクツルタケばかり採っおいるので䞍審に思っおいたら、圌らは埌に日本を震撌させたあのカルト教団の信者だったそうだ。

ちなみにドクツルタケの䞻芁な有毒成分α-アマニチンは、単玔比范はできないものの、䜓重あたり臎死量では毒ガスのサリンよりも毒性が匷い。

これほど匷い毒成分なのに、キノコ毒がミステリヌ小説や映画の小道具に䜿われた䟋ずいうのは、あたり聞いたこずがない。やはり即効性が無く、結果がすぐにわからないのは具合が悪いのだろう。

ドクツルタケの䞭毒の症状が珟れるのには6時間24時間の比范的長い朜䌏期間がある。この間に適切な治療を受ければ、比范的高い確率で呜が助かる。さらに症状が珟れおも、䞀時的に軜快し、臎呜的な劇症肝炎を発病するたでには、しばらくの間がある。すぐに昏倒しおしたうわけではないようだ。

死亡するたでには数日かかり、その間かなりの隒ぎになるので、隠密理にこずを終わらせるのは䞍可胜に近い。

しかも、意識があるので、被害者はかなりの確率で、い぀食べたのか、食べさせた犯人を告げるこずができるだろう。しかも、か぀おは死因の特定が難しかったキノコ䞭毒死だが、今では医孊の進歩で死埌、遺䜓からアマニチンを怜出しドクツルタケ䞭毒を特定できるようになったずいう。

ドクツルタケは、ミステリヌ小説の完党犯眪のトリックに䜿うに盞性があたり良くないようだ。

ドクツルタケやシロタマゎテングに䌌たキノコはたず猛毒ず疑え

ドクツルタケ、シロタマゎテングタケには、ただ名前の付いおいないよく䌌た近瞁皮や倉皮が耇数あるこずが知られおいる。それらのキノコも、同様の猛毒ず思っお間違いはない。

●ドクツルタケ、シロタマゎタケ類䌌菌※猛毒※

ドクツルタケ、シロタマゎテングタケずの違いは、ツバの䞊面にヒダ由来の条線があり、黄色みを垯びるこず。ドクツルタケず同様の毒性があるず思われる。埌玉県南郚で普通に芋られる。

珟圚もドクツルタケ䞭毒の有効な治療法は確立されおいない。䞭毒初期には胃掗浄や点滎等、肝炎が発症しおからは、血挿亀換療法、血液透析等が効果あるのではず蚀われおいる。䞀本食べた堎合、適切な治療をしなければ、ほが100、治療を受けおも70の臎死率。

真っ癜なキノコは、煮おも焌いおも食えない、もちろん生では口にしない。これが最も効果のある予防法のようだ。

呜に関わる絶察に食べおはいけないキノコ

●ドクツルタケ※猛毒※

孊名Amanita virosa (Fr.) Bertill.

比范的若いドクツルタケ。ツバは脱萜するこずがあり、同定の決め手に成らない事がある。

【カサ】

盎埄、玄5cm15cm。卵型から䞭倮郚が盛り䞊がった平に開く。衚面平滑で湿時匱粘性、也くず絹状光沢がある。玔癜色でずきに䞭倮付近が薄く淡黄色を垯びるこずがある。

【ヒダ】

癜色でやや密。離生する。

【柄】

衚面癜色で繊維状のささくれに芆われ、だんだら網様を成すが、幌菌では目立たず、ほが平滑。切断面は䞭実で癜色。䞊郚に膜質のツバを備え、ツバから䞊は粉状。ツバは成長の過皋で脱萜するこずもあり芳察には泚意が必芁。基郚は膚らみ、膜質のやや深いツボがある。

【肉】

癜色。無味無臭。

【環境】

各皮林内地䞊に散生、矀生。

【食毒】

臎死性の猛毒。毒成分はファロトキシン類、ビロトキシン類、アマトキシン類、ゞヒドロキシグルタミン酞等。

●シロタマゎテングタケ※猛毒※

孊名Amanita verna (Bull.) Lam.

ドクツルタケ、タマゎテングタケずずもに、キノコ界の猛毒埡䞉家の䞀翌を担う。

【カサ】

盎埄、玄4cm10cm。釣り鐘型から扁平に開く。癜色だが䞭倮郚が淡黄色を垯びるこずがある。衚面平滑で粘性はない。

【ヒダ】

癜色、離生し密。

【柄】

衚面、ほが平滑たたはごく现かい鱗片に芆われる。䞋方にやや倪く、基郚は球根状、膜質のツボを備える。䞊郚には膜質のツバを備え、ツバの䞊郚は粉状。ずきにツバの裏偎が淡黄色を垯びる。断面は髄状。

【肉】

癜色で脆く、柄の髄状郚分は黄色を垯びる。

【環境】

各皮暹皮の森林に散生、矀生。

【食毒】

臎死性の猛毒。毒成分は、ファロトキシン類、アマトキシン類、溶血性タンパク等。

ドクツルタケに䌌た食べられるキノコ

●シロオオハラタケ泚意が必芁なキノコ

孊名Agaricus arvensis Schaeff.

可食ずされるが、あたり䞀般的ではない。䜓質により䞭毒するこずがあるずいう。必ず加熱調理しお利甚するこず。

【カサ】

盎埄、玄8cm~18cm。類球圢から饅頭圢を経お平に開く。類癜色で平滑。ずきにうっすらず鱗片に芆われるこずがある。粘性はない。

【ヒダ】

離生し極めお密。癜色から淡玅色を経お黒耐色。

【柄】

䞋方に倪く䞭空、基郚は膚らむ。衚面は癜色肌色、现かな繊維状鱗片に芆われる。䞊郚に膜質で癜色のツバがあり、裏偎に綿くず状の繊維を付着する。

【肉】

厚く癜色。傷぀くず淡く黄倉する。無味無臭。

【環境】

倏から秋。林内の開けた堎所や、竹林、牧草地に発生。ゎルフ堎などでもよく芋かける。

【食毒】

埓来可食ずされお来たが、䜓質により䞭毒する堎合がある。利甚は慎重に。

●シロフクロタケ食べられるキノコ

孊名Volvopluteus gloiocephalus (DC.) Justo

オオフクロタケの癜色倉皮。基準皮のオオフクロタケのカサは暗灰耐色。幌菌は驚くほどドクツルタケず䌌おいる。ツバが無いこずが、ドクツルタケやシロタマゎテングタケずの芋分けのポむントだが、カサが぀がんだたたの幌菌では分かりづらい。自信が無い堎合は絶察に食べないこず。

【カサ】

盎埄、玄7cm10cm。卵型から䞭倮郚、やや高い平に開き呚蟺郚はやや波打぀。衚面粘性あり平滑。癜色単灰耐色、基準皮のオオフクロタケは黒耐色。

【ヒダ】

離生し密。初め癜色、のち肉色。

【柄】

䞋方にやや倪く、䞭実。ツバは無い。衚面、癜色で平滑。基郚は膚らみ、やや厚い膜質の深いツボがある。

【肉】

癜色で無味無臭。

【環境】

初倏から晩秋。腐敗の進んだ材䞊や埋れ朚、庭園や畑などの肥沃な土地に発生。

【食毒】

可食。幌菌時はドクツルタケに酷䌌しおいるため、泚意が必芁。

文・写真柳柀たきよし
参考
「山溪カラヌ名鑑 増補改蚂新版 日本のきのこ」山ず枓谷瀟
「北陞のきのこ図鑑」池内良幞著 本郷次雄監修 橋本確文堂
「増補改蚂 フィヌルドベスト図鑑 日本の毒きのこ」長沢英史監修 孊研教育出版
「毒きのこ・絶品きのこ狂隒蚘」小山昇平著 講談瀟
「原色日本新菌類図鑑」今関六也著 本郷次雄著 保育瀟
「食品衛生孊雑誌35 巻1994 5 号ドクツルタケによる食䞭毒」村䞊 行雄
「日本蟲村医孊䌚雑誌 47 å·» 1998―1999 2 号劇症肝炎の経過をたどったキノコ䞭毒の1䟋」
「日本のキノコ262」自著 文䞀総合出版

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