松茸も見つかる!美味しいきのこを探しに行くアメリカの森のハイキング | キノコ・ハンティング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.10.29

    松茸も見つかる!美味しいきのこを探しに行くアメリカの森のハイキング

    森のあちこちにトレイルが張り巡らされ、キャンプ場も豊富なアウトドア天国、アメリカ。毎年秋になると、みんな大好きな森の味覚、きのこを見つけに家族で郊外へハイキングに出かけています。アメリカやカナダで松茸が採れることは、あまり知られていないかもしれませんね。採れる時期は地域やその年の気候によりますが、筆者の住むシアトル周辺では10月から12月までが最盛期です。本格登山せずとも、気軽にハイキングがてら、きのこ狩りが楽しめます。

    長い雨の始まりがきのこ狩りシーズン幕開けのサイン

    トレイルの途中で、森の中の巨木群に圧倒される。

    シアトルのあるワシントン州は、カスケード、レーニア、オリンピックなど自然豊かな山々が広がり、9月から秋に入り雨がどっさり降ったあとの森では、さまざまなきのこがにょきにょきと姿を見せ始めます。

    森には誰でも出入りできるハイキング用のトレイル、キャンプ場、公園が多くあり、我が家も地元の人々同様に、毎年秋になると車で2時間くらいかけて出かけています。一面を針葉樹林が覆う森には、日本ではあまり見られないような巨木もたくさん。緑の中を歩いているだけで、心身ともにリフレッシュできます。

    北米で食べられる高級きのこ

    フルーティーな甘みと香りを持つ高級キノコ、シャントレール。

    さて、きのこ狩りですが、個人で消費できる量を採集する分には、特にルールやライセンスはありません。雨が降り、きのこが生え始めたら争奪戦開始!

    我が家のお気に入りはシャントレールと呼ばれるきのこ。日本語ではアンズ茸、フランスなどヨーロッパではジロールとも呼ばれる種類の仲間です。群生していることが多いので、ひとつ見つけたら、周りをよく見渡すのが採取のコツ。

    シアトルでは市場やスーパーマーケットにも並ぶポピュラーなきのこですが、500グラム当たり20ドルから30ドル(3,000円から4,500円)と、なかなかのお値段。シーズンが7月から11月までと、松茸よりちょっと早めです。

    北米でよく見られる大ぶりの松茸。

    そして松茸は、アメリカでも和食ブームで「マツタケ・マッシュルーム」として人気の食材に。日本の松茸とちょっと違い、色が白っぽく、サイズもかなり大きいのが特徴です。シアトル界隈は戦前から日本人、日系アメリカ人の間で松茸が採れることが知られ、現在も松茸狩りは大人気のアウトドア・アクティビティーです。ひょっこり地面から顔を出す、フレッシュな松茸を見つけたときは、喜びもひとしおです。

    そのほかのきのこは食べられる? 食べられない?

    要注意!!これは毒性のテングタケ。一見、松茸のようだが、じつは違うのだ。

    もちろん、きのこ狩りにはリスクもあります。シャントレールや松茸と見た目がそっくりでも食べられない、またはおいしくないきのこが近くに存在します。わが家ではもっぱら食べられるきのことして、シャントレールや松茸を選んで採取していますが、過去には1回だけ、イタリアの高級きのことして知られる、ポルチーニ茸を見つけたことも。

    きのこがまったく見つからないということはあまりないくらい、シアトル近郊は天然ものの宝庫。ほかにも、美しい紅葉、巨大ナメクジ、蜂の巣の残骸など、森の中では発見がいっぱい。小さな子どもも拾った棒を手に、どんどん先を歩いてくれて、親子で良い運動になります。

    きのこはナメクジにとっても大好物?

    ただ、今年のシアトルは9月どころか10月に入っても雨が降らず、それどころか記録的な暑さが続き、10月にして華氏88度C(摂氏31度C)と、歴代2位の気温をマークしました。きのこ狩りへの影響も大きいかもしれません。

    アメリカでのきのこの食べ方は?

    鉄板とも言えるチキンのクリームソースは、シャントレールをふんだんに。

    採れたてのきのこは、表面の汚れを落としてすぐに調理。松茸は特に、虫が付きやすいのでよく確認することが必要です。アメリカできのこを使ってよく作られているのは、やっぱりパスタやリゾット。また、チキンやポーク、ビーフなど肉に合わせるクリームソース、前菜やワインのつまみにぴったりのマリネも一般的です。日本人の感覚では、きのこと言えば炊き込みご飯ですが、アメリカでは濃厚なフレーバーが好まれるようですね。

    松茸は、日本へのリスペクトを感じる和のアレンジも見受けられます。高級レストランや地産地消にこだわるシェフが料理に取り入れ、しょうゆやみりんなど日本らしい調味料が使われていることも。「マツタケ・ライス」のレシピが、グルメを扱うメディアで掲載されていたのにはビックリしました。

    大きめにスライスした松茸がたっぷり入るチャウダー。

    地元シェフによる松茸料理で、「これは!」と思ったのが、松茸のチャウダー。香り高い松茸を洋風に味わう意外な驚きと相まって、感動するおいしさでした。自宅でも早速再現! 冷蔵庫にあった残り野菜、ベーコンと一緒にスライスした松茸をバターで炒め、薄力粉を振り入れたところに、コンソメ、水、牛乳を加えて煮込むだけ。塩・コショウで味を調えたら、“ごくうま”松茸チャウダーの完成です。隠し味に味噌を少し入れるのも、アメリカのトレンド!

    今年は、このシアトルの異常気象でまだ食べられるきのこを見つけられていませんが、11月になって再チャレンジし、ぜひ松茸を採取したいと思っています。日本もきのこ狩りの季節到来、皆さんも家族や仲間と秋を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。

     

    私が書きました!
    アメリカ・シアトル在住エディター/ライター(海外書き人クラブ)
    ハントシンガー典子
    米シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。「サライ.jp」など日米のメディアで多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事する文筆家兼翻訳家でもある。海外在住日本人ライター集団「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員。

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