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    2025.11.29

    今の私たちに必要な視点とは? 140か国以上を旅した写真家・竹沢うるまさんの写真展で感じよう

    今の私たちに必要な視点とは? 140か国以上を旅した写真家・竹沢うるまさんの写真展で感じよう
    140カ国以上の国々を旅してきた写真家、竹沢うるまさんによる4年ぶりの新作写真展「Boundary | 中心」が、東京と大阪のキヤノンギャラリーで開催されます。同タイトルの写真集も同時に刊行されるというこのプロジェクトに、竹沢さんはどのような思いで取り組んできたのか、話を伺いました。

    「世界の“中心”とはどこにあるのか」と問いかける写真家のまなざし

    © Uruma Takezawa

    “世界は我々を中心に回転しているのか、それとも彼らを中心に回転しているのか。私達はいま一度、天動説と地動説の論争をやり直す時期に来ているのかもしれない”

    これまでに140を超える国々を旅しながら、鮮烈な写真の数々を撮影し続けてきた、写真家の竹沢うるまさん。2021年に発表された「Boundary | 境界」から4年を経て、満を持して発表される竹沢さんの新作写真展「Boundary | 中心」が、2025年12月に東京、2026年2月に大阪で開催されます。

    前作「Boundary | 境界」では、国境や民族など、人間の世界で対立関係を生み出しているものも、自然の時間軸や鳥のように俯瞰的な視点で捉えると、そこにある“境界”は意味をなさないのではないか……と考えながら撮影に取り組んだ、という竹沢さん。今回の「Boundary | 中心」は、私たちと異なる価値観や伝統を持つ人々の姿を見つめることで、そうした人々に対して私たちはどう接するべきか、と問いかける内容になっています。

    「もともと、“僻地”や“途上国”という言葉遣いがあまり好きではなく、そういう捉え方によって知らず知らずのうちに自分自身を“中心”にして物事を考えてしまうから、“境界”が生まれてしまうのではないか、という思いがありました。世界には“境界”なんてないし、“中心”もない。そういう意味では、前作の“境界”と今作の“中心”はつながっていて、ごく自然な流れで決まったテーマだと思っています」と、前作と今作に通底する思いについて、竹沢さんは語っています。

    © Uruma Takezawa

    「Boundary | 中心」の撮影で竹沢さんが選んだのは、インドネシアの東ジャワ州の火山、バリ島の葬礼と祭礼、インドのケララ州のテイヤム、ベナンのブードゥー教の祭礼、ペルーの雪と星の祭礼コユリティ、モンゴルでトナカイとともに暮らす遊牧民ツァータンなど。また、日本国内でも、三重県伊勢市のかんこ踊り、鹿児島県三島村の硫黄島のメンドン、黒島の面踊り、悪石島のボゼなどが撮影されています。

    「撮影対象は、私の写真家としての中心的なテーマである“大地”を基準に選びました。この場合の“大地”には、そこで伝統と文化を大切にしながら自然の一部として生きる人々のことも含まれます。今回はそれらの中でも、アニミズム(精霊信仰)的な要素が色濃く残る場所を選びました。それぞれの土地の“中心”を表現するため、日本人が想像できないような姿をした人々を探して旅しました。祭礼や儀式の多くは、非常にセンシティブなので、撮影時に気を遣う部分も多かったのですが、きちんとコミュニケーションを取って説明すると、みな受け入れてくれました」と竹沢さんは撮影を振り返ります。

    © Uruma Takezawa

    国内外での撮影の成果を写真展や写真集として形にしていく際、竹沢さんは「世界の“中心”とは、いったいどこにあるのだろうか?」という問いをビジュアルとしてどう伝えるべきか、という点を、もっとも意識して考えたそうです。そうしてこのプロジェクトに取り組むうちに、自分自身の内面にも変化があった、と竹沢さんは言います。

    「他者に対して、寛容になったと思います。自身と他者。自身にとっての“中心”が唯一のものだと思ってしまうと、他者との間に“境界”が生まれてしまう。でも、自身にも他者にもそれぞれの“中心”があるということを意識すると、両者の間の“境界”はなくなります。初めは、自分の中でもその感覚を明確にできない部分はありましたが、撮影を進めていくうちに、そうした考えが身についていった気がします。その感覚を持つと、単純に旅をするという行為が、この上なく充実したものになり、楽しくなっていきました」

    ともすると、差別や偏見、価値観や主義主張の違いによって分断されてしまいがちな今の世界で、私たちは、すべてを分け隔てなく見渡すことのできる視点を必要としているのかもしれません。竹沢うるまさんの「Boundary | 中心」は、そうした視点を得るための道標の一つになるのではないでしょうか。


    竹沢うるま
    1977年生まれ。写真家。出版社スタッフフォトグラファーを経て、2004年独立。2010年から2012年にかけて1021日103カ国を巡る旅を敢行し、写真集『Walkabout』(小学館)と旅行記『The Songlines』(小学館)を発表。雑誌や広告の撮影をしながら、写真集と写真展において自身の作品発表を継続的に行っている。2015年NYで開催された写真展「Land」は現地メディアに多く取り上げられ、評価を得る。2021年にはアイスランドの大地を捉えた『Boundary | 境界』(青幻舎)を発表し、新たな作品シリーズがスタート。世界各地を旅しながら写真を撮り、主なテーマは「大地」。そこには大地の一部として存在する「人間」も含まれる。第三回ナショナルジオグラフィック写真賞グランプリ受賞。大阪芸術大学客員教授。「うるま」とは沖縄の言葉でサンゴの島を意味し、写真を始めたきっかけが沖縄の海との出会いだったことに由来する。
    uruma-photo.com

    竹沢うるま 写真展「Boundary | 中心」

    キヤノンギャラリー銀座
    2025年12月9日〜24日
    休館日 日・月・祝日
    10:30〜18:30 | 入場無料

    キヤノンギャラリー大阪
    2026年2月17日〜28日
    休館日 日・月・祝日
    10:00〜18:00 | 入場無料

    ギャラリートーク:キヤノンギャラリー銀座
    2025年12月13日 14:00〜14:45 先着50名
    2025年12月20日 14:00〜14:45 先着50名

    竹沢うるま 写真集『Boundary | 中心』

    2026年1月発売予定 発行:青幻舎
    キヤノンギャラリー銀座での写真展開催中に先行販売

    山本 高樹さん

    著述家・編集者・写真家

    1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとその周辺地域に長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。近著に『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』(雷鳥社)、『流離人(さすらいびと)のノート』(金子書房)など。

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