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    2018.10.31

    【親子アウトドア】幼稚園児の夏休み編 高齢化率日本一の南牧村へ

    こんにちは、子連れライター渡部郁子です。幼稚園児の息子を連れて、平成最後の夏は、「ひと味違う田舎体験」をテーマに、おもしろい取り組みを行っている団体を取材しました。今回は、高齢化率日本一の村として知られる、群馬県南牧村へ。

    調べてみると、長野県南佐久郡にも「南牧村」があります。長野の南牧村は「みなみまきむら」、今回訪れる、群馬の「南牧村」は「なんもくむら」で、比較的近い場所に、読み方は違えど、同じ字を書く村があるんですね。

    群馬県南西部、長野県との県境に位置する南牧村は、車なら上信越自動車道の下仁田IC、電車なら上信電鉄の下仁田駅が玄関口となり、そこから20分ほど山道を入ったところにあります。ちなみに、下仁田ICと下仁田駅は、南牧村のお隣、下仁田町にあり、南牧村には高速道路のICも、鉄道の駅もありません。とはいえ、東京から約2時間という、比較的アクセスのよい場所に、豊かな自然が残る里山が広がっています。

    高齢化率日本一

    2015年の国勢調査で高齢化率60.5%を記録し、高齢化率日本一という不名誉で一躍有名になりました。2018年2月末時点で、人口は1920人。全国でいち早く消滅する可能性があると言われています。この村を舞台に、親子でホームステイしませんか?と誘われて、下仁田駅を訪れました。

    親子、または子どもだけの参加

    下仁田駅で待っていたのは、南牧村役場の担当者のみなさん。電車を利用して集まった参加者たちをバスに乗せ、昼食レストランへ移動します。古民家カフェのレストランで、参加者たちが一同に顔を合わせました。昨年から継続して参加している小学生のグループや、親子で初めてお世話になるという未就学男児とそのお父さん。中学生のグループもいて、昼食会場はにぎわっています。

    おにぎりと地元の素材で作られた滋味あふれる料理を味わったあと、デザートのすいかを食べながら、このあとの2泊3日の行程を確認し、村役場へ向かいました。

    南牧ホームステイ

    まったく知らない人の家に、2泊3日でホームステイするという思いきった企画内容です。今年は2回目、昨年好評だったので、昨年から継続して参加している人も多いのだとか。親子、または子どもだけの2~3名程度のグループで、ひとつのホームステイ先に滞在します。私は息子を連れて、初日だけ取材をさせていただきました。

    村役場から各ご家庭へ

    村役場に到着してすぐ、今度は車を乗り換えて、割り振られた各ご家庭へ、グループごとに送迎されていきました。昨年の参加者は、引き続き昨年お世話になったご家庭へ。「また来たよ」「よく来たね」と再会を喜び、家の中へ消えていきました。今年新しく参加する子どもたちも、初めて出会うホストファミリーに大きな声であいさつし、臆することなく溶け込んでいきました。

    少しして各家庭を訪問してみると、どの子どもたちも、ホームステイ先の家の近くで川遊びを楽しんでいました。家の前に遊べる河原があるって、すごい。お寺にホームステイする3人の男子グループは、「やな」づくりを教わっているところでした。ホストファミリーの皆さんは、都会では経験できない遊びを考え、大自然を舞台に一緒に遊び、楽しんでいるのが印象的でした。

    運営は有志の任意団体

    ホームステイの運営を担う「なんもくホームステイ実行委員会」の坂井さんは、「高齢化率日本一の村の活性化のために、自分たちが何をできるか」と考え、田舎に来てほしい人と、田舎に行きたい人をつなぐプログラムとして、ホームステイを思いついたのだそうです。そして、村の協力を得て昨年実施したところ、参加者も受け入れ側も満足度が高く、継続して開催することになったとのこと。ゆくゆくは、民泊のしくみなどをつくってこの地域を訪れる人を増やす取り組みへと広げたいと話していました。

    実行委員のみなさん。

    村長自らホストファミリーに

    南牧村の村長を務める長谷川さんのお寺では、運営委員のスタッフが寝泊まりする準備を進めていました。村長自ら、運営スタッフのホストファミリーとしてこの企画に参画しています。高齢化率の高い南牧村に危機感を持って様々な施策に取り組んできた長谷川村長は、「以前は村のいたるところでこんにゃくいもを生産し、村を支える主要な産業だった。品種改良で、平地でもこんにゃくいもが採れるようになった今、村に産業がない」と話し、このホームステイ事業について「若い世代が村を訪れる機会を作ることで、その人の人生の記憶に残る場所となることは大いに価値のあること。ホームステイで多くの子どもたちが南牧村に来てくれれば、そのうち、ここで事業を興したいと考える人も出てくるはず」と話し、期待を寄せました。

    南牧村を自分の田舎に

    毎年夏になると「ただいま」と行ける場所がある。都会の子どもにとって、それはとても嬉しいことに違いありません。川遊びや虫とりなどが楽しめる手つかずの自然と、「おかえり」と言ってくれる村民の温かいおもてなし。「旅行」ではなく「ホームステイ」という形で、訪れる子どもたちにも村民にも笑顔あふれる取り組みが、南牧村を訪れる人を増やしていき、村の消滅を防ぐ一助となるかもしれません。来年はあなたも、南牧村でホームステイを楽しんでみませんか?

    渡部写真 

    渡部郁子(わたなべいくこ)

    アウトドアナビゲーター、温泉ソムリエ。JFNラジオ「JOYFUL LIFE」ほか、山と温泉と音楽をテーマに「人生を豊かにする情報」を様々なメディアで発信中。子どもにやさしい温泉や山、フェス情報など、親子で楽しむアウトドアスタイルを提案しています。

    HP:http://www.watanabeikuko.jimdo.com/

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