
アクティビティは、スキーやウィンターハイキングがおすすめ。観光を楽しむ交通手段には、365日運行する「ゴルナーグラート登山鉄道」のほか、2023年夏にオープンした「マッターホルン・アルパイン・クロッシング」がある。
後者は、スイスのツェルマットとイタリアのチェルビニアを繋ぐロープウェイで、国境を越えて山の景色や食事、文化を楽しめる。春でも楽しめるツェルマットの雪景色。その魅力を紹介!
ゴンドラとロープウェイを使ってスイスとイタリアを移動
1898年に開通したゴルナーグラート登山鉄道に乗り、雪景色を楽しみながら標高3,089mの山頂駅へ。途中駅のリッフェルベルグからは、美しく尖る名峰マッターホルンとスキーのリフトが見えた。

鉄道の窓からは春スキーを楽しむ人々の姿が見える。
ゴルナーグラートエリアの楽しみ方は?
ゴルナーグラートエリアは、残雪状況にもよるが、毎年4月上旬までスキーを楽しめる。また、クラインマッターホルンの氷河エリアなら、1年を通して滑走が可能。

ゴルナーグラート登山鉄道に乗って展望台へ。
真っ白なマッターホルンとクルムホテルが美しい。夏の観光シーズンより、人が少なくゆったりと景色を楽しむことができる。

ズーム・ザ・マッターホルン展示館でペリスコープを楽しむ人々。
最新のマルチメディアを駆使した展示館「ズーム・イン・ザ・マッターホルン」は2021年にオープン。マッターホルンやモンテローザなど4,000m峰の山々の絶景が楽しめるアトラクションを体験できる。
3D やVRなど最新のテクノロジーで悪天候でも壮大な山の眺望が可能だ。「ペリスコープ(潜望鏡)」「イマ―シブ3Dシネマ」「パラグライダーフライト」という3種類のアトラクションがある。大自然に近づき、通常ではありえない角度や視点から、迫力ある山々を見ることができる。

ヴァレー州の伝統料理コレラ。
ランチはゴルナーグラートにあるクルムホテルのヴィザヴィにて、ヴァレー州の伝統料理「コレラ」をいただいた。大昔に伝染病のコレラが流行ったときに残ったジャガイモとネギを使って作ったパイ。サラダは、サクサクで美味しくボリュームもちょうどいい。
国境を越えてイタリア・チェルビニアへ

氷河の上を結ぶ最新のロープウェイ「アルパイン・クロッシング」。
標高約1,600mのツェルマットからゴンドラとロープウェイを乗り継ぎ、標高3,883mのマッターホルン・グレッシャー・パラダイス(クライン・マッターホルン)展望台へ。2023年夏にそこから標高3,480mのテスタ・グリジアまで国境を結ぶ「マッターホルン・アルパイン・クロッシング」が運行開始。
今までスキーでしか行けなかったイタリアのチェルビニア村へ、日帰りでランチやショッピングを楽しみに行けるようになった。今年スイスへ行く方は、ぜひチェックを(メンテナンス時期もあるので運行状況を要確認)。

教会からメインストリートへと繋がるチェルビニアの村の中心部。
標高2,009mのチェルビニア村へ到着。この日、雪はさほど積もっていなかった。スイス側のツェルマットでは、ガソリン車が乗り入れ禁止のため電気自動車が走行しているが、国境を越えたチェルビニアは村の中心までガソリン車でも入ることができる。
国境を越えたら食にも変化が

イタリア・アオスタ州の乾燥肉とチーズの盛り合わせ。
ゲレンデ横にあるレストラン「Lino」にてランチタイム。チェルビニアはアオスタ州になる。イタリアのサラミや乾燥肉、チーズは赤ワインが合う。また、本場イタリアの焼きたてピザはシンプルで美味しい。

ランチは焼きたてのピザ。
ツェルマットから国境チェルビニアまでは、写真撮影などしつつ移動するだけで3時間ほどかかった。注意することはスイスへ戻る時間。天候も変わりやすい山岳エリアゆえ、午後2時前後にはスイス側へ戻ることをおすすめする。

スイスとイタリアの国境で撮影。
次に、チェルビニアからゴンドラやロープウェイを乗り継ぎテスタ・グリジアの国境へ移動。イタリア側からのロープウェイの山頂駅には、ひっそりと国境のサインがあった。国境を記す黄色のラインと看板を入れて写真撮影してみた。

途中駅のシュヴァルツゼーで下車。駅の標高は2,583m。
スイスへ戻り、ツェルマットへ帰るゴンドラの途中駅シュヴェルツゼーで下車してみた。マッターホルンの三角錐が素晴らしくきれいだったので、思わず写真タイムに。スキーやスノーハイキングや写真撮影を楽しむ人々がたくさんいた。
ツェルマット村のおすすめは?

ツェルマットのオールド・ストリートを散策。
ツェルマット村の中心あたりに16~18世紀のに建てられた納屋や穀物倉庫、厩舎が30軒ほど並んでいる。歴史を感じながらの散策が楽しい。周辺に自生しているカラマツで家を作り、山にある鉄平石を屋根にするヴァレー州の独特なスタイル。長年の日差しを浴びて建物が黒色に変化していた。

ツェルマットの博物館「マッターホルン・ミュージアム」。
イギリス人のエドワード・ウィンパーがマッターホルンを初登頂したのが1865年。7人の部隊隊で頂するも下山時に4人が滑落。この博物館にはその際に使われた切れたロープなど、登山の歴史やレジェンドのガイド、昔ながらの生活様式を見学することができる。

ツェルマット周辺の森を散歩する人々。
カラマツに囲まれたツェルマット村の森を、散歩するのも気持ちが良い。ここでは犬を連れて歩く人の姿も多く見かけた。スイスでは犬を飼う前に2日間の講習を受け、修了書を持っている人のみが犬を飼うことができる。しつけができておらず、2回、人や犬を噛んで市役所に通報されると殺処分になる仕組み。そのため、しつけが行き届いた成犬を飼う人もいるほど。

雪解けに咲くミスミソウ。力強く咲く姿が可愛らしい。
散歩中にキンポウゲ科のミスミソウを発見。3月終わりから4月にかけて咲く。この時期、ツェルマット周辺では白や紫の花がたくさん見られる。
ツェルマットでおすすめしたい2軒のレストラン

1軒目はグリルが有名なレストラン。
ツェルマットの日本人橋の近くにあるレストラン「schäferstube 」。グリルやラクレット、チーズフォンデュが有名だ。内装は山小屋風の落ち着いた雰囲気。服にチーズの匂いがつくので要注意。

ここに行ったら、ぜひ食べてほしいラクレット。
蒸かしたジャガイモに溶かしたラクレットチーズをかけて食べるヴァレー州の伝統料理ラクレット。チーズフォンデュには白ワインが入っているので、苦手な人にはラクレットがおすすめ。
●施設名:schäferstube
次に紹介するレストランも日本人橋近くにある。店名は「Brasserie Uno」。雰囲気が良くスタッフもいい感じ。地元の新鮮食材を多く使用することで知られている。

落ち着いた空間が心地いいお洒落なレストラン。

盛り付けの彩りが美しい。
どのお皿も飾り付けが素敵で、見ているだけでも良い気分になり、ゆったりと味わっていただくことができた。料理にピッタリのワインの試飲コースもぜひお試しあれ。
●施設名:Brasserie Uno
芯から温まるスパやサウナがあるホテルで快適に宿泊
ツェルマットの宿泊は、スンネッガの乗り場に近い4星ホテルの「Alpenhof」で。スパやサウナがあり、冷えた体を温めることができた。

快適なスパホテルのアルペンホフ。
●施設名:Alpenhof
お得な交通パスを使ってスイスの旅を快適に
スイス旅行のハイライトのひとつは鉄道やバス、船を使い風景を楽しみながら移動すること。スイス全土の主な公共交通機関が乗り放題になる「スイストラベルパス」には。さまざまな種類があり、旅のスタイルに合わせて最適なものを選ぶとお得になる。旅行者が切符を逐一買う手間が省け、効率よく快適に旅の時間を使うことができる。
チケットの種類によってはロープウェイや登山鉄道などの山岳交通が半額になったり、美術館や博物館が無料になることもある。スイス旅行には欠かせないアイテムだ。
春に滞在するメリットは?
ハイシーズンの混雑する時期をさけることで、静かで落ち着いた滞在を楽しめる春のツェルマット。雄大な山は変わらず聳え立ち、その頂を覆う白銀の雪景色を愛でることができる。スイスとイタリア国境を越えて楽しめる春のツェルマットへ、ぜひ出かけてみない?
■取材協力
- スイス政府観光局
www.myswiss.jp - ツェルマット観光局
https://zermatt.swiss/en/ - チェルビニア観光局
https://www.cervinia.it/en - スイストラベルシステム
https://www.myswiss.jp/swiss-travel-pass/
