三浦半島を横断する「三浦アルプス」を歩いてみた!富士山を眺められる5時間のコースを紹介 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.03.06

    三浦半島を横断する「三浦アルプス」を歩いてみた!富士山を眺められる5時間のコースを紹介

    今回は最初と最後に大展望が楽しめる神奈川県の三浦半島横断コース!だけど低山だし、なんてなめちゃいけません。意外とアップダウンが激しくて途中でグロッキー(←死語)。

    最後はかなりへべれけ(←死語)になりましたよ~。はい、TBSドラマ「不適切にもほどがある」が大ヒット中なので、死語を連発しています(笑)。

    東京湾から相模湾へ。富士山をドーンと眺めることができる充実の5時間コース!

    低山、サイコー!以前紹介した「弘法山公園ハイキングコース」で、日本のハイキングの楽しさに目覚めたオーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。今回も日本一時帰国中のハイキングの紹介。今回紹介するのは「三浦アルプス縦走コース」です!  標準コースタイムは「弘法山公園ハイキングコース」のおよそ倍の約5時間。しかもその名は「三浦アルプス」。そう、アルプスです!

    北アルプス、中央アルプス、南アルプス同様、「アルプス」です! その最高峰はというとなんと茅塚の212メートル!…は~い、誤字脱字でありませ~ん。本当に212メールです。距離はわずか9.4キロメートル。

    この事実を知ったとき、読者のみなさんもだと思うんですが、私も「フフッ。212メートルかよ。9.4キロメートルかよ」と鼻で笑ったわけです。 でも実際に行ってみたら…それまでの運動不足がたたり、鼻で笑うつもりが、膝が笑っちゃいました。…いや、うまいことを言おうとしたのではなく、本当に。

    「アルプス」の名前、伊達じゃないです。では早速、行ってみましょう!

    下車駅の「田浦駅」でいきなりの衝撃。いや、笑撃!

    この三浦アルプス縦走コース、東京湾側つまり半島の東側のJR横須賀線田浦駅からスタートして、相模湾側つまり半島の西側にある風早橋というバス停まで歩くのが一般的(そこから京浜急行の「逗子・葉山駅」へも、JR横須賀線の「葉山駅」へも10分弱)。もちろん逆のルートでもいいのですが、JR横須賀線田浦駅はまわりに商店などがあまりなくて、いかにも「山に登りに来たぞ~」感があるのに対して、逗子・葉山駅や葉山駅のまわりは御用邸があることで有名な葉山のオシャレな繁華街。

    「下界に降りてきてホッとひと息」感が味わえるのでこの東から西へルートがいいように思います。

    で、スタート地点の田浦駅に着く前に電車内で「田浦駅はホームが短いので前のほうの車両はトンネル内に停車するので出られません。降りる方は後方の車両に移動してください」的なアナウンス。で、停車した車両がこれ!

    ドアが開いているときに撮ればよかったとちょっと後悔。

    この田浦駅、東京のターミナル駅の一つで新幹線停車駅でもある品川から横須賀線で1時間強。それなのにプラットホームが足りないってどんだけへき地なんだよ~と一瞬思ったのですが、よくよく考えたらへき地では11両とか15両の列車なんて走らないですよね。通常、プラットホームのほうがありあまっています。

    その田浦駅の北口を出ます。最初の目的地が「田浦梅の里」。

    駅前にあった地図。

    いろいろなルートがあるのですが、私が選んだのは…というか無意識に足を運んでいたのが地図の一番右端のルート。だけど途中で「これ、本当にあってるのか?」と山道に入ってからも不安になったので、地図中央の長安寺脇を抜けていくのがメインルートなのかもしれません。

    まあ、このルートはこのルートで、なかなか風情があったわけですが。

    「田浦梅の里」でいきなりのメインイベント!

    そして到着したのが「田浦梅の里」の展望台です。この展望台自体はインスタ映えしないと思いますがいいんです。そこからの景色が良ければ。

    「ボクは脇役でいいんだよ。ここからの景色が主役なんだから」。どことなく戦国時代の「物見櫓(やぐら)」風の建物からはそんな声が聞こえた気がします。

    当然ながら登ってみます。

    手前の広場、その向こうは田浦湾。

    確かになかなかの絶景でした。

    さてここで地図の看板を見つけたのでザッとルートを紹介しておきます。

    このあたりには地図の看板がもう一つあるのですが、見てほしいのはこっちのほう。もうひとつのほうには今回のルートは書いていませんでした。

    地図の右端にある「田浦梅の里」からスタートして、横浜横須賀道路にかかる陸橋を渡り、下のほうの赤い線で書かれたルートをD7からD19を経由して、右端の「木の下」と書かれた信号のある交差点まで下り、近くの風見橋のバス停に向かいます。

    横浜横須賀道路にかかる歩行者専用陸橋。高所恐怖症気味の人にはなかなかのアトラクション。

    秘境感満載の細尾根&けもの道!?

    ここを抜けて右手の階段を上ると、いきなり現れるのが「けもの道かっ!」とツッコミを入れたくなるほどの細い道や細尾根。

    ある意味、探検感もたっぷり楽しめます。

    歩きながら「誰かが来たらすれ違うのが大変だな」と思っていたのですが…これがまったく誰ともすれ違わない。12月の平日とはいえ、天気がいい日に山道を独占状態でした。

    とはいえ、あまりにもすれ違わないし、こんなけもの道や細尾根が続くので、少しずつ不安になる小心者。東京から電車で1時間で、駅からまだ1時間も歩いていないのに秘境感が半端ないんです。

    そんな私の心の慰めは近くを走る横浜横須賀道路の車の音。普段だとこうした車の音には「大自然感、台無しじゃん!」とうんざりするのに、このときは心のよりどころ。…人間とは欲張りなものですな。私だけか。

    とにかくこのあたりは耳栓をして歩いたら秘境感をたっぷり楽しめるルートでした。耳栓をして登山やハイキングをする人はいないと思いますが。「田浦梅の里」もそうですが、このあたりでもガサゴソ、ガサゴソっという音がしたと思ったら、リスが姿を見せることがしょっちゅう。鎌倉の山々もリスが多いですが、同じですね。

    さて次の目的地の乳頭山山頂です。さきほどの地図を見て「載ってないじゃん!」と思われるかもしれませんが、右端の吹き出しにその名が刻まれています。…別に大げさに言うことじゃありませんが。

    最後ののぼりはそれなりにきついです。

    狭くて木々に覆われていますが、少しだけ展望があります。東京湾が見えますね。

    そして三浦アルプス最高峰へ

    次の目的地は三浦アルプス最高峰の「茅塚」です! 

    先ほども書いた通り標高212メートルなんですけどね。どうでもいいけど最高峰に「塚」はないんじゃないかな、「塚」は。もちろん最後に「山」がつかない山名も、「駒ヶ岳」とか「檜洞丸」とかありますけど、「塚」って「土が小高く盛り上がっているところ」くらいの意味ですからね。地域の最高峰の命名としてあんまりといえばあんまりじゃないですか。

    なんて大いに同情しながら目指したのですが…。

    到着した茅塚です。扱いもまた「ただの鉄塔設置所」。涙

    な、なるほど。

    さてこの茅塚。メインルートが100メートル離れたところにあります。次の目的地は仙元山。で、メインルートに戻る途中に「仙元山近道」という木札がかかっていたので進んだのですが、すぐに「急降下の藪漕ぎ」状態になっていて後悔。

    まあその日は地面も乾いていたのでそこまでは大変ではなかったのですが、すごく注意して歩かなくてはいけなくて…。短縮できて5分なので、別に近道を通ることもないかと。ここを歩きながら思ったのは、「座右の銘は〈急がば回れ〉にしよう」。

    このメインルートと再会できたときのうれしさと言ったら…。

    結構淡々と描いていますが、じつはこの三浦アルプス、最高峰212メートルのくせしてアップダウンが半端ないです。

    このあたりになると階段もあって、意外と歩きやすかった。…っていうか山の奥ならまだしも、ハイキングコースの最初がけもの道状態ってなに?

    また鉄塔。だけどここはそれなりに見晴らしはよかったです。高圧線の下で休憩する気にはなれんけど。

    このあと「大桜」という通過ポイントをとおります。ただ「乳頭山1.7km」も「観音塚1.7km」も印刷文字なのに、肝心の「大桜」は「マジック」の手書き文字!

    すごく丁寧に書いている気持ちは伝わります。でも手書きは手書き。

    気持ちのいい尾根筋。…だけど冬枯れもなく、眺望も期待できません。

    はい。読者のみなさんもお気づきかと思います。今日の筆者は毒舌が多いと。すみません、すみません。本人も気づいてはいるんです。けど…この三浦アルプス、さっきも書いたように妙にアップダウンが多いんですよ。これがボディーブローのように効いてきて…。

    このあたりで気を取りなおしていきましょう。

    ほとんど眺望がない中、ほんの少しだけ見えると気持ちが救われます。まさに「地獄に仏」。…全然気を取り直していないですね。笑

    最初にチラッと書きましたが今回のコース、一般道も含めた歩行距離が9.4キロしかないのに、標準コースタイムは休憩抜きで5時間。つまり時速約1.9キロメートル。私の「ホームコース」である丹沢表尾根が14.4キロで7時間、つまり時速約2.1キロなので、それよりもスローペースを強いられるということ。なるほどハードなはずです。

    あとで確認したら標高差は登りも下りも約860メートルとそれなりにあります。最高地点が212メールとですから、その4倍以上の登り下り。

    延々と続く下り。ここでは丹沢の大倉尾根(通称「バカ尾根」)ではなく、高尾山から小仏城山に向かう奥高尾を思い出しました。

    アップダウンが多いですが階段が多いのは歩きやすくて助かります。そう、山登りはポジティブな気分で。

    最後に待っていたご褒美!

    そんなこんなでこの「三浦アルプス縦走ルート」の最後の山である仙元山へ到着しました。そのとき目に入った最初の光景がこれ。

    ちょっと大きな木とトイレ。

    だ~け~どっ! ちょっと待て。大木も向こう、開けてないか? 大空が広がってないか?

    ソワソワしながら急ぎ足で大木のあっち側に向かう私。すると!

    来ました、来ました、来ましたよ~。目の前に遮るものはなく、葉山の街の向こうに相模湾!

    そして遠くに富士山も見えるではないですか! この雄大な景色。これまでの疲れもやさぐれた気持ちも一気に吹き飛びましたよ。

    その頂上には木の枝にブランコがかかっていました。

    先着していたカップルがブランコに乗ろうと苦労していましたが、座面が高すぎて断念。大人に肩車などをしてもらえる子ども専用なのかもしれませんね。そんな光景を想像してほっこり。

    …まったく富士山とか相模湾の絶景を見ただけでこの変わりぶり。笑

    ちなみにこの仙元山の山頂にはテーブル2脚とベンチがあったのですが、どれも「トリックアートかっ!」とツッコミを入れたくなるほど斜めに設置されていました。さっきの「乗れないブランコ」とともに「ワンダーランド感」たっぷり!

    …いかん、いかん。またやさぐれてきた。

    けどここは本当にずっといたいなあと思えるような場所で…あっ、もしかしたら「トリックアート椅子」(←勝手に命名)は「みんなが長居して混雑しないようにするためのちょっとしたトリック」なのかもしれません。…違いますね。

    とにかくこのご褒美絶景! 延々と3時間ほど歩いてきた甲斐がありました。…まあ反対側からだとバス停から20分くらいらしいですが。笑

    泣く泣くこの道をくだります。

    そして最後の最後になって出てきたのが、この注意書き。

    最後じゃなくて最初から言えよ~と一瞬心の中で抗議したのですが…ここから登り始める人たちへの注意喚起でしょうね。

    山道が終わった後はこんな坂を延々と下りバス通りに出ます。

    バス停からは頻繁にあるバスの便で京急線の逗子・葉山駅かJR横須賀線の逗子駅へと向かいます。

    最初と最後の「絶景」に挟まれますが、その間はひたすら自分との闘い状態になる意外とハードなコース。でも最初の最後にご褒美があるので、報われます。春以降、さらにハードなコースにチャレンジするためのトレーニングにも最適です!

    私が書きました!
    オーストラリア在住ライター
    (海外書き人クラブ)
    柳沢有紀夫
    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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