体調が悪くても自分の足で歩かないと目的地には着かない…【プロハイカー斉藤のアメリカ東海岸トレイル行状記 vol.7】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2024.01.25

体調が悪くても自分の足で歩かないと目的地には着かない…【プロハイカー斉藤のアメリカ東海岸トレイル行状記 vol.7】

シェルターではこんな感じで寝ています。

ニューヨークやボストンからも近い、アメリカ東海岸にある「ニューイングランドトレイル」。2023年10月、世界各国のロングトレイルを次々と踏破している日本で唯一のプロハイカー・斉藤正史さんが、そのニューイングランドトレイルに挑みました。日本ではあまり知られていないニューイングランドトレイルの実態、アメリカ東海岸のトレイル事情などについて、斉藤さんによる実感たっぷりの最新リポートをお届けします。(これまでの【プロハイカー斉藤のアメリカ東海岸トレイル行状記】は巻末の「あわせてよみたい」でチェック)

体調も天候もちょっと下向きな日

朝目覚めると気温は低かったので、お味噌汁2袋を使って乾物を適当にいれ込んだ朝食を作り、とにかく胃に入れたのですが、やはりあまり食欲はありませんでした。
辺りには霧が立ちこめています。朝つゆに濡れたトレイルを歩いていきました。こんな感じで濡れるなら、テントを張るのは最終手段にしたいなというほどです。

ウォーイックファイヤータワー。

歩き始めると、汗がふきだし、朝露もあってすぐにTシャツはビショビショになっていくのでした。小刻みに登ったり下ったりする道のりは、まるでアパラチアン・トレイルのようでもあります。特にルートを示すサインが、白い長方形のマークのホワイトブレイズなのは、アパラチアン・トレイルと全く同じです。懐かしいなと思いながら、ホワイトブレイズを頼りに歩いていきます。

電信柱に付けられたホワイトブレイズとマーカー。日本だと電信柱には簡単には付けさせてもらえません。         

リチャードソンゼットロガーキャビンとテントサイト。

キャビン棟。

歩いていくと、次のグループサイトに到着しました。キャビンの場合、施錠されているので、予め予約していないと入れません。キャンプサイトも併設されていて景色も抜群。体調も悪かったので、泊まりたいな…という思いがふと頭をよぎります。
しかし、まだ予定の半分も歩いていないし、と言い聞かせ、先へ進むことにしました。

眼下にミラーズリバーを望む。

ミラーズリバーに着くころ、ようやく集落が見えてきました。久々に人けのある集落を歩き、山沿いに進んでいきます。
ここで、GPSの軌道と、掲示されているサインの相違に気付きました。GPSの差す方向には道がなく、サインは途中で途切れています。

ここで地図を広げ、地形を確認して歩いていくと、サインとGPSのデータが一致した場所に出ました。おそらくプライベートプロパティ(私有地)の関係で、一部変更になったのかもしれませんね。実はニューイングランドトレイルは、私有地を通過することが非常に多いトレイルでもあります。

すごい、メイプルシロップの無人販売所がある!

ポートレイトの家はどこ?

この後、登りは続き、体調の悪さも相まってどんどん疲労が蓄積されていくのでした。
ようやく日が傾き始めた頃、ウェンデル・ステイト・フォレストシェルターに到着したのでした。このままここで休みたいな。そうは思ったものの、ポートレイトの家まで1kmはありません。とりあえず、ポートレイトの家を目指し歩き始めました。

公園の出口付近で話しかけられ、「宿がないなら家に来ないか?」と言ってもらったのですが、友人のところに泊る予定だからと断って、道沿いに歩きます。ここからが悪夢の始まりでした。ポートレイトの家付近は電波が入りません。泊っている時も家のWi-Fiを使わせてもらっていました。

道を進めどポートレイトの家らしき建物が見えません。途中、住民に聞くと、この住所ならこの道を下っていけばあると思うよと言われ、さらに1マイルほど歩いていると、辺りが暗くなり始めていることに気付きました。

少し焦りながらそれでも歩いていると、「暗がりで道路を歩くのは危険だから」といって道沿いのお宅から射板の付いたベストを持った住民の方が出てきてくれました。しばらくすると陽が沈み、辺りは真っ暗になるのでした。さすがにこんなに歩かないだろうと、来た道を引き返すと、奇跡的に電波が入りました。

ポートレイトに連絡し、迎えに来てもらうと、どうやら道を1本間違えていたようです。色々ありましたが、無事にポートレイト宅に帰還したのでした。

22.7マイル(約36.2km)シェルターまでの距離と迷い道を歩いた距離+64マイル(約6.4km) 合計42.6kmの長丁場でした。

New England Trail公式サイト

私が書きました!
プロハイカー
斉藤正史
2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載中。

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