最終的なコツは“諦め”?信頼できるトレイル踏破ギアの選び方【プロハイカー斉藤のアメリカ東海岸トレイル行状記 vol.4】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.01.15

    最終的なコツは“諦め”?信頼できるトレイル踏破ギアの選び方【プロハイカー斉藤のアメリカ東海岸トレイル行状記 vol.4】

    ニューヨークやボストンからも近い、アメリカ東海岸にある「ニューイングランドトレイル」。2023年10月、世界各国のロングトレイルを次々と踏破している日本で唯一のプロハイカー・斉藤正史さんが、そのニューイングランドトレイルに挑みました。日本ではあまり知られていないニューイングランドトレイルの実態、アメリカ東海岸のトレイル事情などについて、斉藤さんによる実感たっぷりの最新リポートをお届けします。

    vol.4は、トレイルの携行するギアの選定についてです(vol.1vol.2)。

    ウェアの選定

    今回の旅は、秋から冬へ向かう時期。一般的な旅行と同じく、一番悩んだのがウエアでした。10月初めと10月末とでは、気温差が結構あります。特に山岳エリアは、ぐっと気温が下がります。少し厚めのパンツにするか、薄手の物をメインにするか、ダウンは必要か…。

    渡航先のニューイングランド地方では、10月でも雪が降ることもあります。しかし、ニューイングランドトレイルのスタート地点があるマサチューセッツ州の気温を渡航前にチェックすると18度もありました。ひとまず、ウエアに関しては出発直前のマサチューセッツ州の気温で判断しようと考えたのでした。

    テント

    ニューイングランドトレイルにはシェルターもあるし、そこまで気温も低くありません。突風の吹くようなエリアでのキャンプもないので、軽さ重視と機能重視でニーモ(NEMO)のダガー オズモ 2Pを選びました。スタート地点であるマサチューセッツ州のお隣、ニューハンプシャー州に本社を置くブランドですし、現地の気候と合わないはずがありません。また、ピロ・マットもニーモでチョイスしました。

    中でもニーモの目玉は、2024年春発売予定のムーンライトエリート(軽量椅子)とコーダ エンドレスプロミス 25/35 ショート寝袋です。2023年8月に伺った展示会で一目ぼれしたのが、これでした。軽いのはもちろん、リクライニング出来る機構を備えています。しかもチッパー(シットパッド)と組み合わせると寒い季節でもOK!こうした細部の工夫がニーモさんらしく、新製品にはワクワクしてしまいます。ついでにチョイスしたのが、コーダ エンドレスプロミス 25/35 ショート。この製品も展示会で見てグッときました。

    実は、ニーモのダウンを使うのは今回が初めてです。アジアや日本では湿度が高い時期に歩く事が多く、ダウンではなく化繊の寝袋をチョイスしていました。今回は久々のアメリカですし、秋です。そんなこともありダウンの寝袋が視野に入りました。コーダ エンドレスプロミス 25/35 ショートは、なんと重さ640グラム。

    最初に目に入った特徴が、足元のジッパーです。アメリカのトレイルでは長時間にわたって歩く事もあり、足に熱がこもってしまい、寝付きにくかったりします。しかも、熱を持った足元から結露することが過去に何度もありました。そんな時は、足を冷やすために体の半分を寝袋から出すのですが、夜中に寒さで目覚めることもありました。足元が開く寝袋なら、外気で足の熱が冷やされて寝やすくなりそうです。このニーモの新しい寝袋は、なるほどとうなる機能とフィールドでの快適性の両方を併せ持っています。それでちょっと試したいな!と思ったわけです。日本ではあまり知られていませんが、全米の専門店でNEMOの寝袋は売上ダントツのトップブランドです。

    調理用バーナーなど

    SOTOの製品でチョイスしました。やはり、海外を歩くならガソリンが使えた方が経済的です。今回は、ガスもガソリンも使えるストームブレイカーをチ選択。どちらも使えると選択肢が増えるので安心です。そして、カップはここ12年愛用しているクピルカです。重さはこの際、考えません。気に入ったもので飲むコーヒーは格別ですから。

    電子機器

    また、今回はINSTA360持っていくことにしました。BE-PAL,netで連載中のTOKYO山頂ガイドでも使っている機材そのままです。万が一に備えて、ゴールゼロのソーラーパネルとモバイルバッテリーを持っていきます。

    今回は、KEENのターギー3をチョイス。ニューイングランドトレイルは、わりとアップダウン少なそうだという事と、オフトレイル(トレイル以外の道)を歩く事も予測され、道路を結構歩く事を想定すると、つま先が広めなKEENさんの靴がベストかなと思いました。

    サンダルは、つま先を守ってくれるKEENのニューポート。今回は、フォックスファイヤーとコラボした、フォックスファイヤーカモフラージュを使用したデザインのサンダルです。カッコいいですよね。

    バックパック

    2019年から使っているミステリーランチのテラフレーム65です。今回のように、補給区間が短いトレイルではそのまま使用しますが、補給期間が開く場合は、オーバーロード(フレームとパックの間を広げて荷物を挟むこと)して使います。

    また、フレームとバックパックが離れるので、間に傘を差せるフォルダを付けて傘を手ぶらで着けられるように加工しています。テラフレームならではの使い方で、雨の日でも便利で快適です。今のところトレイルを歩くとしたらファーストチョイスで次が見当たらない感じです。

    トレイルに持っていくギアの選定が終わったら、あとは3日前に空港に荷物を送るだけ。さすがにここまで来ると、「諦め」が付きます。忘れ物をしても、ほとんどの場合はお金で解決できます。最終的には、毎回そんな感じで諦めます。そして、出発前日、天気予報と長期予報を見て判断しました。ダウンジャケット持っていこうかな…。

    ということで、次回は「いざ、4年ぶりのアメリカへ!」です。

    New England Trail公式サイト

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載中。

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