小谷村「勝手に観光大使犬」の柴犬メルと行く秋の里山の旅・後編【災害救助犬コアと家族の日記 Vol.9】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.11.03

    小谷村「勝手に観光大使犬」の柴犬メルと行く秋の里山の旅・後編【災害救助犬コアと家族の日記 Vol.9】

    犬と一緒に旅に出よう!『塩の道』を寄り道しながら歩く旅 

    11月に入り、長野県小谷村は紅葉が見頃を迎えています。「小谷村「勝手に観光大使」の柴犬メルと行く秋の里山の旅〜前編」 では、小谷村の中土地区を中心に鎌池、小谷の温泉や伝統を紹介しました。そして、この後編では、かつて日本海側から太平洋側へ塩や海産物を運ぶための交易路だった『塩の道』に沿って歩きます。

    小谷村内の『塩の道』は、里山歩きが楽しめるコースがいくつかあります。今回の旅も14 歳と高齢の柴犬、メル先輩が一緒なので、整備がされていて歩きやすい牛方宿(うしかたやど)から栂池(つがいけ)高原までの約2kmを歩くことに。徒歩30~40分ほどの短い距離ですが、 休憩や寄り道をしてのんびりと、数時間ほどで巡ることにしました。

    ゴール付近では絶景が待っています。お楽しみに!

    災害救助犬

    さあ、一緒に塩の道を歩こう!

    牛を引く人と牛が同じ屋根の下で寝泊まりした『牛方宿』

    スタート地点は、小谷村有形文化財である『牛方宿』。200年以上前の建築物で、現在は史料館として一般公開もされています。

    トラクター

    牛方宿館長の千国正幸さんと愛犬さなちゃん。後ろに見える藁ぶき屋根が牛方宿。

    『塩の道』と呼ばれるルートは日本全国にいくつもありますが、とくに知られているのが千国街道。小谷村のその街道沿いにあった宿は、明治中頃までは荷を運ぶ牛方(牛を引く人)と牛が同じ屋根の下で寝泊まりしたことから牛方宿と呼ばれたそうです。言うなれば、ペットと泊まれる宿の前身でしょうか。

    牛方は畳の部屋で寝るのではなく、牛たちがいる土間に空中ベッドのように宙吊り状態に設らえれた板の上で、牛たちの様子を見ながら夜を明かしました。牛方たちは牛をとても大事にしていたのですね。

    鉄道の発達や塩の取引の制度が変わって、街道が寂しくなった時代には、水車を動力に使って杉の木からお線香作りもしていたそうです。

    昭和に入ってからはスキー客が訪れるようになりました。現在、スキー宿の立ち並ぶ小谷村の千国は、古くから街道の宿場町として宿の多い場所だったのです。

    災害救助犬

    この牛方宿で生まれたという千国美晴さんが牛方宿について教えてくださいました。 コアの頭の上あたりにある板の囲いが牛方が眠った“空中ベッド”。ひとりの牛方が 5 頭くらいの牛を連れていたそうです。

    旅の安全を見守り続けてきた『前山百体観音』

    牛方宿から林道をしばらく歩いていくと、『前山百体観音』と呼ばれるたくさんの石仏が現れます。

    塩の道 千国街道沿いには旅の安全を祈念したと思われる石仏が多く、特に難所が多い箇所には、道中で命を落とした馬を供養したとされる馬頭観音や、牛を供養したとされる大日如来などの石仏も数多く見られます。

    今も昔も一緒に旅する動物は大事な相棒だったのですね。

    災害救助犬

    北アルプス白馬三山を眺めるように並んでいる百体観音は、みんな穏やかな表情で今も人々を見 守ってくれているようです。

    小谷村の自然を満喫できるアウトドアスポット『前山テラス』

    百体観音のすぐそば、前山の麓に新しくできた『前山テラス』は、メル先輩のおすすめスポット。栂池高原と白馬三山を臨むこのテラスは朝も夕方もゆったりと絶景を眺めることができます。

    災害救助犬

    前山テラスから、栂池高原をのぞむ。

    『前山テラス』から見える広大な“鐘の鳴る丘ゲレンデ”は、冬は日本有数のスキー場、『つがいけマウンテンリゾート』(栂池高原)として賑わいます。

    栂池高原のゴンドラ中間駅近くにはドッグランがあり、スノーシーズンに入る前のグリーンシーズンには、犬同伴で中間駅までゴンドラに乗ることができます。ゴンドラの運行については『つがいけマウンテンリゾート』の HP で最新の情報を確認してください。

    災害救助犬

    ゴンドラで空中散歩 ふたりともゴンドラに馴れていて余裕です。馴れていない子は無理させずに飼い主さんが充分に フォローしてあげてくださいね(スキーシーズンは犬は乗車できません)。

    災害救助犬

    都会ではなかなかない広大なドッグラン(グリーンシーズンのみ。設置時期は 『つがいけマウンテンリゾート』の HP で確認してください)。

    災害救助犬

    鐘の鳴る丘で心地よい風に吹かれながら記念撮影。

    足湯カフェ『ツガベース』

    栂池高原の麓、ゴンドラチケット売り場近くに足湯のあるカフェ『ツガベース』があります。 スキーシーズンは外国人たちで賑わい、まるで海外のようです。ここの看板商品であるプルドポークバーガーは、10時間以上味を染み込ませながら煮込んだプルドポークにたっぷりとチェダーチーズがかけられています。

    『ツガベース』にはテラス席もあり、犬も同伴できます。看板娘のアニーちゃんは犬が大好きで、今日もコアとメル先輩を笑顔で迎えてくれました。

    災害救助犬

    犬が大好きというアニーちゃんが注文を受けてから作ってくれます。 「オニオン無し、チーズたっぷりでおねがいします」 空いている時はこんなオーダーもできます。

    災害救助犬と足湯

    足湯スポット。寒い時期は人間たちは足湯に浸かりながら、暖かい飲み物でほっとひと息。壁に描かれている素敵な冬山のイラストはアニーちゃんの手描きです。

    犬との散歩にもおすすめな『小谷村ウッドチップ ロード』

    さてここで、14歳のメル先輩はお昼寝タイムのため、飼い主である太田明美さんと帰宅。2日間の案内、ありがとうございました!

    災害救助犬

    メル先輩、一緒に里山歩きができて楽しかったです。

    まだまだ元気なコアは、もう少しお散歩することにしました。

    小谷村には、散策やランニング、冬にはスノーシューが楽しめる『小谷村ウッドチップ ロード』があります。ウッドチップロードとは、自然に優しいウッドチップ(木を丸ごと粉砕した細片)を敷いた道で、犬とのお散歩にもおすすめです。

    『小谷村ウッドチップ ロード』には4コースありますが、今回コアが歩いたのは栂池高原から10 分ほどで行ける『栂池ウッドチップロード』。1 キロと 1.5 キロのコースがあり、どちらもアップダウンが緩やか。ふかふかのウッドチップが敷かれた森の中の散歩道はとても静かで、清々しく気持ち良く歩けました。

    災害救助犬

    クマの目撃情報がありますので、必ずクマ鈴を持ってお散歩してくださいね。

    北アルプス広域消防本部 北部消防署で教わった
    山岳地域を安全に旅をするための基本

    今回の旅の最後に、コアと私は小谷村の隣の白馬村に車で向かい、『北アルプス広域消防本部 北部消防署』を訪ねました。

    北アルプス広域消防本部の管轄エリアは、大町市、池田町、松川村、白馬村、そして、小谷村。これらの地域は、自然にも恵まれアウトドア・スポーツも盛ん。

    しかし自然のなかでのレジャーは危険も伴い、登山中の遭難や、北アルプスでは去年の冬は雪崩事故も起きています。コアと私たちは、山間部での捜索活動をした経験がありますが、それはとても厳しいものでした。

    北アルプス広域消防本部 北部消防署ではどんな活動をしているのでしょうか。また私たちツーリストが事故を起こさず命を守るためには、何を心がけたら、どう行動したらいいのでしょう。救急救命士・中村 敦さんにお話を伺いました。

    「北部消防署のある白馬、小谷エリアは山岳地域です。登山をはじめ、春は山菜採り、夏はキャンプやウォータースポーツ、秋はきのこ狩り、冬はウィンタースポーツが盛んで、多くの観光客も訪れます。同時に年間を通して、山での事故も起きています。

    2006年に小谷村で中学生が通学中にクマに襲われ重傷を負った事件があり、それから通学時にはクマ鈴をもたせるようになりました。また外国人が多く住む地域でもあり、文化の違い(軽装での登山、医療の拒否)や言葉でのコミュニケーションの対応が課題になっています。

    この地ならではの訓練としては、山岳救助、雪崩救助、スキー場でのリフト、ゴンドラ停止時の救助訓練などがあり、雪崩救助訓練では雪崩救助犬との連携訓練もしました。装備は基本的な山岳救助器具一式のほか、雪山に備えて、スノーシュー、プローブ、ビーコンなどを備えています」。

    災害救助犬と消火栓

    白馬三山の麓にある北アルプス広域消防本部 北部消防署

    山で遭難しないために守りたいこと

    中村さんに山でのレジャーでの具体的なアドバイスをいただきました。

    • 単独行動は避けて、グループで行動する。
    • 秋や春に、麓では寒く感じなくても、保温効果のある衣類など、冬の装備が必要。日帰りでも行動食をかならず持っていきましょう。
    • 目立つ色の服装(山にない色、蛍光ピンクや発色の良いブルーなど)を着用することで、遭難時に発見しやすくなります。
    • 出発の前には天気予報や雲の動きをチェック。無理なスケジュールは避けましょう。
    • 家族や友人に行く先を必ず伝えておきましょう。
    • スマホ(携帯電話)、無線など、連絡通信手段の確保が大切。
    • 遭難時はフラッシュライトを点灯させる。無ければスマホのライト機能や鏡を活用しましす。
    • 登山用GPSアプリなどのツールを活用し、座標がわかるようにする。迅速な救助のために場所の特定が重要だからです。

    「平地では些細なことが、山の中では大事故や遭難に繋がります。北アルプス広域消防本部 北部消防署ではアウトドアの盛んなこの地域を見守り、楽しく安全に過ごせるように日々訓練をしています。

    高齢化の進んでいる小谷、白馬の村には病院がありませんが、村民の方たちをドクターヘリで迅速な搬送をして、命が助かった時など、やりがいを感じることも多くあります。

    近年、人命救助などの災害対策の場面でも使用されているレスキュースコープ(内視鏡装置)の活用、さらに救助犬とも連携して訓練していきたいと思います」と中村さん。

    私たちがアウトドアスポーツを安全に楽しめるように、そして、住民の方々が安心して暮らせるように、常に見守り、訓練を続けてくださっていることに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。登山や観光に訪れる私たちも準備と装備をしっかり整えて、事故のないように気をひきしめたいと思います。

    そして、災害救助犬であるコアとペアを組む私も、消防や警察と合同で訓練できる機会が増えることを望んでいます。

    消防車と消防士と災害救助犬

    「山の中ではささいなことが大事故につながる」という中村敦さん(左)の言葉が印象に残っています。 お忙しいなか、ありがとうございました。

    前後編に分けての“コアとメル先輩と歩く”小谷村の旅、いかがでしたか? 今年の小谷村はもう少し、“秋の里山”が楽しめそうです。ぜひ、愛犬と一緒に旅してみてください。

    犬と散歩

    コアと何度も歩いている小谷村。秋の里山の風景が大好きです。

    ●長野県小谷村の観光公式サイト https://info-otari.jp/

    春も楽しい小谷村。「塩の道祭り」を紹介します

    毎年、5 月 3 日に「塩の道祭り」が開催されます。塩の道・千国越えコース(約 9km・4~5 時間) を、 むかしの歩荷(ぼっか)や飛脚に扮した村民と一緒に、途中の集落での温かいおもてなし、千国諏訪神社でのイベント等を楽しみながら歩きます。

    災害救助犬

    昨年、コアも塩の道祭りに参加しました。

    私が書きました!
    救助犬ハンドラー
    かとう まさみ
    子供の頃から動物とアウトドアが大好き。ロサンゼルスのアニマル・シェルターでボランティア・スタッフをしながら犬のことを学ぶ。コアとお互いに良いバディでありたいと日々奮闘中。コアのHPはこちら。 https://white-search-and-rescue-dog.jimdosite.com/

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