わりと身近にいるんですよ!アリの巣に居候するアリヅカコオロギの不思議な生態
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    2023.10.23

    わりと身近にいるんですよ!アリの巣に居候するアリヅカコオロギの不思議な生態

    横浜市泉区・戸塚区を拠点に生態調査や里山保全活動を行なっている“ご近所生きもの観察案内人”の相川健志さん。今回は、不思議な「アリヅカコオロギ」の生態について案内します。

    アリヅカコオロギってどんなムシ?

    「アリヅカコオロギ」は、文字通り、アリの巣(アリ塚)に居候するコオロギの仲間です。アリの巣での生活に適応するために翅(はね)は退化し、体長も一般的なコオロギの10分の1ほど、24mmしかありません

    アリは、外敵に対して敏感です。そこで、アリヅカコオロギはアリのニオイを体につけ、アリに襲われないようにしています(しかし、襲われることもあるそうです)。そして、アリの巣にうまく入り込むと、アリから口移しで直接エサをもらったり、ときにはアリの幼虫を食べたりして生活します。

    アリヅカコオロギの仲間は日本に10種類以上生息。種類によって、共生するアリの種類が異なります。このようにアリと共生しているムシを、「好蟻性(こうぎせい)昆虫」といいます。

    私とアリヅカコオロギとの出会い

    ある日、飼育しているニホンヤモリのエサを探して、庭にあった石をひっくり返したときのこと。アリと一緒に、小さな生きものを発見しました。多くの人に嫌われているGの赤ちゃんに似ているような、でも、ちょっと違うような……。

    早速、ネットで検索。そして、その正体がアリヅカコオロギの仲間だということが判明しました!

    知識としてアリと共生するコオロギの存在は知っていましたが、こんなに身近にいるとは思いもしませんでした。アリヅカコオロギについて調べていくと、上記で紹介したことも含め、いろいろ興味深い生態をしていることが判明しました。

    以下に、この目で見たアリヅカコオロギの生態を写真とともに報告します。

    アリヅカコオロギの発見場所。石の下にアリの巣がありました。

    アリヅカコオロギの発見場所。石の下にアリの巣がありました。

    いきなり石をひっくり返されパニックになっているアリとアリヅカコオロギ。

    いきなり石をひっくり返されパニックになっているアリとアリヅカコオロギ。

    ん?Gの赤ちゃんのような、何か違うような…。

    ん?Gの赤ちゃんのような、何か違うような……。

    アリヅカコオロギの仲間と一緒にアリも発見。両者はほとんど同じくらいの大きさです。

    アリヅカコオロギの仲間と一緒に発見したアリも観察。両者はほとんど同じ大きさです。

    アリと同じような匂いを体につけて仲間だと思わせていからか、アリに攻撃されません。

    アリと同じような匂いを体にまとって仲間だと思わせているからか、アリに攻撃されません。

    お尻の先に針のような産卵管が付いているのでメスです。

    こちらはお尻の先に針のような産卵管が付いているのでメスです。

    子どものころから生きものたちを観察し続けてきましたが、自分が暮らしているすぐそばに、こんなにも不思議で面白いムシが存在しているとは驚きでした。身近な生きものをしっかり観察し、小さな「?」探求していくと、奥深い世界にふれることができることを、アリヅカコオロギとの出会いを通じてあらためて実感しました。

    私が書きました!
    ご近所自然観察案内人
    相川健志
    NPO法人Dream eggs ゆめたま代表。環境コンサルタント、ビオトープ管理士。横浜市泉区・戸塚区を拠点に生態調査や里山保全活動を行っている他、調査や駆除などで死んでしまった生きものの透明骨格標本づくりも行なっている(https://twitter.com/NatureCreators_)。

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