549万人が住むタイの首都バンコク。通りは自家用車、トラック、バス、バイク、トゥクトゥク(三輪タクシー)であふれ、慢性渋滞、通勤ラッシュアワーの電車のホームは人がはみ出さんばかりの状態。加えて大気汚染もひどい…鼻毛の伸びるスビードが早いこと早いこと(※個人の感想)!
「ああ、ストレスがたまる!そうだ、この週末は久しぶりにクレット島に行こう!」
私は鼻毛をブチっと抜きながら決めました。
タイのクレット島ってどんなところ?
バンコクから北西へ約30キロ、ノンタブリー県にあるクレット島はバンコク市民が気軽に行ける安らぎの場所。チャオプラヤー川の中州で面積4.2平方キロメートルほどの小さな島です。
島へはボートを使って行き来をしますが、その料金なんと3バーツ(約12円)!物価高騰中のタイでは、格安過ぎる価格設定です。
レンタサイクルは1日240円!
島へ渡って、桟橋を出てすぐの所にレンタサイクル屋さんがありました。今日はこれで島を1周するのです。レンタル料金を見ると1台40、50、60バーツ(約160、200、240円)となっています。
「40バーツは向こうの古い物、50バーツはそっちの少し古い物、60バーツはここの新しい物。新しい方が乗り心地が良いわよ!」と、店のおばさんがジッ~と目を見つめながらすすめてくるので、言う通り60バーツの自転車を借りることに。
実は自転車ブームが再燃しているタイ
まずは桟橋横にある寺院でお参り。この島、小さいのに6つもの寺院があるのです!さすが仏教国タイならでは。
ここでおじさんサイクリストのグループに出会いました。バンコクから自転車でやって来たそうです。
「毎週、近郊に自転車旅行しているんだ。クレット島は近いし、雰囲気も良いからよく来るよ」
実はタイで10年程前に自転車ブームが起きました。バンコク市が自転車専用レーンを整備したり、サイクリング大会が開かれたり、カスタム自転車ショップも次々とオープン。コロナ禍でそれも下火になりましたが、最近ブームが再燃しているのです。
境内から始まる狭い路地には昔ながらの建物が立ち並んでいます。レトロ感満載でバンコクっ子に雰囲気がウケています。
謎の激安お菓子にも出会う
ちなみにこの島、昔から陶器やお菓子作りで有名。
小腹が減った私はお菓子を食べることにしたのですが…うっ、カワイイ!しかも安い!1個6バーツ(約24円)ってどういうこと?
地元の人たちとのふれあいが魅力的な島
さて、お腹も満たして、レッツ・サイクリング!数分も走ると住宅街を抜け、緑あふれる南国風景が広がります。ヤシの木があちらこちらに生えていて、池には水連が咲いています。
いやあ、気分最高!天気も良いし鼻歌が出てきそうです。
ギリギリの道をすれ違うときは「サワディーカップ!」
実はこの島、自動車は走っていません。交通手段はバイクか自転車、徒歩のみ。島内の道は狭く、また多くの箇所で冠水除けに地面から数メートル上に設置したコンクリートの道が巡っているだけだからです。
このコンクリート道が幅2メートルくらいなので、うっかりすると落ちそうで怖いんですよね。すれ違う際はお互いにゆずり合って進む必要があります。その時は「サワディーカップ!(こんにちは)」と挨拶。
あれ、何かに似てるなあ~と思ったら登山やハイキングの時みたいじゃないですか!
コンクリート道は人々が暮らす家の前も通っています。家の前でくつろいでいる人たちに挨拶すると、向こうは必ずそれに応えてくれます。中には「日本人か?飯食っていけよ」と言ってくれる人も。
大都会ではなかなか味わえない人情を、こんな近場で味わえるなんて!自転車を漕ぎながら、嬉しくて思わず顔がニヤけてしまいます。
ガチなサイクリストも発見!
途中、サイクリストのおじさんを見つけたので声をかけてみました。本格的な装備と自転車なので、さっきのグループのようにバンコクから来たのかと思いきや…。
「いや、ここに住んでいるのさ。毎日自転車を漕ぐのを日課にしていてね」
元軍人のおじさんで御年70歳。元気ですね~。
最後はお待ちかねのビール!
人々と交流したり、写真を撮ったりして、ゆっくり2時間かけて島を1周。
最後にやって来たのはクラフトビール店。人気ナンバー1だという自家製ビール(140バーツ=約560円)を注文しました。
はうああああっ、旨い!汗かきまくりでしたから、もう、しみることこの上ありません!
喉の渇きが癒され、少し落ち着くと、カップに描かれたカメのイラストが気になりました。店員さんに聞いてみると…。
「ウチのオーナーがカメのようにゆっくりと商売をしていこうと思ったからだと聞いています」
2012年に創業し、そのポリシーで早11年。ネットでの評判は上々で繁盛しているようです。時に取り残されたようなクレット島という素晴らしい土地の店ならではないですか!テラス席でチャオプラヤー川を眺めながら、また顔がニヤけてしまいました。
バンコクからたった1時間で充実のリラックス・タイムが体験できます。タイに訪れた際は、ぜひ行ってみてください!
※バーツの日本円換算は取材時のレートを参考にしています。