サドイチ? 大佐渡って?
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緑:大佐渡 黄色:小佐渡
日本有数の距離を誇る一周人気ルートのサドイチは大佐渡と小佐渡を巡る約210㎞。今回は絶景が密集する大佐渡を一周した。
行った人 米元 瑛さん
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福島県出身の29歳。弘前大学探検部では登山など自然に親しむ。会社員を経てアドベンチャーレースの世界へ。チームイーストウインドに所属。「乗り心地がいい MTBが好きです」。
乗車モデル:センチュリオン/バックファイヤー
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ご近所周辺&通勤で日常的に乗っている愛車。今回はタイヤをスリックに替えてオンロードの走りやすさをアップしてみた。
カフェ&ショップ併設、佐渡のアウトドア拠点『佐渡アウトドアベース』
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スポーツバイク(各種あり)やキャンプギアなどのレンタルが充実、ツアーも催行。併設のカフェでは160gのパテが3段の「まってでっけえバーガー」が大人気!
住所:〒952-0011 新潟県佐渡市両津夷271-1
電話:0259(58)8081
営業時間:9:00〜18:00
定休日:火
佐渡島を2泊3日で走る!
DAY 1
両津港~相川温泉
両津港から佐渡のクビレを横断。田んぼを抜けて相川温泉へ
ビワイチ、アワイチ、カスイチ。通称「◎◎イチ」の一周サイクリングルートは、ひと筆で結ぶ達成感がある。冒頭は琵琶湖、淡路島、霞ヶ浦のことで、新潟県佐渡島を巡るサドイチも負けず劣らずの人気を誇るルートだ。佐渡は島一周という明快さと景色の良さ、全長約210㎞でたっぷり走れるのも魅力。だが、「そんなに走れないよ〜」という方におすすめしたいのが約130㎞の「サドイチ大佐渡一周コース」だ。2泊ほどでゆったり回れて、佐渡の絶景が密集するいわばサドイチのイイトコドリ。この大佐渡を今回は2泊3日で回る。行ってきたのは、爽やか青年の米元瑛さん。
「佐渡は探検部のとき訪れた以来。ドンデン山周辺をひたすらに歩いて空腹で下山し、やっと辿り着いたスーパーが閉まっていたのがいい思い出です(笑)」
米元さんは大学卒業後にエンジニアとして楽しく働くも「これで一生終わる?」と、一念発起してアドベンチャーレースの世界に飛び込んだ。ラフティングガイドとして働きながらレースに挑戦しているが、今回はのほほ〜んとした休息旅。初日は夕陽を狙って午後一に両津港出発、まずは大佐渡と小佐渡の間にある国仲平野を抜けていく。
佐渡といえばトキ。江戸時代には全国的にいた鳥だったが乱獲や環境の変化などで絶滅した。
その後、中国から贈呈されたペアで国内飼育や復帰事業が最後の生息地だった佐渡で進み、現在は野生下に400羽以上が生息しているという。ドジョウやカエルを採食するトキは田んぼが生活圏。「あ、飛んでる!」米元さんもトキを見つけてにんまり。序盤はトキに出会える確率高し、探してみよう。
両津港から真野湾までルートを確認しながら気楽なアップダウンを繰り返していく。西南に進路をとりつつ、里山の風景のなかをゆっくり進む。真野湾から先は奇岩が連続する景勝地の大パノラマ。絶景玄関口の七浦海岸は食事処もある休憩スポットで伝統的な製塩法を復活させた工房などもある。日没よりもかなり早く着いたのでいったん宿に入り、頃合いを見て再訪してみた。水平線を橙色に染めて沈む太陽は、ぽってりとしてまるで佐渡特産のおけさ柿。じつにパーフェクトな夕景を拝んで、1日目は終了した。
13:30
START!
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港で自転車を組み立てて出発準備。帰りまで不要なものはフェリーターミナルのコインロッカーに入れて、旅のはじまり、はじまり〜。
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14:00
9㎞
田園に舞うトキに酔いしれる
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残雪を湛えた大佐渡山地を望む。田んぼをひらりと飛び交うトキの姿はここだけの風景だ。
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平野を一望できるテラスは24時間出入りできる。 住所:新潟県佐渡市新穂正明寺1277。
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発見! トキは翼を広げると、130㎝超!
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快調♪ 快調♪ 気持ちいいなぁ。
15:30
29㎞
写真映えスポット
あめやの桟橋へ
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真野湾の白い桟橋は写真映えすること間違いなし。ベンチもあるので休憩にも最適だ。ここからは45号線なので、道も分かりやすくなる。
発見! 古墳時代からあった塩作り
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海水を釜で炊き上げる伝統的な方法で作った佐渡の塩。佐渡でも製塩土器が出土していてその歴史は古い。
海をまるごといただきます!
めおと岩観光
夫婦岩がある七浦海岸にはドライブインと塩工房佐渡風塩釜(写真)がある。塩工房では見学(◯350円、佐渡の塩100g付き)や体験なども。目の前の海水から30時間かけて作られた塩はミネラルたっぷり。
〒952-1583新潟県佐渡市高瀬1267-5
問い合わせ先:0259(76)2511
16:30
42.7㎞
夫婦岩の奇岩ゾーンでは夕陽が!
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日本の夕陽百選にも選ばれている七浦海岸。大佐渡の西側はどこもかしこも夕陽の絶景スポットとなる。
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GOAL!
17:30
45.6㎞
相川温泉に投宿。温泉と海の幸で英気を養う
DAY 2
相川温泉~真更川
めくるめく奇岩と出会い荒波の真更川集落へ
2日目は佐渡金山の遺構からスタート。平根崎では波蝕甌穴を間近に見られる。碧く澄んだ穴は吸い込まれそうな美しさだ。一帯は斜めに隆起した岩肌なので観察時は十分に注意しよう。平根崎からすぐ近くの湧き水は集落の簡易水道にもなっている。田んぼを抜けて、お邪魔しま〜す! 晴天の汗ばむ陽気、ごくごくと喉を潤す米元さん。「ああ、うまい!」。ボトルも満タンに。
西側の海岸線はいわばすべてが見どころだ。立ち寄り時間はたっぷりと見積もっておこう。このあたりは佐渡弥彦米山国定公園内でもあるので、周辺の店は数えるほどしかないが、赤ちょうちんと佐渡発酵の店にはぜひとも訪れてほしい。
START!
8:20
北沢浮遊選鉱場跡&千畳敷
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鉱山の近代化に貢献した産業遺構。コンクリートに繁茂する緑が印象的。「こ、これはあのアニメ—ション!?」。
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千畳敷には回遊用の橋がある。「ガラス玉みっけ」
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9:40
15㎞
小石が回転して作られた奇観
平根崎・波蝕甌穴群&大清水湧水
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洗濯板のような岩肌を海岸近くまで下りると円形の潮だまりがぽつぽつ。岩肌に入り込んだ小石が波で旋回して削り出した穴。まさに自然の造形美だ。
発見! 米どころは、水どころでもある
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佐渡奉行が発見したという田んぼ脇の湧き水。看板などはないため、自転車旅だからこそアクセスできる!
11:15
27.6㎞
赤ちょうちんでお昼ご飯
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地元の方も通う食事&飲み処。チャーシュー麺と行者ニンニク入りの手作り餃子でチャージ。休業日でも予約すれば開けてくれる。
お食事処赤ちょうちん
〒952-2213
住所:新潟県佐渡市北田野浦1645-6
電話:0259(78)2220
営業時間:11:30~13:30
定休日:水
※夜は予約制
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誰が名付けたか、その名もZ坂
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坂で一気に高度を上げると走ってきた海岸線が眼下に広がる。ゆっくりマイペースで進もう! 正式名称は跳坂という。
GOAL!
14:30
44㎞
磯漁が盛んな真更川集落。
今宵の宿はココ
佐渡発酵販売所
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地場産の米と水と麹だけで作った甘酒・麹のおちちを。時間をかけてゆっくり発酵させている。「甘酸っぱくて旨い!」
〒952-2203
住所:新潟県佐渡市関650-1
電話:0259(78)2288
営業時間:8:30〜17:00
定休日:不定休
DAY 3
真更川~両津港
大野亀&二ツ亀、旅のハイライト。鷲崎漁港を経て一路両津港へ
START!
7:30
6.2㎞
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亀がうずくまっているように見える二ツ亀。海水の透明度は佐渡随一だ。「東京、意外と近い?」
最終日は大佐渡の先端にある大野亀と二ツ亀へ。「やっぱりマグマか〜」。米元さんは案内看板を前に頷いている。大野亀と二ツ亀はマグマが冷えて固まり隆起した貫入岩。学生時代に地質を学んでいた米元さんは、自転車から大野亀を見つめてその成り立ちに思いを巡らせる――。ダイナミックな景観は数千万年という途方もない時間の積み重ねだ。緩急に富んだ大佐渡の風景に大満足の米元さんだった。「♪またも行きたや〜 佐渡島〜 ハアリャサ〜 サッサ」
発見!"亀"様を生んだマグマの神秘
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亀はこの地では神様を意味する信仰の対象。鳥居までご挨拶に。マグマが冷えて固まった大野亀は巨大な一枚の岩なのだ。
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宿で作ってもらったおにぎり弁当で朝ご飯タイム。「うめぇ〜〜」。
9:00
13.4㎞
静かな鷲崎漁港、風に揺れる集魚灯
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佐渡一周線45号を少し逸れて鷲崎漁港を経由する。小さな漁港には船が何隻も係留されていた。出番を待つ鈴なりの集魚灯が微風に揺れる。
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佐渡サイコー!
GOAL!
11:00
43.6㎞
両津港に到着! ただいま~
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両津漁港で舞う佐渡おけさ人形に帰還報告。心地よいペースで走りを満喫。「気持ち良かった〜」。
<今回のルート>
両津港から加茂湖沿い県道65号を南下、新穂潟上集落付近から並行する市道に移りトキのテラスへ。真野湾へは西南に進路をとり、海に出たら45号だ!
MTB島巡りの楽しみ方
- スピードは重視せずに、のんびりいく
- 小径や段差の多い道も飛び込んでみる
- 足を動かしながらも景色は存分に堪能
※サドイチ大佐渡一周コース(さど観光ナビ) https://www.visitsado.com/sado/cycling/course1-2/
※構成/須藤ナオミ 撮影/亀田正人
(BE-PAL 2023年6月号より)