心浮き立つ春のハイキングには、軽快なトレラン系モデルがぴったり。おすすめの2モデルをホーボージュンが解説!
イタリアの俊足ブランド LA SPORTIVA
ラ・スポルティバ/ウルトララプターⅡ GTX
ロングディスタンス向けマウンテンランニングシューズ「ウルトララプター」のライニングにゴアテックスを採用したハイキングモデル。踵の安定感を高めるヒールスタビライザーやアッパーのフィット感を高めるパネルデザインなど、長い距離を安定して歩けるモデルである。
¥22,000
問い合わせ先:日本用品 03(3841)6965
SPEC
●サイズ=24.5〜29.5㎝
●カラー=掲載色のみ
●重量=約400g(片足)
ラギットなアウトソールと快適な足運びが特徴だ
最近僕はハイキングにトレラン系のシューズを使うことが多くなった。軽くてクッション性が高く、不整地でのグリップ力も高い。さらにソールが緩やかに反り上がった“ロッカー”や、つま先が少し下に落ちている“ドロップデザイン”が取り入れられていて無意識のうちにスッと足が前に出る。つまり緩やかな山稜歩きや、少ない荷物で軽快に歩くファストハイキングにはぴったりなのだ。
イタリアの大人気ブランド「ラ・スポルティバ」はその代表で、このモデルは100マイル(約160㎞)を安定して走れる長距離モデルにゴアテックスを内蔵し、全天候型に強化したもの。雨や水たまりをモノともしないし、スパイク状のソールは排土性能も高いのでぬかるんだ道でもガンガン進める。
さらにつま先にはトゥガードが、アッパー全周にはプロテクション用コーティングが施され、岩稜帯や木の根から足をガードしてくれる。スポーツシューズの軽快さと登山靴の頼もしさを兼ね備えているのだ。
甲高で幅広の日本人の足にもフィットする「ワイドモデル」も用意されているので、ぜひとも試してみてほしい。
ここがスゴい!
ロッカー形状なので足運びが軽快なのだ
平面の上に置くとアウトソール全体が緩やかに湾曲しているのがわかるだろう。これをロッカー(船底)形状と呼び、着地から蹴り出しまで、自然と足が前へ運ばれる。
つま先を保護するトゥガードを備える
岩や木の根などからつま先を守るトゥガードを備えている。アッパーもグルッと樹脂コーティングで強化されているので、厳しい環境の中へも怯まずに踏み込んでいける。
柔軟に動くスパイクと排土性の高さが特徴
砲弾形のスパイクがそれぞれ独立して地面の凹凸を捉えるのでグリップ力が高く、泥はけもいい。またカカト部は下りのブレーキ性能を重視したパターンになっている。
フランスの冒険ブランドSALOMON
サロモン/Xウルトラ4 GTX
人気の防水ハイキングモデルが一新され第4世代に進化。ソールには成形インサートが埋め込まれていて左右のねじれを防ぎつつ、前後にはしっかりと屈曲する。併せて可動式ウイングが足をしっかりホールド。動きやすさを損なわずに傷めやすい関節の保護力を格段に高めた。
¥19,800
問い合わせ先:サロモン コールセンター 03(6631)0837
SPEC
●サイズ=25〜32㎝
●カラー=掲載色ほか全5色
●重量=390g(片足)
軽快でありながら安定感も兼ね備える
いっぽう山岳レース界のライバルであるフランスの「サロモン」にも、ランニングとハイキングをクロスオーバーさせたモデルがある。それがこの「Xウルトラ4 GTX」。商品名からもわかるように本作で第4世代になるロングセラーだ。
最大の特徴は、新設計のシャーシ構造。足裏をグルッと回り込んだ樹脂製インサート(写真のブルーグレーのパーツ)がサイドベルトを介してシューレースにつながり、靴紐を締め込むと甲がしっかり固定され、足首が外側にひねりにくくなる。だから不整地でのくじきや捻挫の危険性を下げてくれるのだ。
これに加え「コンタグリップ」という山岳レースで高い評価を受けている高グリップタイプのコンパウンドや、安定感に優れる独自のブロック形状とあいまって、足元の安定感がめちゃくちゃ高いのである。
個人的に気に入っているのが「クイックレース」という、コードを引っ張るだけで簡単に締め込める靴紐のシステム。これはサロモンの多くのモデルに搭載されている看板システムだが、行動中の調整が簡単だし、着脱も楽なので普段使いもしやすい。万人にオススメできる新作だ。
ここがスゴい!
素早い着脱が可能なクイックレース搭載
サロモン独自のクイックレースシステム。細くて丈夫な紐を引き上げるだけで、しっかりと締め上げることができる。着脱が簡単なので普段使いにもとても便利なのだ。
進化したシャーシと可動式ウイング
アウトソールに埋め込まれたインサート(アドバンスドシャーシ)と外側の可動式ウイング(アクティブサポート)が連携して安定感を高め、関節を保護してくれる。
接地面が広く平らで歩行安定性が高い
広い面積で接地するソールのデザインと、両サイドのエッジをしっかり捉えるスパイク(黄色いブロック)のおかげで安定性がとても高い。フラットな舗装路も歩きやすい。
解説したのは…ホーボージュン
大海原から6000m峰まで世界中の大自然を旅する全天候型アウトドアライター。Twitterアカウントは「@hobojun」。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2023年3月号より)