金子浩久が2022‐2023 日本カー・オブ・ザ・イヤーで日産「サクラ/三菱ekクロスEV」に10点を投じた理由 | クルマ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2022.12.14

    金子浩久が2022‐2023 日本カー・オブ・ザ・イヤーで日産「サクラ/三菱ekクロスEV」に10点を投じた理由

    日本カー・オブ・ザ・イヤーは、日本のモータリゼーションの発展と、コンシューマーへの最新モデルおよび最新技術の周知を目的として1980 年に創設。2022‐2023日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは日産サクラ(左)と三菱ekクロスEV(右)。日産と三菱の合弁会社、NMKVが開発した。

    2022年128日に「第43回 日本カー・オブ・ザ・イヤー 2022-2023」が発表され、大賞は日産サクラ/三菱ekクロスEVに決定しました。 おめでとうございます! ビーパルの担当者として「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務める金子浩久さんは、日産サクラ/三菱ekクロスEV10点満点を投票。その理由を解説します。

    完成度の高さとEV普及への貢献度の高さを評価

    ジャーナリスト、有識者からなる60 名の選考委員による第一次選考で、上位10 台の「10 ベストカー」が選出され(写真)、その中から、同じく選考委員による最終選考投票により、今年度のイヤーカーが決定した。

    BE-PALの推薦を受けて選考委員を務めている私が、20222023 日本カー・オブ・ザ・イヤーで日産サクラ/三菱ekクロスEV10点を投じた理由は、その完成度の高さとEV普及への貢献度の高さからです。

    これまでにも、軽自動車のEV(電気自動車)は存在していました。三菱自動車アイミーブとその派生モデルです。その革新的な設計が時代よりも進みすぎていたために、フルモデルチェンジを迎えることなく、終了してしまいました。

    サクラとekクロスEVEVの長所を活かして静かに、滑らかに走ることにはもはや驚かされません。軽自動車らしく、小さなボディをキビキビと走らせます。

    軽自動車を超越した存在になっている

    日産サクラ。価格は233万3100円から。

    三菱ekクロスEV。価格は239万8000円から。

    驚かされたのは、首都高速道路に上がった時でした。アップダウンもあり、大小のコーナーが続く横浜周辺の横羽線と湾岸線を走っても、軽自動車とは思えない力強く鋭い加速をしました。

    これまでのエンジン付き軽自動車で同じ走り方をすると、高まったエンジン回転が唸り声を上げて、車内は急にやかましくなります。振動も増えますが、EVにはそれがありません。充電しながらの長距離走行も快適なはずです。サクラとekクロスEVは軽自動車でありますが、軽自動車を超越してしまっているのです。

    さらに、サクラに限って魅力的なのはインテリアデザインです。すでに発表されている日産の中型EV「アリア」のデザイン言語と共通するモダンでクールな造形と素材遣いが施されています。

    その点、ekクロスEVは従来からの軽自動車のセンスに踏み止まっていますが、こちらを好む人々もいるでしょう。

    日産サクラのインテリア。ファブリックを広範囲にしつらえ、カッパー色のフィニッシャーをアクセントとしている。

    日本独自の軽規格がEVの普及を推進していく

    日産サクラ/三菱ekクロスEVの駆動用バッテリー(20kWh)。搭載効率を高めるユニバーサルスタック構造により、広い室内空間を確保しながらも、最大180km(WLTC モード)と、日常生活に十分な航続距離を確保している。

    EVの望ましい使い方は、自宅での普通充電です。帰宅し、コンセントを差し込んで深夜帯に設定しておいた割引料金で充電し、翌朝に出掛ける時には満充電で出発する、というスタイルです。

    軽自動車はセカンドカーやサードカーとして使われる地方での需要が多く、一回の走行距離も短い。自宅で充電できる一軒家で使われることも多いなど、軽自動車EVには好適な条件が揃っています。

    また、次々とガソリンスタンドが廃業していく厳しい時代ですが、EVならば、その心配も要りません。自宅に太陽光パネルを設置し、それで発電される電気でEVを走らせられれば、移動エネルギーを自給自足できます。

    パワートレインを単にエンジンからモーターに置き換えただけではない新しいカーライフがEVでは始まるのです。静かで滑らかといった走行性能面での優秀性もさることながら、所有し、使用していく日常の中ででこそ、EVの革新性と合理性を享受できるのではないでしょうか。

    日本はまだ外国のようにEVを巡るインフラ整備が途上にあります。しかし、日本独自の軽自動車というカテゴリーそのものがEVの普及を強く推進することになるのだと考えます。その意義と意味の深さに、今年度のカー・オブ・ザ・イヤー最高点10点を投じました。

     

    日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト

    https://www.jcoty.org/

     

    金子浩久
    私が書きました!
    自動車ライター
    金子浩久
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、「レクサスのジレンマ」「ユーラシア横断1万5000キロ」ほか著書多数。https://www.kaneko-hirohisa.com/

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