これぞ「究極の軽キャンピングカー」!元自動車メーカーのエンジニアが自作。 | サバイバル・防災 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2017.12.02 b*p

    思い立ったら「家」になる、夢のような車を発明しちゃったスゴイ人がいる。ベース車両は、軽トラック。開発したのは元・大手自動車メーカーのエンジニア。こういう車を見ると、ニッポンのものづくりの底力って、やっぱり侮れないと思うんですよ。

     ある日、編集部に1通の手紙が届いた。なんでも「キャンプから災害時、はたまた移動販売までマルチに使える「軽トラ用のキャンピングシェル」を開発したので、ぜひ見にきてほしい」とのことだ。
     同封されている写真を見ると……な、なんじゃ、これは!!

     さっそく栃木県日光市へ向かった。

     この多目的シェルを作ったのは、約30年にわたって大手自動車メーカーで設計や開発、商品企画業務を行なっていたという小太刀さん。在職中から思い描いていた構想を、じつに2年の歳月を費やして実現したのだとか。


    小太刀 豊(こだち・ゆたか)さん(64歳) 
    大手自動車メーカーで企画・開発業務に携わった後、外資系企業を経てグリングローブ株式会社を設立。主に電気自動車や多目的シェル事業を手がける。

    「特徴は、なんといっても2つの箱を重ねることによって実現した《回転拡張型シェル構造》です。この部分は世界初の機構として実用新案特許を取得しました」

     シェル部分は軽トラックの荷台に載せるだけの着脱式。荷物扱いなので、車検の際は取り外してしまえば普通の軽トラックとして通すことができる。

    「現状は試作品に近いものですが、私や甥っ子が乗って、実際に北海道などの旅でも使用しました。いつ、どこでも横になって寝られるスペースがあるというのはやはり便利ですね」

    ▲軽トラの荷台を最大限に活用できる拡張式のキャンピングシェル。展開したシェルの全長は3ⅿほどになる。

    ▲引き出したシェル後部は1.9mの全高を確保。大人4名が立った状態で入ることができ、非常用シャワー室としての需要も想定する。

     

    軽トラに積んだ箱を手で引っぱるだけで「家」に変身!

    ▲まずは、外側のシェルと荷台を固定するロック機構を解除する。シェル後部に備え付けられたロープを引っ張れば、外側の箱だけスライドして展開できる仕組みだ。

    ▲シェルの支持部には、段差などの衝撃を吸収するリーフスプリングを使用している。

    ▲滑車とレールを用いた構造なので、大きな力は必要なし。ひとりでもスムーズに展開できる。

    ▲スライドしながら回転する画期的な機構は「サイクロイド」という平面曲線を応用している。

    ▲シェルが90度回転して展開は完了。シェルの後端がぴったりと地面に着くよう各部の寸法が綿密に計算されている。

    ▲シェルの前部には通気性を高めるために開閉可能な窓が設けられている。今後は、窓のサイズをもう少し大きくする予定だとか。

    ▲荷台とシェルの間にはあえて隙間を設け、発電機など、外置きしたい荷物が積載できるようになっている。

    ▲荷台とシェルはボルトで固定。連結部にダンパーの役目を果たすゴムブッシュを採用することで、走行時の振動や衝撃を緩和させている。

    ▲シェルは、展開していない状態でもそのまま荷室として使用可能。1台でトラックとバンを使い分けることができる。

    ▲小太刀さんの甥が試作モデルを使って1か月半、北海道を旅行。登山のベースキャンプとして大いに活躍した。

    ▲小太刀さんの甥が書いたレポートノート。「ドアに鍵がほしい」「室内にライトがあったほうが良い」などの提案があった。

     「熊本地震の際、現地を訪れたら、被災された方から『これがあれば避難時に助かったのに』といわれました。地方では、軽トラックを所有する世帯も多いので、もしもの備えとしても有用だと思ってます。今後は、現状140㎏ほどの本体重量を軽くすることが目標です」(小太刀さん)

     山登りやフェスに出かけるときに、前日泊まったりする基地になるし、田舎に土地を借りて、毎週末このキャンピングシェルで通ったら、楽しいジンセイになるだろうなぁ……。

    なんたって、思い立ったらどこでも家になる夢のような軽トラ・キャンピングカーである。こんな車を発明しちゃったというのは、やはりすごいことではないでしょうか?

    ■問い合わせ先/グリングローブ ☎0288(27)3500 

     

    ※構成/佐藤旅宇、b*p編集部 撮影/高柳 健 初出『BE-PAL』2017年 9月号

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