軽トラキャンピングカーのシェルが回転し拡張! 自作したのは元自動車メーカーのエンジニア | キャンピングカー・車中泊 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

キャンピングカー・車中泊

2023.06.26

軽トラキャンピングカーのシェルが回転し拡張! 自作したのは元自動車メーカーのエンジニア

思い立ったら「家」になる、夢のようなクルマを発明しちゃったスゴイ人がいる。ベース車両は、軽トラック。開発したのは元・大手自動車メーカーのエンジニア。こういうキャンピングカーを見ると、ニッポンのものづくりの底力って、やっぱり侮れないと思うんですよね!

軽トラDIYというには本格的すぎる「居住部拡張型」軽キャンパー

ある日、編集部に1通の手紙が届いた。なんでも「キャンプから災害時、はたまた移動販売までマルチに使える『軽トラ用のキャンピングシェル』を開発したので、ぜひ見にきてほしい」とのことだ。

同封されている写真を見ると……な、なんじゃ、これは!!

軽トラキャンピングカーの荷台の居住部を拡張して地面に設置しているところ

さっそく栃木県日光市へ向かった。

制作者は元大手自動車メーカーの設計開発者

この多目的シェルを作ったのは、約30年にわたって大手自動車メーカーで設計や開発、商品企画業務を行なっていたという小太刀さん。在職中から思い描いていた構想を、じつに2年の歳月を費やして実現したのだとか。

腕組みして林道に立つ眼鏡の男性。ネイビーのボーダーTシャツに短パン姿

小太刀 豊(こだち・ゆたか)さん。大手自動車メーカーで企画・開発業務に携わった後、外資系企業を経てグリングローブ株式会社を設立。主に電気自動車や多目的シェル事業を手がける。

軽トラの荷台を手で引っぱるだけで「家」に変身!

「特徴は、なんといっても2つの箱を重ねることによって実現した《回転拡張型シェル構造》です。この部分は世界初の機構として実用新案特許を取得しました」(小太刀さん)

軽トラの荷台と居住部を止める金具。左手に赤い発電機

まずは、外側のシェルと荷台を固定するロック機構を解除する。

軽トラキャンピングカーの荷台の居住部を拡張するべく、男性が荷台に載せた箱の上部にあるロープに手を掛けている

シェル後部に備え付けられたロープを引っ張れば、外側の箱だけスライドして展開できる仕組みだ。

軽トラキャンピングカーの荷台の居住部を拡張するべく、男性が荷台に載せた箱の上部にあるロープに手を掛けて引っ張ったところ

滑車とレールを用いた構造なので、大きな力は必要なし。

軽トラキャンピングカーの荷台の居住部を引っ張り、45度くらいの角度で後方に下ろしている途中

ひとりでもスムーズに展開できる。

軽トラキャンピングカーの荷台の居住部を引っ張り、75度くらいの角度で、ほぼ垂直に地面に下ろすところ。荷台上部にも別の居住部が残っていてくの字型になっている

するする~と回転しながら着地準備。

軽トラキャンピングカーの居住部を後方に下ろした状態。荷台上部の居住部とあわせて逆L字形の居住空間となっている

シェルが90度回転して展開は完了。シェルの後端がぴったりと地面に着くよう各部の寸法が綿密に計算されている。

車検もラクラク!これが世界初「回転拡張型シェル構造」だ

シェル部分は軽トラックの荷台に載せるだけの着脱式。荷物扱いなので、車検の際は取り外してしまえば普通の軽トラックとして車検を通すことができる。

荷台上部の居住部をスライドさせる機構

スライドしながら回転する画期的な機構は「サイクロイド」という平面曲線を応用している。

後方に下ろした縦長の箱形居住部

軽トラの荷台を最大限に活用できる拡張式のキャンピングシェル。展開したシェルの全長は3ⅿほどになる。

後方のドアから見た居住部の内部。

引き出したシェル後部は1.9mの全高を確保。大人4名が立った状態で入ることができ、非常用シャワー室としての需要も想定する。

荷台上の居住部の窓を手で開けている小太刀さん

シェルの前部には通気性を高めるために開閉可能な窓が設けられている。今後は、窓のサイズをもう少し大きくする予定だとか。

荷台の上に居住部を固定している金具とゴムのダンパー

荷台とシェルはボルトで固定。連結部にダンパーの役目を果たすゴムブッシュを採用することで、走行時の振動や衝撃を緩和させている。

荷台の上にある居住部の外側に設置された湾曲した板バネ

シェルの支持部には、段差などの衝撃を吸収するリーフスプリングを使用している。

車中泊ものびのび!北海道旅行や日本一周にも便利

「現状は試作品に近いものですが、私や甥っ子が乗って、実際に北海道などの旅でも使用しました。いつ、どこでも横になって寝られるスペースがあるというのはやはり便利ですね」(小太刀さん)

海岸沿いに止めた白い軽トラキャンピングカー。荷台上の居住部は赤い縁取りがされている

小太刀さんの甥が試作モデルを使って1か月半、北海道を旅行。登山のベースキャンプとして大いに活躍したという。

ノート

小太刀さんの甥が書いたレポートノート。「ドアに鍵がほしい」「室内にライトがあったほうが良い」などの提案があった。

災害時にもこんな軽キャンパーがあったら心強い

「熊本地震の際、現地を訪れたら、被災された方から『これがあれば避難時に助かったのに』といわれました。地方では、軽トラックを所有する世帯も多いので、もしもの備えとしても有用だと思ってます。今後は、現状140㎏ほどの本体重量を軽くすることが目標です」(小太刀さん)

いざというときに避難するシェルターになるというのはなんとも心強い。しかも移動式なんだから。

荷台上の赤い発電機

荷台とシェルの間にはあえて隙間を設け、発電機など、外置きしたい荷物が積載できるようになっている。

居住部を荷台に収納した状態で、後方の開口部を開いた状態。トラックの荷室のような空間に大きなプラボックス

シェルは、展開していない状態でもそのまま荷室として使用可能。1台でトラックとバンを使い分けることができる。

キャンプや山登りはもちろん、温泉めぐりやフェスに出かけるときに、こんな軽トラキャンピングカーがあったらすごく便利そうだ。田舎に土地を借りて毎週末このキャンピングシェルで通ったりして、そのうち日本一周とかできたら楽しそうだなぁ……。

思い立ったらどこでも「家」になる夢のような軽トラ・キャンピングカー。こんなクルマを発明しちゃったというのは、やはりすごいことではないでしょうか?

■問い合わせ先/グリングローブ 電話:0288(27)3500 

※構成/佐藤旅宇 撮影/高柳 健 初出『BE-PAL』2017年 9月号

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