キャンピングカーのトイレの悩みを解決!後処理不要の「ラップポン」 徹底解説

キャンピングカー・車中泊

2022.02.06

キャンピングカーのトイレの悩みを解決!後処理不要の「ラップポン」 徹底解説



ラップ式ポータブルトイレ「ラップポン・トレッカー」

車内トイレがあると車中泊が劇的に快適になる、というのが私の持論ですが、汚物を廃棄し、タンクを洗浄し、再びセットする……という後始末の手間は無視できないものがあります。

常にタンクの残量に気を配らなければなりませんし、旅先で汚水を処理できる場所を探すのも大変です。実際に「メンテナンスが気がかりだから使わない」という声も耳にします。

それらの問題を一挙に解消できるのが、日本セイフティー株式会社のポータブルトイレ「ラップポン」。今回は同製品のメリット・デメリットを解説します。

私のモデルは「トレッカー3」という少し前のもので、現行版は「トレッカー WT-4」になります。現行版には音声案内やオート電源オフなど便利機能が追加されているようですが、基本性能には大きな違いがないはずです。

各部の構造

ラップポン・トレッカー外観

外観はがっしりと角ばって無骨。各辺40cmほどの大きさで、巨大なジュラルミンケースのようにも見えます。狭い車内では、膝などをぶつけないように十分に注意しなければいけません。

それもそのはず、災害時の使用を想定した製品なんです。平時には積み重ねて収納でき、大勢の人の使用にも耐える。東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨災害など多くの被災地、避難所で活用されたのだそうです。

ラップポン・トレッカー外観

脚は折りたたんで収納でき、上部の取っ手でスーツケースのように持ち運びができます。ただし本体は10kg以上(WT-4で約12kg)あり、女性でも持てないことはありませんが、かなり重いです。取り回しのしやすさやインテリア性よりも、耐久性・実用性を重視した堅強な製品だと思います。

ラップポン・トレッカー

ロックを解除し、フタを開けると便座があります。便座シートを貼ると冬でもひんやりせず、また家庭のトイレに使用感が近くなるので私はそうしています。

ラップポン・トレッカー機械部

さらに便座を外すとこの製品の要、機械部分が登場。「フィルムロール」という消耗品を取り付けて使います。

ラップポン・トレッカー機械部

機械部分を真下から見たところ。

動作には電気が必要なので、ACアダプターをコンセントに差して使うか、オプション品としてリチウムイオンバッテリーや車用DCケーブルも販売しています。

本体の操作はリモコンで行ないます。とはいえ、本体とコードでつながっているリモコンなので、遠隔操作というよりは手元で使うイメージです。

使い方

ラップポン・トレッカー

実際に使ってみます。排泄前に規定量の凝固剤を投入。

後述しますが、個包装の凝固剤の場合は「1包で約200ccの排泄物を固めることが可能」となっています。ここではデモンストレーションとして水200ccを入れました。

ラップポン・トレッカーのリモコン

リモコンの表示・形状は製品によって異なる。

排泄したらリモコンのスイッチを押します。

このとき、ウェットティッシュや生理用品や凝固剤の空き袋など、フィルムを傷つけない程度に小さく軟らかいものなら一緒に封入することができます。

ラップポン・トレッカー

自動でフィルムが中央部に巻き取られ、排泄物が下降していきます。車外に聞こえるほどではありませんが、動作時は音がします。フィルムが巻き込まれる「ジー!」という機械音、そして圧着終了時の「ピッピッピッ!」という電子音です。

現行機WT-4では「処理を開始します」などの音声案内が出るそうです。先に寝ている家族がいるときには少し気をつかうかもしれません。

ラップポン・トレッカー処理イメージ

およそ90秒で袋の口が熱圧着されます。自分で結んだり封をしたりという必要がないので手が汚れず、また誤ってこぼしてしまうような心配もありません。

加えて本体は常に新しいフィルムが表面に出ている状態になるため、掃除がほとんどいりません。

ラップポン・トレッカー処理イメージ

終わったら袋状になって下に落ちてくるので取り出します。防臭フィルム(BOS)のため匂いもシャットアウト。微生物(細菌)も遮断することから感染症対策にも有効だそうです。

これまで100回以上使っていますが、内容物がもれたり、あとから匂いがしたりということは一度もありません。私は試したことはありませんが、大便にも対応しています。

水分はゼリー状に固まります。あとは紙オムツやペットシーツと同様に処理できるので、自治体の指示に従います。家庭ゴミとして捨てられるところが多いのではないでしょうか。

必要な消耗品

ラップポン・トレッカー消耗品

使用には2種類の消耗品が必要です。汚物を包み込むための「フィルムロール」と、汚物を固めるための凝固剤「カタメルサー」または「カタメルポリマー」です。凝固剤はどちらを選んでもOK。

トイレットペーパーかウェットティッシュもあるといいですが、それは好みの商品でいいでしょう。

「フィルムロール」(税込4400円/2022年2月現在)

約50回分がロール状になっています。機械内部にセットして使う専用品なので、計画的に買い足しておく必要があります。

「カタメルサーT3」(税込1100円/2022年2月現在)

6リットル (通常使用約60回分)が大袋に入っていて、スコップで計って使います。尿量によって投入する量を加減できるところが便利なので、私はこちらを愛用しています。

「カタメルポリマー」(税込1265円/2022年2月現在)

50袋の個包装になっていて、上記の「カタメルサー」よりも粒子が小さく、サラサラとした粉のような質感です。個包装なので不特定多数の人が使うような場合や、備蓄が目的の場合はこちらがお勧め。

トイレ1回分で費用はいくら?

ラップポン・トレッカー消耗品

上記の商品を毎回消耗するとして、1回につきどれくらい費用がかかるのでしょうか。あまりに割高だと使いにくいですよね。公式ホームページでは以下のように回答しています。

Q. 消耗品の使用回数とコストはどのくらいですか?

A. 「フィルムロール」と「専用凝固剤カタメルポリマー」は約50回分、1ラップ分で約100円です。

引用元:日本セイフティー株式会社(https://wrappon.com/faq

実際に税込価格で計算してみたところ以下のようになりました。

  • フィルムロール(4400円÷50回)=1回につき88円
  • カタメルサー(1100円÷60回)=1回につき18円
  • カタメルポリマー(1265円÷50回)=1回につき25円

やはり使用1回につき合計106円~113円くらいといえそうです。もっとも「カタメルサー」は量を加減できますし、「フィルムロール」も50回でいきなり切れるわけではなく余分がありますから、もう少しコストは下がるかもしれません。

なお、本体価格は税込17万6000円(2022年2月現在)。初期投資の回収という意味では長期計画になるでしょう。

しかし、排泄物が瞬間的に密封され、「早くどこかで処理しなくては」と心配しなくて済むのはかなり気楽で便利です。自宅に着いたら、ほかのゴミと同じように回収して家の中に持って行くだけ。

薬剤で中和するのではなく、匂いのもとを封じ込めるので「薬液の匂いがする」といったこともありません。本体表面に出ているのは常に新しいフィルムですから清潔感もあります。

旅行中にタンクの残り容量を気にする必要もありませんし、洗浄も不要なので水がないところでも使えます。いまのところ故障も経験していません。通常の使用の範囲内では、ほとんど手入れのいらない製品といえるでしょう。

メリット・デメリットまとめ

キャンピングカーで一般的な、タンクを使うトイレと比較した場合、私の考えるメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 排泄物の処理が簡単(ゴミとして廃棄できる)
  • 防臭、細菌遮断効果に優れる
  • 本体に直接汚物がつかず清潔
  • タンク残量を気にせず使用できる
  • 水が必要ない
  • 汚物のついたウェットティッシュや生理用品なども密封できる

デメリット

  • 本体価格が高額である
  • 毎回消耗品が必要
  • 電源が必要(少なくとも充電したリチウムイオンバッテリーが必要)

あらかじめ計画するのがお勧め

ラップポン・トレッカー

分類としてはポータブルトイレになるので後付けが可能ですし、逆に不要になったときは自宅でも介護用などに使えます。

ただし、ある程度の床面積が必要なこと、電源が必要なことから、キャンピングカーに搭載するなら購入時に計画することがお勧め。かくいう私も、あらかじめコンセントの位置など調整してもらいました。

導入以降、トイレを気にせず自由に旅ができるようになりました。決して安くはない買い物でしたが、搭載してよかった装備ナンバーワンです。

私が書きました!
フリーライター
SAYA
グルメ、トラベル、車中泊、クルーズなどの記事を執筆しているフリーライターです。バンコンタイプのキャンピングカーで全国を巡っています。太陽も昆虫も苦手なインドア派ですが、車中泊×観光の組み合わせに無限の可能性を体感中。車を拠点にした遊びの話題をお届けします。

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