コッヘル、クッカー…どっちが英語?登山用語で使われる「意外と知らないアレ」をまとめてみた
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    2022.01.07

    コッヘル、クッカー…どっちが英語?登山用語で使われる「意外と知らないアレ」をまとめてみた

    登山やキャンプなどアウトドアをこよなく愛する皆さんは、日頃使っているアイテムの呼び方の中から、見た目は同じなのに呼び方がなぜか違うと感じることがありませんか。例えば「コッヘル」と「クッカー」なども同じ物なのか別の物なのか??

    日頃使っているけど名前が違っているので戸惑うこともあるそんな「アレ」をいくつか集めてみました。

    ©︎2021 Tetsuji Nagashima .All Rights Reserved

    登山用語はドイツ語で表現されているのが多いというのは本当?

    これ本当です。

    ドイツと日本とは歴史的に深い関係がありますよね。そんなこともあり、1868年の明治維新以降に近代国家を目指した日本は多くのことをドイツから学ぼうとしました。伊藤博文がドイツの憲法を参考に日本独自の憲法をつくろうとしたことは有名です。

    よく耳にする医学の専門用語でも実はドイツ語が語源となっているものが多くあり、英語でカードを意味する「カルテ」は有名。それ以外にも「アレルギー」「レントゲン」「ワクチン」などが現在も日常的に使われています。

    ©︎2021 Tetsuji Nagashima .All Rights Reserved

    ドイツ語由来の登山界で使われている『外来語』について

    アウトドアスポーツの分野も例外ではなく、その昔に登山技術や用具が欧米からたくさん日本に持ち込まれたことから、現在でも実に沢山の英語、ドイツ語、フランス語などが混ざって使われているのが現状です。

    今回は、ドイツ語を語源としたアイテムを紹介したいと思います。

    具体的にどんなものがあるのでしょう。冒頭に紹介したコッフェル(Kocher)と言えば、登山やキャンプで使われる携帯用の小型調理器具のことを指しますが、これも語源はドイツ語なんです。英語ではクッカー(Cooker)と呼びます。なので、どちらも同じものを指しています。

    キャンプでの焚き火でも安心して使えると、昨年にSNSなどで話題となったワークマンの「綿かぶりヤッケ」と言う商品。あのヤッケ(Jacke)という言葉も上着を指すドイツ語なのです、英語ではジャケット(Jacket)と訳されます。

    ドイツ語でコッフェル(Kocher)、英語ではクッカー(Cooker)と呼びどちらも同じものを指しています

    あなたはどちらを使ってますか?代表的なものを集めてみました

    こうやって見ていくと、アウトドアを楽しまれている皆さんの中でも、日常的にドイツ語が語源となった名称が使われていることに気が付きます。次の表に代表的なものをまとめて見ました、あなたはどちらを使っているかチェックして見て下さい。

    英語が語源

    内容

    ドイツ語が語源

    バックパックまたはパック(backpack)

    背中に背負うバッグのこと

    リュックサックまたはザック(rucksack)

    ジャケット(jacket)

    上着のこと

    ヤッケ(Jacke)

    クランポン(crampon)

    雪上を歩く際に滑り止めとして靴底に装着する金属製の爪

    アイゼン(steigeisen)

    アイスアックス(ice axe)

    積雪期の登山に使うつるはしのような形の道具

    アイスピッケル(eispickel)

    ロープ(rope)

    クライミングで使う綱

    ザイル(kletterseil)

    スリーピングバッグ(sleeping bag)

    寝袋。袋状の携帯用寝具

    シュラフ(schlafsack)

    テント(tent)

    天幕(てんまく)とも呼ばれる布地と棒で構成されたの簡易住居

    ツェルト(zelt)

    ロッジ(lodge)

    宿泊などのために、山の中に建てられた小屋

    ヒュッテ(hütte)

    日本ではツェルトと言うと、テントではなく登山の緊急避難時などに使用されるのシェルターのことを指します。しかし最近では、ツェルトは小型軽量のテント代わりとして注目されているアイテムです。

    アイゼンはドイツ語のシュタイクアイゼン(Steigeisen)の略で和製語。steig(登る)+Eisen(鉄)の意。ドイツ語ではこのように単語が組み合わさる形が特徴です。

    ザイルからロープへ 登山用語はドイツ語から英語へ 

    今の登山業界では、これらの用語については英語に統一していこうという考えが主流となっています。用具メーカーを中心に、英語の名称がカタログなどに使われる機会も増えてきていると感じています。ショップではユーザーにわかりやすくする為に、ドイツ語と英語の両方の表記を使っていることもあります。

    昔の呼び方だった時代は終わり、ほとんどのショップや誌面などでは“ザイル”と呼ばず“ロープ”と呼ぶようになったように、英語名が主流になっていったアイテムもあります。こうした流れは、やはり世界で最も使われている言語が英語ということもあり、登山界やアウトドア界においても英語表記を近年採用してきたことが理由です。とはいえ、現在でもドイツ語を語源とした用語は日本の愛好家の間に多く残っています。筆者もクランポンのことはアイゼン、バックパックはザックと呼ぶ派です。

    長い間使い続けた言葉は、なかなか変えられないものですが、これからもアイテムの技術的な進化の流れの中で呼び方も時代と共に変化していくのでしょう。

    どうでしたか。ここではご紹介しきれなかった物も沢山あります。ぜひ手に取った時にこの呼び方は英語なのか他の言語なのか調べてみると新しい発見があるかも知れません。

    私が書きました!
    JSPO公認山岳コーチ
    岸 正夫
    アウトドアの楽しみを多くの人と共有したいと“山ごはんクラブ”を主宰。キャンプだけでなく低山ハイキングから高山縦走まであらゆる山行を楽しむ。トレイルランニングやウルトラランニング歴も長い。遊ばせてもらっているフィールドに恩返しする気持ちで、ハイキングコースの整備に取り組んでいる。

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