インドネシアは約1万4000の島で構成される国です。海洋資源も豊富で、マグロやエビなどは日本に輸出され、日本の食卓を飾っています。
もちろん商用だけでなく、釣り堀や池、そして海釣りまで、釣りを趣味としている人も多く、地元のテレビ局の釣り番組「マンチング・マニア」(インドネシア語で「釣りマニア」の意味)は高い人気を集めています。
インドネシアの首都ジャカルタ在住の筆者も、2012年に全くの初心者ながら知人に誘われて海釣りに行って以来、その魅力に目覚めてしまいました。
ジャカルタ発、気軽に行ける日帰りの海釣り
ジャカルタは東西に長いジャワ島の北西部にあります。ジャワ島の北岸はジャワ海、南岸はインド洋に面しているため、ジャカルタからも日帰りまたは1泊2日で気軽に海釣りに行くことができます。
日帰りの場合は、ジャカルタ北岸の港から夜明け前に釣り専用のスピードボートでジャワ海に向けて出港します。白々と明けていく海と空を眺めながら約2時間かけて沖に出れば、水深約30メートルの底釣りやジギングが楽しめます。
ポイントを変えれば、鯛もイカも釣れる面白さ
ジャワ海で釣れるのは、赤鯛、ハタ、シマアジ、カマス、サワラ、ウマヅラハギ、アオリイカなどで、地元ではジネハと呼ばれている金色がかった鯛の一種などもいます。
アタリはそれぞれ個性があり、中でもシマアジは引きが強いので初心者にもわかりやすく、大物かもという期待を持たせてくれます。水深約15メートル地点でエギで釣るイカは、もぞもぞとした手応えなのでかかったのかわかりにくいのですが、イカ釣り好きにはそこが魅力だそうです。
魚と綱引き20分、腕は痛くとも釣り上げた喜びは格別
底釣りをする場合の餌は、生きた小エビ、小魚、スーパーで購入したイカの切り身などです。テグスに針と餌をつけただけでも釣れる赤鯛は、時に大物がかかります。
筆者も2017年に66センチ4キロの大物を釣り上げました。この時はガツンという強いアタリを感じて急いでテグスを巻き上げようとしたのですが、魚も必死で引っ張るので綱引き状態となり、魚の力が弱まったタイミングで巻き上げ、魚が強く引いてくる時は耐える、を繰り返し、釣り上げるのにたっぷり20分かかりました。腕が痛くなりましたが、今でも格別の思い出になっています。
また、筆者を最初に釣りに誘ってくれた知人は、別の時に体長1メートル、重さ約12キロのスギ(ガブス)を30分かけて釣りました。底の方から次第に大きな魚の姿が見えてきた時のワクワク感は、自分が釣った魚でなくてもたまりません。
インドネシアならではの、船員による至れり尽くせりのサービス
インドネシアの海釣りでは、釣り船の船長や船員が甲斐甲斐しく釣り人の世話をしてくれます。初心者や女性の場合、竿とリールと針と重りを渡せばセットしてくれ、餌もつけてくれます。ですから、後は糸を垂らして魚がかかるのを待つだけです。いよいよ魚がかかり、首尾よく釣り上げると、今度は魚を針から外して、次の餌をつけてくれます。隣の釣り人と糸が絡まった場合の糸ほぐしもやってくれます。
さらに、船上で釣果をさばいて料理もしてくれます。インドミーというインドネシアの国民的インスタント麺に、大胆にカットした釣りたてのイカや魚を入れて煮込めば、インスタント麺とは思えない極上の味わいになります。至れり尽くせりのサービスです。
より大物を狙いたければ、インド洋で船中泊の海釣りを
日帰りでなく土日たっぷり釣りを堪能したい場合は、金曜日の晩にジャカルタを車で出発し、5時間あまりかけて約200キロ南下し、朝6時頃に南岸の港からインド洋に出ます。インド洋の釣りは水深約100メートルで、底釣りやジギングができます。
狙える魚の種類はジャワ海よりバラエティーに富んでいて、ジャワ海で釣れる魚の他、アオチビキ、GT、ウメイロ、ヒレナガカンパチなどが期待でき、たまにサメまで釣れることも。
ジャワ海で釣れる魚もインド洋だと1〜2回りサイズが大きくなるので、釣り人達は多彩な釣果と大物を期待してインド洋まで足を伸ばします。夜は狭い船倉で雑魚寝になりますが、せっかくのインド洋。甲板で釣りをすれば満天の星空が見られます。
年間を通して海釣りが可能な釣り天国、ジャカルタ
ジャワ海の釣りの時期は乾季の4月から10月ごろまで。雨季でも行けなくはありませんが、波が高めになります。
一方、インド洋は11月から3月ごろまでがシーズンです。行き先を変えれば年間を通して海釣りができ、好みで底釣りもジギングもできるので、初心者から女性、釣りマニアまで、インドネシア人も在留邦人も、ジャカルタ発の釣りを楽しんでいます。