プライヤーのないレザーマンが意外に売れているのだ
1983年のデビュー以来、マルチツールの代名詞として愛されているレザーマンツール。このモデルはプライヤーを備えないフォールディングナイフスタイルの新世代モデルとして提案された。日常使いが主なライトユーザーに高い人気を誇る。
レザーマンの魅力はなんといってもプライヤーだ。“掴む”“捻る”“引っ張る”などの作業はプライヤーでしか遂行できないもので、これこそがツールナイフの作業範囲を飛躍的に広げた。
ところが同社は、2019年に新シリーズの『フリー』にプライヤーを備えない『T4』というナイフ型モデルを追加し、世間を驚かせた。
古くからのレザーマンファンである僕は「プライヤーのないレザーマンなんて!」と当初は激しい拒否反応を見せていたのだが、このT4はプライヤーまで必要としないライトユーザーに人気を博し、瞬く間にヒット商品に成長。今秋には美しいカラーバリエーションも追加された。
そこで試しに使ってみたのだが、これが悪くないのだ……。ブレードのロック機構がしっかりしていて安心して使えるし、ツールパーツがとても簡単に引き出せる。これまでは小さな切り込みにツメを引っ掛けてチマチマ引き出さないとならずストレスになっていたが、それが大幅に改善された。気の短い(そして不器用な)オジサンにはとても使いやすいのである。
あれほど毛嫌いしていた僕も、今ではファンになった。
レザーマン/フリーT4のここがスゴい!
操作が簡単で確実なロック機構
ナイフブレードにはサムホールがあり、親指で簡単に引き出せる。出すと自動的にロックされ、レバーを押し下げると解放できる。
片手で全パーツのオペレーションが可能
親指の腹でパーツの付け根を押し込むだけで、すべてのツールがワンアクションで振り出せるようになった。操作性の良さは過去最高。
小さいながらも使えるツールたち
薄くてもちゃんと使えるプラスドライバーや、精度の高いマイナスドライバーなど、実践的なツール類。このあたりはさすがレザーマン。
LEATHERMAN レザーマン/フリーT4
¥11,000
問い合わせ先:ハイマウント 03(3667)4545
SPEC
●サイズ=全長9.3cm(収納時)
●刃長=5.6cm
●重量=122g
●機能数=12
●素材=ステンレススチール、
ガラス繊維入り樹脂、セラコート
伝統的な雰囲気はそのままにドライバー機能を追加
一方、レザーマンとは逆に「ナイフにツールを取り付けてみた」のがコチラ。創業130年の歴史を誇るフランスの老舗ブランド、オピネルである。
オピネルの魅力は扱いやすく研ぎやすいブレードと、シンプル極まりないデザイン。そして独特のロック機構にある。
時代に取り残されたようなクラシックなフォルムに新鮮さはないが、その分、完成の域に達した趣と美しさがある。それだけにオピネルはもう変化(進化)しようがないと僕は個人的には思っていた。
ところがこの秋の新作は、伝統的なフォルムと雰囲気を損なうことなく、ハンドル部に2種類のドライバービットを収納。このビットをハンドルエンドに差し込めばドライバーとして使用できるようになったのである。
丸いハンドルはねじ込む動きにも違和感がなく、予想以上に使いやすい。「そうか、その手があったか!」と思わず膝を叩いてしまった。
ブレードにはワイヤーカッターとワイヤーストリッパーも備え、ちょっとした配線作業も可能。ワークパンツのサイドポケットに放り込んでおきたくなる一本なのだ。
オピネル/ツールナイフDIY#9のここがスゴい!
口金を回すだけで確実にロックできる
1955年に開発されて以来、オピネルを象徴する機能となっているビロブロック。シンプルながら信頼性の高いロック機構だ。
ワイヤーカッターとストリッパーを装備
ちょっとした配線作業に役立つコードカッター(φ5mmまで対応)と、絶縁皮膜を剥くストリッパー(φ8mmまで対応)を備えている。
操作性も良好なドライバービット
プラスとマイナスのドライバーピットを備える。ヘキサゴン型の一般的なタイプだ。ハンドルエンドに装着するので操作しやすい。
OPINEL オピネル/ツールナイフDIY#9
1890年にフランスのサヴォア地方で創業したオピネルは素朴な折りたたみ式ナイフで、長年庶民に愛されてきた。しっかり固定できるビロブロックを備え、ピクニックの定番ナイフでもある。これは長い歴史の中でも初となるツールモデル。
¥3,850
問い合わせ先:ハイマウント 03(3667)4545
SPEC
●サイズ=全長約19.5cm
●刃長=8cm
●重量=約80g
●機能数=5
●素材=ステンレススチール、ガラス強化繊維ポリアミド
※撮影/中村文隆 (BE-PAL 2021年11月号より)