
かほなんが”新富士バーナー”本社にやってきた!

山歩きやキャンプでいつも愛用している”SOTO”製品。SOTOをはじめとする優れた道具を送りだす”新富士バーナー”本社を訪問した。
工場見学+極冷実験
“SOTO”というブランド名で、今や日本のみならず海外でも、その卓越した性能が高く評価されている新富士バーナー。愛知県豊川市にある本社兼工場に、かほなんがやってきた。
「今日は、私がよく山ごはんやキャンプ飯を作るときに愛用しているバーナーのメーカーさんにお邪魔しました。工場見学をさせていただいてから、『環境試験室』というマイナス30度Cまでの環境を作り出し、製品テストができる特別な試験室で、シングルバーナーでご飯が炊けるのか、実験してみます」

敷地内にある謎のコンテナ。ここが、極寒テストをするために作られた環境試験室だ。かほなんのお隣が、今回案内をしてくれた新富士バーナー広報担当の坂之上丈二さん。
安全最優先。使う人に安心を届ける企業スピリットに感動!
新富士バーナーの広報・坂之上丈二さんの案内で、社内を見学するかほなん。普段使っている製品が目の前で組み立てられている様子に興奮を隠せない。顕微鏡を使った組み立てや、水没させて気泡によりガス漏れがないかをチェックしたり、さらには、着火したバーナーに小さな炎をあててガス漏れがないかを確認する。「さすが日本製ですね。これだけしっかり検査してくれているから安心感が違いますね」と、かほなんもその徹底した安全管理に感心していた。

この部屋では、主に登山用に使われるバーナーを製造している。これは水没テストの様子。全製品、水につけてガス漏れがないかを確認する。気泡が目視できたら不合格となる。

工場見学の前に、レギュレーターストーブがなぜ優れているのか、気温の変化によってどう燃え方が変わるのか、風の影響を受けないヘッド形状など、それぞれの特徴を比較しながら製品ごとの特性を教えてもらった。
ガス製品購入の際に気をつけること
「生産する製品は、ロットごとに『日本ガス機器検査協会』の検査員による検査が行なわれます。本来、日本ではこの協会の検査を通らないとガス器具は販売できません。そして、検査を通った製品だけが、製品に『PSLPG』マークを表示することができます。器具を購入するときには、このマークの有無を必ず確認して欲しいですね」
坂之上さんの話では、ネット通販を中心に検査を通していない器具が販売されるケースがあり、非検査品が実際に事故につながったケースも報告されているそうだ。使用方法を間違えると大きな事故につながりかねないガス器具だけに、価格の安さよりも安全性で選ぶべきだ。

自分の安全のため、購入前にガス検の検査をパスした製品かを必ず確認しよう。認可品には『PSLPG』のマークがついている。
工場見学のあとは、いよいよ環境試験室へ
「今回は、CB缶とOD缶のシングルバーナーを用意して、マイナス6度Cという極寒のなかでも炊飯できるか実験してみます。寒いっ!」

設定温度マイナス7度C。実際の室内計では、マイナス5度Cからマイナス10度Cに迫る温度になっていた。安全のため一酸化炭素警報機も用意。
アウトドア用のOD缶と、一般用のCB缶。製品の性能差はあるのか?
用意したのは、SOTOの『マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310』(OD缶)と、『レギュレーターストーブ ST-310』(CB缶)。CB缶の燃料には、液化ブタンに加えて液化プロパンが入った『SOTOパワーガス』を使用した。
「現在の室温は、マイナス6.8度Cです。安全のため一酸化炭素の警報機をつけて実験します。いつものように水に浸した無洗米をそれぞれのクッカーに入れます。まだ凍ってない(笑)。そして、水も。まずは着火して、何分で沸騰するかを比べます」

米を入れる手も凍りつきそうな寒さ。
それぞれのバーナーに火をつけ、米を入れたクッカーを載せたらストップウォッチをスタート。あとは寒さに耐えながら実験を進めるだけ。

無事に着火はできた。果たして炊飯はできるのか?

火力の違いを比較。左がOD缶、右がCB缶。寒さのため、火の勢いに差が出ているのがわかる。
OD缶優勢!およそ3分で沸騰する
「あっ、OD缶の方が沸騰してきましたね。今2分50秒です。これで弱火にして10分間待ちます。私、凍らないかな??」

勢いよく吹きこぼれるOD缶のバーナー。背後の温度計は、マイナス8℃を表示している。
CB缶は、約9分30秒で沸騰。OD缶のように勢いよく吹きこぼれなかったが、かほなんは、これを沸騰とみなし、ここから10分弱火で待つことに。
CB缶のほうもなんとか沸騰。OD缶は先に炊飯終了
「今、12分50秒です。OD缶の火を消します。このまま、この試験室内に置いておくと凍っちゃいそうなので、いったん外に避難させます」
あまりの寒さにかほなんがYouTubeの動画を撮っているGoProのバッテリーもすぐにあがってしまうほど。かほなんの顔も青白くなっているような…。
「19分30秒経ちました。では、CB缶の方も火を止めて。さっき、外に避難させたOD缶のバーナーで炊いたクッカーも用意しました。では、食べ比べます。蓋を開けま~す。どちらも炊けてますね。美味しそう。まずOD缶。う~ん、美味しい。熱っ。ちゃんと炊けてますね。ちょっと混ぜてみても底までホクホクです。いいんじゃないですか」

実食するかほなん。表情が凍っているような…。

炊け具合をチェック。写真ではわかりにくいが、左のOD缶で炊いた方がツヤツヤしている。
次にCB缶の炊け具合を実食チェック
「手が凍りそう。寒い!見た目は、ちょっとネチャっとした感じかな。手が凍って混ぜにくいけど、混ぜてみます。端っこのほうは、まだ炊飯できていない感じ。芯がありますね。ちょっと生っぽいです。やはり寒いところでは、OD缶を使うべきですね。今日は試験室での実験だったんで、どちらもご飯が炊けましたが、実際の自然環境下では、こんな風に使えないこともあるそうです。必ず、メーカー推奨の使用温度を参考に器具を選んでくださいね」

本来なら使用できない低温下でもご飯が炊けたCB缶。「今回は、たまたま炊けちゃいましたが、山に行って寒くて使えないと危険です。必ず推奨気温の範囲で使ってくださいね」と坂之上さんは、念を押した。
今回使ったバーナーの『使用推奨最低温度』は、以下の通りだ。
・マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310(OD缶)【マイナス5度C】
・レギュレーターストーブ ST-310(CB缶)【プラス5度C】
寒冷地で使うなら必ずOD缶。”使用推奨温度”の範囲内で使うこと
「通常なら、これだけ気温が低いとCB缶は使えません。今回使えたのは、CB缶のガスカートリッジに、プロパンが入った『SOTOパワーガス』を使ったことと、使用した器具に低温時に性能を発揮するレギュレーターが搭載されていたからではないでしょうか?それに加えて新品のガスだったんで、低温でもより燃えやすいプロパンを先に消費したため、ご飯が炊けたんだと推測します。使ったCB缶の中には、ブタンしか残っていないのではないでしょうか?今回の実験はあくまでも実験です。実際に、マイナス5度Cになるような場所に出かけるときには、必ずOD缶の製品を使ってください」
「今回は、どちらでもご飯が炊けちゃいましたが、安全のため、必ず『使用推奨温度』を確認して、それに合った環境で使ってくださいね。実験で炊いたご飯は、ふりかけをかけて食べますね。工場見学、楽しかった~!じゃあ、バイバイ」

吐く息も凍りそうなかほなんの極寒実験。参考になったでしょうか?
【製品情報】
SOTO
マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310 7,400円(税別)
レギュレーターストーブ ST-310 5,800円(税別)
※本体のみ。燃料は別売。
協力/新富士バーナー http://www.shinfuji.co.jp/
構成/山本修二
YouTubeもチェックしよう!
かほなんが新富士バーナーで寒冷炊飯実験をした動画は、すでにYouTubeで公開中。極寒のなか、体を張ってテストするかほなん。寒そ~。ぜひチェックを!