焚火の火起こし、上手に出来ますか?
焚火で火を起こす際、火起こしが上手く出来なかった経験はありませんか?火起こしに自信がなく、市販の着火剤に頼って火起こしをしていませんか?
火起こしに自信がない方でも、コレさえあれば上手に火起こし出来るアイテムが、実はあるんです。市販の着火剤よりも安価で、今よりもっと火起こしが楽しくなる。そのアイテムの名前は「チャークロス」です。
チャークロスとは一体どのようなものか。材料と作り方、チャークロスを使うメリット、そして実際に火起こしをする方法を、解説しながらご紹介します。
まずは火起こしの「流れ」を覚えよう
火起こしには「流れ」というものが有り、これに則らないと火を起こすのは困難です。その「流れ」とは、火種から火口(ほくち)へ、火口から小枝に、そして最後は太い薪へと、「火を大きく育てる順序」を指します。
火打石やメタルマッチから生まれた火種を、小さな炎へ育てる材料を火口と呼びます。落ち葉や松ぼっくり等を使うのを見たことがありますよね?これらは自然界の代表的な火口です。
しかし「チャークロス」は自然界の火口より火が点きやすく、そして火が長持ちする優秀な火口です。
火起こしに自信がない方の悩みは、火種がすぐに消えてしまう事ではないでしょうか。その原因は「適切な火口を選んでいない」場合が多いです。
火口選びに迷ったら、チャークロスを選びましょう。小さな火種も、チャークロスなら安心して炎に育てる事が出来ます。
「チャークロス」の正体
結論から言うと、チャークロスとは炭化させた綿100%の布です。では何故炭化させた布が、着火剤の役割を果たすのか。
皆さんはBBQをするとき、燃料に「薪」ではなく「木炭」を使いますよね。「炭化前の『薪』よりも、炭化後の『木炭』の方が燃えやすい」という理由で木炭を選んでいるはずです。
チャークロスが燃え易いのも、木炭と同様の理屈です。「炭化前の『布』よりも、炭化後の『チャークロス』の方が燃焼しやすい」のです。化学的な細かい説明は省略しますが、ものは炭化すると燃焼しやすくなります。
燃焼しやすいチャークロスは、火打石やメタルマッチの小さな火花でもキャッチして、着火剤の役割を果たします。
「チャークロス」の作り方
材料
・綿100%の布(少々厚手のもの)
・密封出来る蓋付きの缶
どちらも100円ショップで手に入ります。「材料が安価でそろう」という点も、チャークロスの魅力のひとつです。
作り方1.缶に隙間なく布を詰める
布を手頃な大きさにカットしたら、畳んで缶に入れます。このとき、なるべく隙間が出来ないように詰めましょう。空気が入る隙間を無くしてあげると、成功しやすいです。
作り方2.缶の蓋に穴を開ける
蓋の中央に穴を開けます。釘やキリ、電動ドリル等を使うと確実です。
ここで注意するポイント。ナイフ等、本来の使用方法と異なる道具を使うと、思わぬ事故に繋がる恐れがあります。自己責任の下、よく注意しながら作業をしてください。
穴の大きさの目安は、直径約5mm程度で充分です。大きすぎると、チャークロスが燃焼して失敗します。
作り方3.加熱する
缶を加熱します。このとき缶の内部では酸素が供給されず、布が不完全燃焼を起こして炭化します。
不完全燃焼こそが炭化の鍵です。「缶の内部に酸素を供給させない」ことを意識しましょう。
缶内部の温度が上昇すると、穴から可燃性ガスが噴き出します。ガスが出なくなるまで加熱しましょう。
このときガスに引火すると、缶内部に火が侵入し失敗します。穴の付近に火を近付けないようにしてください。
ここで注意するポイント。ガスが発生する為、必ず屋外で作業をしましょう。もしくは換気扇の近く等、充分な換気が出来る環境で行いましょう。
作り方4.温度が下がったら完成
可燃性ガスが出なくなったら、加熱を止めます。缶が冷めるまで放置しましょう。
内部は余熱で高温になっています。このタイミングで蓋を開けると、酸素が供給され「可燃物(布)・酸素・温度(余熱)」の「燃焼の三要素」が揃います。途端にチャークロスは燃焼し、失敗します。
ここで注意するポイント。加熱中・加熱後の缶は高温になっており、火傷の恐れがあります。缶に触れる際は、必ず軍手・耐熱グローブ等を着用し、素手で触らないようにしましょう。
完成したチャークロスで火起こしをしてみよう
チャークロスは炎を上げる様な燃焼の仕方ではなく、じんわりと燃え広がるように燃焼します。落ち葉や麻紐を解いたもので、チャークロスを包んであげましょう。大き目の火口になり、火起こしがし易くなります。
チャークロスの火を育てるには、小枝やフェザースティックに着火させます。予め用意しておきましょう。
小枝は湿気ていると燃焼しにくいです。乾燥しているものを選びましょう。試しに折ってみて、「ぐにゃり」と曲がらず、「パキッ」と乾いた音を立てて折れれば、乾燥している証拠です。
準備が出来たらチャークロスに火種を落とします。
メタルマッチを使う場合、予め落ち葉等の燃えやすい物でチャークロスを包んで、そこに目掛けて火花を散らします。
あとは焦らず、じっくりと火を育てます。焚火を楽しみましょう。
「チャークロス」は火が点きやすい・安価・簡単に自作出来る
チャークロスのメリットは、火が点きやすく、燃焼がゆっくりな為、火を育てる時間が稼げる点です。そして材料が安価でそろい、簡単に自作できるのが魅力です。
一度に使う量は、親指の腹くらいの大きさで充分。布や缶は大きな物を選ぶと、一度の製作で何十回分ものチャークロスが作れます。
皆さんも次回の焚火に向けて、チャークロスを作ってみてはいかがでしょうか。