アニバーサリーイヤーの今、同社代表取締役社長の松尾哲夫氏と本誌編集長沢木が、「40周年を迎えたイワタニ・プリムス」について大いに語る!


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イワタニ・プリムス、40年の歩み
岩谷産業株式会社(以下、岩谷産業)のアウトドア部門として歩んできたイワタニ・プリムス株式会社(以下、イワタニ・プリムス)が、創業40年という節目を迎えた。同社はスウェーデン発祥のアウトドアブランド「プリムス」を日本市場に根付かせ、多くのアウトドアユーザーにとって“なくてはならない存在”として、深く溶け込んできた。
松尾社長:「1980年代の初頭、日本のアウトドア市場は黎明期にありました。キャンプ文化そのものが、まだ一部の愛好家たちのものでした。そんな時代に、スウェーデンの老舗アウトドアブランド、プリムスと岩谷産業が手を組み、日本市場への本格参入を果たしました。1985年12月に設立された合弁会社イワタニ・プリムスは、わずか5人ほどのスタッフで産声を上げました」
「設立当初は、東京都八丁堀の岩谷産業(株)東京本社1階のオフィスに間借りするような形でスタートし、手探りで動き始めた事業でした。最初のころは、ほとんど売れなかった。それでも初代社長のもと、チームが地道に市場を開拓していきました。私も管理部のメンバーとして参加していました」
プリムスは1892年創立。パラフィン燃料を気化させることで煤の発生を抑える『PRIMUSストーブ』を開発した、スウェーデンの燃焼器具ブランド。その後、世界初となる量産型のLPGガスこんろの生産を開始し、近年ではアウトドア専用のストーブを手掛けている。
沢木:「『PRIMUSストーブ』は多くの冒険家たちに支持されるようになり、北極冒険家のフリチョフ・ナンセン、人類発の南極点に到達したロアルド・アムンゼン、また、人類初のエベレスト登頂を果たしたヒラリーとテンジンらが、愛用したことでも知られていますよね。冒険家たちが“信頼し、実証した”プリムスのストーブは、私たち日本人のアウトドアファンの間でも、憧れの存在でした。もちろん私もそのひとりです。プリムスのストーブと黄色いガス缶、今でも大切にしています」

時代を切り開いた『2243バーナー』と『2245ランタン』
そんな、イワタニ・プリムスの歴史を語るうえで欠かせないのが、プリムスの代名詞ともいえるシングルバーナー『2243バーナー』の存在だ。※編集部注:現在は『クラシックトレイルバーナー』という名称で販売されている。


松尾社長:「プリムス社が開発したこの製品は、日本の市場に登場した当初から圧倒的な存在感を放ち、その後、他メーカーに模倣されるほどの影響力を持ちました。裏を返せば、それだけ“時代を先取りした”革新的な製品だったことを証明しています。黄色いボンベ(アウトドアガス缶)との使用シーンは、多くのユーザーの方々にご好評をいただきました」
「同様に、『2245ランタン』もまた、当時のキャンパーやアウトドア愛好者の心を掴んだ製品です。暗闇のなかに吊るすと、マントルが生み出す柔らかな黄色い光がふわりと広がり、夜の静寂に溶け込むような温かな雰囲気を演出してくれます。LEDが普及した現代においても、揺らめく炎の光が持つ独特の情緒は、デジタルでは再現できない価値があります」※編集部注:現在は『2245ランタン点火装置付』という名称で販売されている。




沢木:「イワタニ・プリムスを語るうえで欠かせない2製品ですよね。“バーナー”と“ランタン”という2つの柱が市場を切り開き、その後、テント、シュラフ、登山靴、バックパックなど、多様なブランド、カテゴリーへと事業を拡大していった印象です」
松尾社長:「トランギア(Trangia)、ドイター(Deuter)やローバー(LOWA)といった世界的なアウトドアブランドとのパートナーシップも、この時代に築かれた信頼関係が土台となっています。とくにトランギアについては、スウェーデンの工場で丁寧に作られた製品を、“少量でも誠実に”届けてくれる。そんなブランドとしての姿勢が、イワタニ・プリムスとの関係を育んできました」
ドイターはドイツ・アウグスブルグにて1898年に創業。ローバーの創業地も同じくドイツ。こちらは1923年に、イェッツェンドルフで誕生した。トランギアは1925年にスウェーデン・イェムトランドの小さな村、トロングスヴィーケンにて創設された。1892年に生まれたプリムス然り、イワタニ・プリムスが手掛けるブランドは、歴史あるものばかりだ。

質の高いアウトドアギアが求められる時代に
2021年から2023年にかけて、日本のアウトドア業界は空前のキャンプブームに沸いた。コロナ禍における「密を避けた余暇活動」として注目を集めたが、その後、急速な反動が訪れた。
イワタニ・プリムスもこの流れと無縁ではなく、厳しい状況に置かれた。しかし同社は、この現状を悲観的に捉えるだけでなく、むしろ業界の『質的転換』が進んでいると解釈している。
松尾社長:「コロナ禍でのキャンプブームの後に残ったのは、アウトドアを本当に愛し、良い道具に対して適切な対価を払う意識を持つ、志向性の高いユーザーの皆さまです。キャンプ用品の売上高が数量ベースでは横ばいでも金額ベースでは増加傾向にあるというデータも、この“志向性の高さ”を裏付けています」
「コロナ禍のキャンプブームが残した負の遺産として、ゴミ放置問題や無秩序なキャンプ行為が社会問題化しました。こうした出来事がアウトドアのイメージを傷つけた側面は否定できませんが、現在はその反省を踏まえたマナー意識の向上も見られ、業界全体が成熟に向かいつつあると考えています」
ブランドの価値を伝え、『持ちたい』と思える気持ちを育む
松尾社長:「イワタニ・プリムスが今後の戦略を考えるうえで、最も重視しているのが『発信者になること』です。製品が市場に溢れ、価格競争が激化する中で、単に安いものを売るだけでは業界全体の健全な成長につながらない。むしろ、ブランドの価値を“丁寧に”伝え、『持ちたい』『使ってみたい』と思える気持ちを育てることこそが、イワタニ・プリムスの果たすべき役割だと考えています」
沢木:「確かに、御社が取り扱うブランド名が持つ“知名度”と“信頼感”は、大きなアドバンテージですね。40年以上にわたって日本のアウトドア市場に根を張り、培われてきたブランドイメージは紛れもない資産だと思います」
松尾社長:「プリムスと同様に、トランギア、ローバーやドイターといった長年のパートナーブランドとの関係性も強みとなっています。これまでさまざまなブランドと手を組んでまいりました。最近ではアメリカを代表するテントブランドであるビッグアグネス(BigAgnes)とも、パートナーシップを結びました」

道具の持つ『手間と味わい』に新鮮な価値を見出す人々が存在する。そうしたアウトドアを愛する層に向けて、製品の魅力を正面から伝えることが重要と捉えるのは、イワタニ・プリムスもBE-PALも同じ意見だ。
イワタニ・プリムス、“45周年”に向けて
トレッキングや登山を楽しむ人たち、焚き火にこだわるキャンパー、そして冬キャンプを楽しむ層など、アウトドアの楽しみ方は多種多様化しながらも、質の高い道具への需要は確実に存在する。
松尾社長:「ローバーの登山靴に代表される本格的なアウトドアフットウェア、ドイターのバックパック、そしてプリムスのバーナーとランタン——これらを軸に、イワタニ・プリムスが『信頼できるアウトドアブランドを取り扱う会社』として、ユーザー皆さまのニーズに応える。防災需要という新たな市場も視野に入れながら、日常使いのシーンでもプリムスのガス器具を活用してもらうための働きかけも重要な課題です」

創業41年目のイワタニ・プリムスと、創刊45周年を迎えたBE-PALとは、日本のアウトドア文化をともに育ててきた同志。本誌の昔の誌面に掲載されたプリムスの記事が今も読者の記憶に残っているように、良質なコンテンツが持つ力は時代を超える。
両者が “確かな製品”を丁寧に伝え広めることで、次世代に魅力を届けていきたいとも松尾社長は語る。

松尾社長:「岩谷産業が2030年に創業100周年を迎えるにあたり、イワタニ・プリムスもその45周年という節目を、新たな成長の起点として位置づけたいと考えています」
40年以上の歴史が証明するように、イワタニ・プリムスが灯してきた炎は、“日本のアウトドア文化”そのものを照らし続けてきた炎だ。そして今また、新たな挑戦が始まろうとしている。
イワタニ・プリムスの公式サイトを見る
プリムス製品

ビッグアグネス製品

ヴェッセル(VSSL)製品※2026年から新規取り扱い予定


イワタニ(Iwatani)製品





