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きっかけは3年前の登山デビューでの装備づくり
2026年デビューしたばかりの「P.P.C.E.」は、「街」と「自然」をボーダレスにつなぐブランドと定義。そこには、アウトドアブランドがベースとする「アウトドアシーンにおける快適さ」に対し、単なる機能ではなく、着ている人の身体や心が開放的で、自然体にいられることをコンセプトにスタートしました。
「P.P.C.E.」デザイナーの1人、秋元さんが手掛けている「PHEENY」は、「Street, Clean,and Relax」をコンセプトに2012年に誕生したウィメンズファッションブランドで、主にセレクトショップで展開。ブランド名は「Philosophy(哲学)」と「Funny(面白い)」を組み合わせた造語から作られていて、服を着るだけで女性らしさや繊細さをもたらすことに重きをおいてデザインされています。
今回新たなブランドとして立ち上げたのが、「P.P.C.E.」。そのきっかけになったのは、秋元さんの登山デビューでした。
「3年前から山登りを始めて、すごいハマってしまったんです。そこで、何を着て行こう?と服にすごい悩んだんですよ。アウトドア仕様じゃないけれどPHEENYや(川瀬さんのブランドの)Product Twelveの洋服も着ていったところ、なんかすごく調子が良かったんです」(秋元さん)
登山のためにはやはり山岳向けのブランドと考え、たくさん揃えてもみた。でも、普段の自分のスタイルと全く違うことで、何かそわそわしたものがあってその姿の自分に対して落ち着かない。その違和感から、自分たちが山登りで着たい服を作ることへと踏み出しました。



「自分たちはファッションの畑でやってる人間なので、日常でも、山でも、両方で着られる。重心的にはちょうど真ん中半分ぐらいのもの。普段、本当に自分たちも着たいものを作ろうと考えました。
川瀬さんとはいつも山登りを一緒にしていて、その途上で長く時間を過ごすなかで色々話すんですよ。
『こういうの欲しいよね』っていう話をする中で、純粋に自分たちが着たいものを作ろうとブランドを始めることになりました」
最近はアウトドアブランドでも都市生活者が街中で着ることを想定したラインが登場していますが、その定義は様々。ブランドスタートにあたり秋元さんと川瀬さんが選んだのは、素材へのこだわり。見た目や着用感は普段のスタイルの延長線上にありながらも、地上よりも気温の変化が大きい山で頼りになる機能性を持ったものを選んでいます。
自分らしいスタイルに山で求められる機能性を加味
アウターウェア「Primaloft Active Full Zip」とパンツ「Primaloft Active Pants」には、「PrimaLoft®Active」を採用。「PrimaLoft®」は1980年代に米軍の要請によって軽量かつ保温性が高い素材として開発され、アウトドアブランド以外にもハイブランドにも使われています。「PrimaLoft®」のラインナップのなかでも、「PrimaLoft®Active」はより通気性、透湿性、ストレッチ性に富んだ素材。この上にレインウェアなどを重ねると風を通しにくく体温を維持でき、逆に適度な通気性があるので歩いているうちに過度に体温が高くなってしまことを防ぐヒートアウトにも効果的です。

もう1つが、メリノウール。メリノウールは秋冬シーズンアイテムのニット素材として幅広く使われていますが、こちらはセーターではなく、17.5マイクロンの極細の糸で作られた長袖のTシャツ。薄手ながらも暖かく、着心地がいいのがポイントです。
「あまり使われない手法なのですが、表面にムラ染めをほどこしています。極細の糸で肌あたりが良く、着心地が非常に良いことにもこだわっています」(川瀬さん)
天然由来のメリノウールは、湿気を効果的に吸収し、汗をかいてもドライで快適な着用感が得られるのもポイント。抗菌性も高く、汗臭さの原因となる菌の繁殖を抑え清潔で快適な状態を保つメリットも。


「洋服づくりにおいては我々は十分キャリアも長くて、1つのパターンへのこだわりや、人体の動きに合わせて計算はできるし、快適に着ていただける設計も作れます。アウトドアブランドに対して、(登山の場面での)着心地が悪いとかそういうことは全くないと思っていますし、自分で試してみても自負があります。我々やってるブランドはやっぱりあくまでもファッションでやってるので、山と街の間でもう少し山に寄っていくというスタンスを取っています。自分たちの既存のブランドに対し、山でも問題なく使える機能性があるという住み分けできるように、新しいブランドって形を選びました」(川瀬さん)
今後については、無理をして取り扱い店舗を増やしたり、ブランドを拡大していく予定はない。
「地道に自分たちがおすすめできるものを作り、お客様に届けるというサイクルをやりたいのです。自分たちが作って使って、これはこういう良さがありますよというこだわりを純粋に伝えられればと今は考えています」(川瀬さん)






