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2025年12月、大地を守る会会員限定イベント「焚火料理とネイチャークラフト教室」が開催された。
講師はBE-PALでもおなじみのネイチャークラフト作家・長野修平さんで、参加者はホオノキを削って杓子を作り、合間に大地を守る会の素材をたっぷり使った焚き火料理に舌鼓を打つというスローなイベントだ。

長野さんと大地を守る会との出会いは、現在のアトリエ、通称みのむしハウスに移り住む前の2008年頃から。
「八王子にいた頃からの付き合いで、当時は飲料水として使っていた沢水を利用した流し素麺やピザ作りなどアウトドア料理に挑戦していました」と長野さん。
じつに15年以上におよぶ付き合いで、みのむしハウスに移り住んでからはダッチオーブンを使った焚き火料理と木工の講座に変更されたものの、今や秋の定例行事となった。
ていねいに作られた食材はただ火を通すだけでうまい

火をおこし、自作の調理道具とこだわりの鍋で料理を作り、ていねいに削った食器に盛り付ける。食材には摘んできた山菜を取り入れることも多い長野さんのライフスタイルは、おいしくて身体にいい食材にこだわる大地を守る会と好相性だ。

キャンプの大定番、ダッチオーブンに丸鶏と皮付き玉ねぎ、ニンジンを隙間なく詰め、熾火でじっくり焼き上げるローストチキン。少量のワインも入れておくのでふっくらジューシーで、焦げ付き防止にもなるという。
メイン食材の丸鶏は、アニマルウェルフェアをいち早く取り入れた山形・まほろばライブファームで生産。太陽光と風が通り抜ける鶏舎で育てられ、弾力のある身が自慢のまほろば鶏はうまみが濃い。

とれたてのいわしよりもおいしいと評判の黄金イワシ。脂ののったイワシを丸干しにしており、筒型焚き火台、フュアハンド「パイロン」の熱を利用して炙るだけで最上の一品になる。カリッと香ばしく焼き上げるので頭から食べてOK。

ダッチオーブンに里芋、ニンジン、ブロッコリー、ジャガイモをいれて、少量のお茶とともにスチームロースト。
味付けはシンプルに塩とオリーブオイルで、野菜の甘味が際立つ。なかでもニンジンとブロッコリーは秒で完食となる人気ぶりだった。

丹沢農場もアニマルウェルフェアを実践する養豚場。
イベントではこちらのベーコンやハム、スペアリブの煮込み料理が振る舞われた。
どれも凝った味付けではなく、じっくり火を通すだけでごちそうに変身する。個人的にニンジンの臭みや里芋のえぐみが苦手で好んで食べることはないのだが、時間をかけるだけで臭みもえぐみもなくなり、おいしさに変わったことは驚きだ。
長野さんによると、大地を守る会の食材は愛情込めて作られているので、食材をねじ伏せるのではなく食材と向き合い、込められた愛情をいかすよう調理しているとのこと。
シンプルな焚き火料理は食材のうまみを引き出すのにうってつけというわけだ。
割れてもかわいい道具に作り替えられる

裏庭のホオノキを切り出し、好きなデザインで杓子を作っていく。
大地を守る会の会員は木工初心者が多く、やわらかく、削りやすいホオノキがぴったりなのだ。
フックナイフや彫刻刀を持っている人は少ないので、ひたすら杓子のくぼみを削るのが第一の作業。

くぼみができたら、アウトラインを切り取っていく。柄の部分は鉈を当てると簡単にまっすぐ割れるのだが、ストッパーとなる切り込みがないと割れすぎてしまう。
何人かの杓子が割れてしまうも「割れたことを生かしたデザインに変更しましょう。捨ててしまう人もいるようですが、うちには割れたところを作り直した杓子がいっぱいありますよ」と長野さん。

最後に長野さんがひとりずつの作品を見て、必要なところを微調整。
先端やサイドを薄く削るなど、木工初心者には難しい作業を手伝うことで驚くほど完成度が高くなり、参加者も満足していた様子。

生木を使った木工は、節や曲がりに悩まされるものの削ることに夢中になれる。
作った道具は毎日の暮らしにも役立ち、割れたり欠けたりしても自分で調整可能だ。

参加者のなかには箸を忘れてしまい、焚き火料理をおいしくいただくために余ったホオノキを削って箸を作っていた。借りるという選択肢があるのにもかかわらず、自分で作るという選択をしたのがスゴイ。
自然素材の道具作りに失敗はない。ちょっと手を加えて修正できるし、ちょっと使いづらくても削り跡が残る道具は見ていて飽きない。長野さんが称する「物語に出てきそうな道具」は、そこにあるだけでやさしい雰囲気を醸し出す。
愛情込めて育てられた食材も、初心者ながら一生懸命に作った杓子も、暮らしに取り入れるとちょっぴり気分をよくしてくれる。そんな効果を期待できそうだ。
【問】大地を守る会







