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■HAMMERSによる”使える道具”作り指導が目玉
ネイチャークラフト作家、長野修平さんがプロデュースするイベントで、場内には長野さんのDIY仲間である「Builders Unit HAMMERS」の真島辰也さん(nui)、福山欣晃さん(無名庵)らから手ほどきを受けられるとあり大盛況の2日間だった。
竹のフリークラフト

「無名庵」の福山さんは竹素材を使った雑貨作りを指南。
ブースには竹の節を使った洗濯ばさみ、竹の節を巧みに利用したお玉など初心者でもマネしたくヒントがいっぱい詰まっていた。


人気は竹のトング作り。
切り出した竹のアウトラインを整えたら、折り曲げるところを薄く削り、革紐で開き具合を調整する。いくつあっても重宝するので竹を入手できたらぜひ作ってみて。
革小物作り

真島さん率いる「縫うオヤジ団の縫うワークショップ」では、自分が作りたいモノのイメージを伝えることで、スタッフたちが作り方を指導してくれる。皮選びから型の取り方などテクニック満載だ。
多少縫い目がズレてもそれも味わい。自分のナイフや鉈にあわせてシースを作るなんてこともできるので人の波が絶えない人気ワークショップだ。


レザークラフトは菱目打ちなど思いのほか大きな音を出す作業が多い。野外でならそうした作業をしやすいし、困ったときに相談できる。
ちなみに、すぐそばにあるツリーハウスは「Builders Unit HAMMERS」が手がけており、手が空いていればツリーハウス作りの裏話を聞けるのもおもしろい。
グリーンウッドワーク

「WORKERS CAMP 2025」では長野さんはプロデューサーに徹していて、日中は各ブースを訪問しつつ、来場者とのコミュニケーションを楽しみ、夜はトークショーや焚き火ベーコンで場を盛り上げていた。

長野さんに代わって木工ワークショップを行ったのは「UPI SPOON CLUB」。
UPI表参道店は惜しまれつつ閉店したが、そこに集っていたグリーンウッドワーク好きが各地で継続している、大人の部活動だ。

講師を招くわけではなく、黙々と木を削るスタイル。だれかが指導するというスタイルではないが、困っている人がいれば諸先輩が相談にのってくれるのがうれしい。

この日は「UPI SPOON CLUB」のブース脇に、岐阜「中津川グリーンウッドワークベース」の原功さんが足踏みのロクロを設置しており、足踏みロクロを操作するというスペシャルな体験も。足でペダルを押し込みつつ、刃の角度を調節して削っていく。全身運動だ。

参加者のなかには足踏みロクロで大まかな形に削ったあと、ナイフで器に仕上げる人も。カービングナイフよりもスピーディにここまで形作れるのはスゴイ。
■工具メーカー直伝の正しい持ち方、使い方
ほかにも長野さんと親交のある工具メーカーも出展。ワークショップではモノ作りの楽しさはもちろん、刃物の選び方や正しい使い方を教えてくれるというわけ。

家庭用電動溶接機を展開する「スズキッド」は溶接体験ワークショップを開催した。

ミニシェルフ、ペグ、シダートレーのいずれかを選び、作品を作るが一番人気は写真のシダートレー作りだった。

火花が散る作業だが、グローブやエプロン、マスクなどを一式借りられて、スタッフによる指導も受けられるので安心。
ちなみに神奈川には直営「Fe★NEEDS鎌倉店」があり、ここでもミニシェルフ作りのワークショップをうけられるほか、自由製作もできる。近くの人はのぞいてみては。

「デウォルト」では電動工具を使ったネジ締めゲームを開催。
5本のネジを何秒で締められるかを競うというゲームで、電動工具を使っているのだからそうそうタイムの差はないように思うのだが、実際に試してみると大違い。
電動工具を使ったことがない人はパワーに翻弄されてネジをうまく固定できないのだから。

写真のように斜めに当てるのではなく「まっすぐ上から押し込む」、「利き手と反対の手で、利き手の手首を抑える」など正しい持ち方でないと上位になれない。
また、ベテランでもうまくセットできないとタイムロスしてしまい、思っている以上に差が付く。楽しく工具の使い方を学べるゲームだ。
■DIY初心者も失敗しない”ちょいクラフト“
工具や刃物を扱うのが苦手な人や小さな子でも楽しめるのも「WORKERS CAMP 2025」のいいところだ。それも実用的なモノ作りなので、手仕事のおもしろさに触れるにはぴったり。
たたいて作るMyスプーン

木材でドームを作れる金属パーツ「hitode bracket」で知られる「加藤数物」は、スプーンまたはフォークを作るワークショップを開催。
幅を広げることはできないが、くぼみの深さが違うとガラリと表情が変わる。

丸太に刻まれたくぼみを利用するが、丸太の側面や割れ部分を利用する参加者も。
ちなみに、プレートはやわらかな真鍮またはアルミから選べる。熱伝導しやすいので、硬いアイスクリームをほどよく溶かせる。
世界でひとつのココペリ作り

「R4T」のワークショップは、無地のぬいぐるみをペイントして世界でひとつのココペリを作るというもの。
「最初はウエスタンなココペリがかわいいと思って購入。スカルも好きで、どんどん増えていきました」とキャンプサイトにズラリ並べる熱狂的ファンもいて、ココペリ作りを楽しんでいた。

ココペリはネイティブアメリカンに伝わる精霊で、笛を吹いて幸運を運んでくるとされている幸運のモチーフ。
それを親子で作れるのがポイントだ。
ランタンエプロンの刻印

ランタンエプロンに好きな数字・アルファベットを刻印できたのは「テンマクデザイン」ブース。

プラスチックハンマーを使うので、たたく回数は増えるけれど力の弱い人でも扱いやすい。
自分の名前や愛称を刻印するほか、バースデーランタンを入手した参加者が刻んだのは製造年月。これ、いいかも。
■手作りフードもヒントがいっぱい
手仕事というのはなにも形に残るものばかりではない。口にするものを作るワークショップやライブクッキングも人気のコンテンツ。
my七味作りと竹で作る七味入れ

千葉を拠点に竹をテーマにした装飾やワークショップを行うユニット「竹おかん」は、唐辛子や山椒、クロモジの葉などをブレンドして自分だけの七味を作り、それを自作容器で持ちかえるというワークショップを用意していた。

竹筒にあわせてクロモジと竹ひごの栓を作る。
キャンプはもちろん、自宅の食卓に置いておけるステキな容器のできあがり。

「竹おかん」ブースでは竹の穂を使ったミニほうき作りも。焚火台の灰をザッと掃き集めるのによさそう。
さけるチーズ作り

木工の孝之さんと陶芸の潤さんというアートな夫婦、hanamameさんは、電動の旋盤を持ち込んで食器作りをしつつ、もうひとつの仕事であるチーズ作りのワークショップも開催していた。
このワークショップは土曜のみというレアなもの。

さけるチーズは途中までモッツァレラチーズ作りと同じ。熱湯に入れたモロモロの細かなチーズのもとを木べらでこねて、ひとかたまりにする。

ひとまとまりになったら伸ばして畳む…を繰り返して縦長の繊維を作る。このとき温度が重要で、お湯に長く漬けると溶けるし、冷めると伸びない。
この作業をせずに丸めるとモッツァレラチーズになるんだとか。
できあがったさけるチーズは塩をいれていないので、最後にパラリと塩をふって食べる。ミルキーでおやつにぴったりだ。
焚火料理ライブクッキング

長野さんの焚き火料理の代名詞と言えば豚バラベーコンだが、今回はそれに加え、イノシシと鹿のジビエベーコンもお目見えだ。
今回は2日間でのべ10時間ほど煙にかけているとのこと。
時間はかかるが、肉に塩味を入れたら乾かし、煙にかけるだけというシンプルな工程なので焚き火をする時間が増える秋冬キャンプにぴったり。マネしたくなる。

実食タイムで振る舞われたベーコンとベリー、そしてカキドオシの葉っぱを載せた北欧テイストのパンケーキ。
塩気と酸味、ほんのりした甘味のコラボが心地いい。カキドオシの葉はミントとはまた違った清涼感があり、ベーコンの脂を感じにくいので〆にピッタリ。
カキドオシは薬効成分を含むので大量摂取には不向きだが、比較的見つけやすいので料理に添えてもよさそうだ。

「WORKERS CAMP 2025」ではプロの技術や知恵を入手でき、今後の創作のヒントにもなる。手仕事とキャンプが好きなら、次回の開催を楽しみに待とう。







