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CINEMA 01
山に暮らし、山と共に生きる。小屋番という生き方
『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』
(配給:KeyHolder Pictures)
●監督・脚本/深澤慎也(TBS ACT)
●出演/菊池哲男(山岳写真家)
●ナレーション/東野幸治、一双麻希
●1/9~ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

多くの山小屋が点在する八ヶ岳。山を住処に、人と自然を守りながら、山と共に生きる者たちがいた――。
「TBSドキュメンタリー映画祭」で上映された作品に追加撮影、再編集を施した劇場版。登場するのは、さまざまな思いを抱えて小屋番として働く人びと。会社員を経て、「逃げ場は山しかない」と小屋番になった人、「山には興味がないけど、苔が好きで」と親から山小屋を継いで苔ガイドを続ける人、子育てとケアマネージャーをしながら山小屋を営む女性経営者。「この自然がなくなると、山小屋がある価値がなくなる」と自然を守る活動に取り組む人。彼らの姿を記録する。

明け方2時起床、30㎏もの荷物を背負って山を登ること、えんえんと続く雪かき。水道もない山小屋での不便さのなか、自分の体と、共に働く仲間との助け合いで圧倒的な自然と対峙する日常を送る人びと。彼らに共通するのは、好きなことをして生きるからこその充実した顔。そして好きなもののために、高い志を持ってひたむきに働く姿。
山岳写真家が捉えた絶景に触れつつ、本当に大切なことを教えられた気になる。
CINEMA 02
大人って、子供? パパとその親友と2泊3日のキャンプ
『グッドワン』
(配給:スターキャットアルバトロス・フィルム)
●監督・脚本/インディア・ドナルドソン
●出演/リリー・コリアス、ジェームズ・レグロス、 ダニー・マッカーシー
●1/16~ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

マンハッタンから車で約2時間、キャッツキル山地。17歳のサムは父とその友人とキャンプに。山を歩き、夜は焚き火を囲んだよもやま話。翌朝サムが姿を消す。
カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)ノミネート作。性格が出る荷造り、焚き火を前に本音がこぼれること。キャンプの道程を追い、観客は大人をじっと見るサムの目と同化する。
未熟で弱くて矛盾に満ちた大人たちを前に、言葉にならないもやもやを抱くサム。思春期の揺らぎを、簡潔な表現ですくい上げる。
CINEMA 03
坊主頭の野球部員。キラキラとした記憶、理不尽な今と挫折
『郷』
(配給:マイウェイムービーズ、ポルトレ)
●監督・脚本/伊地知拓郎
●出演/泉澤祐希(語り)、小川夏果、古矢航之介、阿部隼也、千歳ふみ
●鹿児島ミッテ10にて先行公開中、1/9~新宿ピカデリーほか全国順次公開

「夢を、見た。あのころ、何を感じていたか?」。先輩の理不尽なしごきに耐える野球部員。イチローの活躍をテレビで観ていたころ、友達と田んぼのあぜ道をチャリで駆け抜けていた――。
鹿児島の自然と人びと、誰かの記憶の断片みたいな美しい映像の連続から、表現は映画の定型を破壊して抽象化。感覚へダイレクトに届き、その記憶の断片が自分のそれであるかのような懐かしさを覚えることに。喪失と再生の物語、に簡単には収まらない。瞬間瞬間が奇跡みたいな映像詩。
※構成/浅見祥子
(BE-PAL 2026年2月号より)







