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ベアフットシューズとは?普通の靴との違い

ベアフットシューズは、足本来の動きを引き出すことが重視されており、一般的なスニーカーやランニングシューズとは構造が異なります。まずは、ベアフットシューズの特徴や普通の靴との違いを見ていきましょう。
ソールが薄く柔軟性がある
ベアフットシューズが普通の靴と大きく異なるのは、ソールが非常に薄いことです。ベアフットシューズのソールにはクッション性がほぼなく、地面の凹凸や感触がダイレクトに足裏に伝わります。
加えて、ソールは普通の靴と比較して、柔軟性が高い設計です。歩いたり走ったりするときは、ソールが足に寄り添うように屈曲するため、動きが制限されにくくなります。踏み返しの動作もスムーズになり、はだしで歩行やランニングするような感覚が楽しめます。
かかとからつま先までの高低差がほぼない
ベアフットシューズは、かかとからつま先までの高低差がほとんどない『ゼロドロップ構造』が特徴です。普通の靴に比べて地面と足裏が平行になり、地面を足裏全体で捉えられます。歩行・走行では、足の指やアーチがしっかりと活用され、足への負担を軽減した歩き方が可能です。
一方、普通の靴はかかと部分が厚めで、つま先に向かってソールが薄くなる構造です。かかとの高い靴ではかかと着地が中心となり、姿勢の前傾や重心のずれが起きやすくなります。
つま先が広く足指を広げやすい
ベアフットシューズの特徴として、つま先部分が広く設計されていることも挙げられます。足型に近いワイドな形状は、足の指の動きを妨げません。
『足裏全体で体重を支えやすくなる』『足指で地面をしっかりつかめる』などのメリットがあり、歩き方や体のバランスが安定しやすいのが魅力です。
先端が細いパンプスやビジネスシューズはスタイリッシュですが、足本来の形や機能が犠牲になることが多々あります。足指の圧迫による外反母趾(がいはんぼし)や変形、痛みなどを避けたい人にとって、ベアフットシューズの形状は理想的です。
ベアフットシューズで注意したいデメリット

ベアフットシューズは素足に近い感覚を楽しめる靴ですが、万能というわけではありません。ベアフットシューズで注意したいデメリットを紹介します。
初心者は足の痛みや疲れを感じやすい
ベアフットシューズでは素足に近い履き心地が追求され、普通の靴にあるような足へのサポートを期待できません。クッション性の高い靴や、かかとの高い靴と同じ歩き方をすると、足の痛み・疲れを感じやすくなります。
例えば、ベアフットシューズの薄いソールは、地面からの衝撃を吸収できません。硬い路面や凸凹した道で履くと、足裏やかかとに痛みを感じることがあります。
かかとやつま先がフラットな形状でスムーズに歩くには、普通の靴と異なる歩き方を習得することが必要です。慣れるまでは、足の筋肉や腱に負担がかかることが多いでしょう。
最初は歩きにくい
ゼロドロップ構造のベアフットシューズで快適に歩くには、足裏の中央部から全体をフラットに着地させ、体重を自然に前方へ流す歩行フォームを習得する必要があります。
歩幅の取り方や足を出すタイミング、体の重心移動のコツが普通の靴とは異なるため、最初のうちはうまく歩けなかったり、歩きにくく感じたりすることがあるでしょう。
また、かかとの高い靴を長年履いてきた人は、その高さに合わせた姿勢・重心が体に染みついていることがあります。ベアフットシューズを履くと体幹のバランスも変わってくるため、新しい体の使い方を覚えるまで筋肉痛になったり疲れやすくなったりします。
慣れるまでに時間がかかる
ベアフットシューズを履きこなすには、普通の靴とは全く異なる歩き方やバランスの取り方、足の筋肉の使い方を習得しなければなりません。
歩幅を狭く保ち、足裏全体で地面を捉えるように接地し、重心を親指方向へスムーズに移していく動作を、段階的に身に付けていきましょう。足に負担をかけないようにするには、まず10~15分からスタートし、履く時間を少しずつ長くしていくのがおすすめです。
ただし、体に染みついた歩き方を直すのは、簡単なことではありません。これまでかかとの高い靴・サポート機能が充実した靴ばかり履いてきた人や、普段あまり運動しない人は、ベアフットシューズに慣れるまでに半年〜1年以上かかることもあります。
ベアフットシューズに期待できるメリット
ベアフットシューズは、足本来の機能を鍛え、自然な歩き方ができる靴として人気です。最後に、ベアフットシューズに期待できるメリットを紹介します。
歩き方や姿勢が改善される
ベアフットシューズが備える『ゼロドロップ構造』『薄いソール』『広いつま先』という三つの特性は、人間本来の歩行姿勢へ導く効果が期待されています。
かかとの高い靴ばかり履いていると、体の重心が前に寄るものです。ゼロドロップ構造は、前傾姿勢や反り腰を生む不自然な重心位置を整え、足裏全体で体重を支える姿勢へと促します。
薄いソールで地面の感覚をダイレクトに感じることは、足裏感覚の活性化にもつながるでしょう。クッション性が抑えられた構造により、足裏の筋肉もフル活用されます。
また、広いつま先(ワイドトゥボックス)は、足指の動きを妨げません。地面をしっかりつかめるようになることでバランス感覚が向上し、歩き方・走り方が安定します。ベアフットシューズを履くことで、自然に正しい姿勢・歩き方に整っていくのです。
地面を踏みしめる感覚を楽しめる
従来のクッション性の高い靴では、地面の凹凸・小石の感触・芝生の柔らかさ・砂利の粒々感などを実感することは困難です。
しかし、ソールの薄いベアフットシューズなら、地面の違いをしっかりと感じられます。特に自然の中のトレッキング・ハイキングでは、素足の感覚に近いベアフットシューズを選択することで、歩く楽しみが倍増するでしょう。
ベアフットシューズを継続的に使用することで、足指や足裏の筋肉が鍛えられ、歩行フォームやバランス感覚が向上します。正しい歩き方や姿勢が身に付くことで、長時間のトレッキング・ハイキングでも、疲れにくくなる効果も期待できます。
まとめ

ベアフットシューズは、ソールの厚さや靴の構造が従来の靴と異なります。足本来の機能を鍛えるには有益ですが、『最初は痛みや疲れを感じやすい』『慣れるまでに時間がかかる』などのデメリットについても、理解しておかなければなりません。
ベアフットシューズを購入したら、まずは焦らず慣らすことが大切です。少しずつ足の感覚や筋肉、バランス能力が整っていけば、地面を踏みしめる感覚を実感できるようになり、歩くこと自体が楽しくなるでしょう。







