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自然の中でスペシャルインタビュー

モデル 押切もえさん
ティーン雑誌の読者モデルから『CanCam』専属モデルを務め、一世を風靡。現在はモデル・タレント活動の傍ら、執筆活動も行なう。特技の絵画は、二科展に入選するほどの腕前。趣味はフルマラソン、登山と幅広い。
親子での低山デビューを目指して
「父の田舎が山形で、子供のころは山菜採りをしたり、竹の子を掘ったり、川遊びをしたり。自然に触れる楽しさが身近にありました。よく河原で芋煮会もやっていましたよ」
そう語るのは、モデルでタレント、2児の母でもある押切もえさん。登山歴は17年。幼少期から自然に慣れ親しんできたため、登山をはじめたのも、実に自然なことだった。
「20代後半から、旅先で低山を見かけると、トレッキングするようになりました」
山ガールブームの走りとして、TVの百名山企画で長野の山を度々訪れ、屋久島に行くなど、各地で登山を体験した。
「なかでも、旅の途中で何の気なしに登った京都の鞍馬山は、神秘的で印象深いですね。ケーブルカーもあるけど、実際に歩いたほうが今まで知らなかった自然の魅力に気づけるし、ひとりで行くことで気持ちをリフレッシュできました」
その後、本格的な富士登山や槍ヶ岳登山にも挑戦。
「登れば登るほど、どんどん変わっていく景色と気温に感動して。霧が出たり、森林限界で木が全然なくなったり。標高が高くなるに連れていろいろな景色を楽しませてもらって、より自然の偉大さを感じました」
母親とのはじめての海外旅行でアリゾナ州のセドナを訪れたときも然りだ。未舗装の道を自力で登り、岩が燃えるような真っ赤な夕焼けを眺めたときの達成感は、何ものにも替えがたいと感じた。
「昔から、限界に挑戦するのが好きなんですよね。モデルという着飾る仕事をしているのもあって、自分の体力やトレーニングの成果を実感したい、というか。その点、山は大きな達成感を与えてくれるので、自信につながります」
3000m級の山と低山、どちらも登ったからこそ気づいたそれぞれの魅力もある。
「30代になっていろいろ迷っている時期に、山に登って自然を感じることで、自分と対話し視野を広げることができました。こんな世界があるんだ、と気づかせてくれたのは富士山や槍ヶ岳かもしれません。でも、宿泊して体力を温存したり、食糧のペース配分を考えたりと、とにかく非日常な世界でした。その点、低山はそこまでの準備は必要ないし、気軽に楽しめるのが魅力。お友達とワイワイ行ってもいいし、自分を見つめながらひとりで心静かに登るのもいいですよね」
7歳と4歳になったお子さんとも、いつかハイキングを楽しみたい。
「低山だと、あそこのテッペンまで登ってみようとか、わかりやすく目標が立てられるのがいいですよね。やればできるっていう、自己肯定感も培われるし」
準備の重要性を教えることも大切だと話す。
「準備をしっかりしても、天気でダメになったりする。自分の力ではどうにもならないことがある、と学ぶ必要がありますよね。山や川で事故があったときなどは、敢えて詳しく教えて、危険なことも隠さず見せるようにしています。怖がらせるのではなく、こんな事例があるからこういうところには行かないほうがいい、と子供自身が判断できるようになれば」
親子での低山デビューのために、まずは身近な自然に触れることを大切にしているそう。
「うちの子は昆虫が大好きで。とっかかりとして、この季節に行けばこの虫に会えるよとか、この時間になれば虫も起きてるねとか、山へ行きたいと思う心を育てるようにしています」

低山グルメは多種多様!
「低山グルメといえば……、槍ヶ岳に登る前に食べた、『徳澤園』のソフトクリームが美味しかったなぁ。高尾山の『ごまどころ権現茶屋』の八王子らーめん(刻みタマネギがのった醤油ラーメン)も絶品。次はビアガーデンにも行ってみたいです。秩父の三峰山の麓ではよくお蕎麦を食べますけど、わらじカツも食べてみたい! 山頂に茶屋がある金時山にも登りたいですね。でもやっぱり、ある程度登ったところでいただく手作りのおにぎりが最高に美味しい!」
好きな具は、梅干しや明太子、スパムのせ。お気に入りの景色を眺めながら頬張るおにぎりに勝るものはないという。空腹が恐ろしいので、携行食にナッツバーやプロテインバーを持参することも忘れない。
「子供と登るなら、タンパク質をしっかり摂らせたいから、唐揚げ弁当かな。マラソンの考え方と似ているんですけど、登る前は糖質をしっかり摂るのがおすすめ。前日に糖質と炭水化物をしっかり食べるといいですよ」
さすが、アスリートの妻! なんでも、カーボ・ローディングという考え方で、持久力の向上効果があるのだとか。そんな栄養学をグルメハイクに取り入れるのも、また楽しい。
「やっぱりソフトクリームも食べたいけど、子供と一緒なら下山後のご褒美かなぁ。先にグルメを達成しちゃうと山に登らなそうだから(笑)」
ご褒美グルメハイクは、駆け引きも重要なのであった。


手作りのスパムのせおにぎり。薄焼き玉子の上に、スライスして焼いたスパムをのせ、海苔を巻いていただく。栄養満点!
行ってきたのはココ!
弘法山公園

浅間山、権現山、弘法山と3つの低山が連なった自然公園。小田急線秦野駅から歩いてアクセス可能。ハイキングコースが豊富で、三山を縦走し鶴巻温泉へ抜けるコースも。
ジャケット¥17,600、Tシャツ¥7,150、ショーツ¥7,480、タイツ¥8,250、シューズ¥15,950、バックパック¥9,900、帽子¥5,940
問い合わせ先:Columbia/コロンビアスポーツウェアジャパン TEL:0120-193-803
※構成/大石裕美 撮影/高橋郁子
(BE-PAL 2025年10月号より)