スコットランドの冬の外遊びを支える道路凍結防止剤散布車、あなたもその名付け親になれる!? | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2024.01.23

スコットランドの冬の外遊びを支える道路凍結防止剤散布車、あなたもその名付け親になれる!?

ハイランド地方の首都インヴァネス郊外のエヴァントンにあるファイリッシュの丘(標高約450m)頂上のモニュメント。

風光明媚な絶景を堪能できるスポットが無数にあり、美しい大自然の中での冒険を求めて世界各国から数多くのアウトドア派が訪れるスコットランド。山(ベン)あり、谷(グレン)あり、湖(ロッホ)あり、海ありで、多種多様な外遊びを楽しむことができます。

スコットランドの冬の外遊び

北緯49~61度と北海道よりも北にあるスコットランドの魅力は、春夏だけに限られたものではありません。冬だからこそ味わえる外遊びの醍醐味も多々あります。

『ナルニア国物語』のような冬景色の中でのヒルウォーキング(山丘歩き)やロッホ(湖)巡りは、心が洗われるような体験です。そして、英国最高峰ベン・ネヴィス山(標高1344m)や英国最大の国立公園ケアンゴームズを含めて5箇所あるスキー場で、圧巻の風景を眺めながら滑走する爽快感は格別!

記事最初の写真は大量の雪が積もった3年前の1月末のものです。当時7歳だった娘を連れて、親子3人で自宅から車で15分程度のエヴァントンという村にある丘でヒルウォーキングをしました。

道中では、天気がコロコロ変わるスコットランドらしく、突然の吹雪に見舞われたり、急な勾配になっているうえに地面が凍結した場所もあって、簡易アイゼンをブーツに装着してもヒヤヒヤの連続。まるでエヴェレストに挑んでいるかのようなノリ(たかが450mで!)でしたが、頂上にたどり着いてクロマティ湾を見下ろしたときの達成感は忘れられません!

ハイランド地方南西部の観光名所グレン・コー渓谷の近くにあるエティヴ湖の冬景色。画像提供:VisitScotland / Kenny Lam

1986年の映画「ハイランダー 悪魔の戦士」など多くの映画のロケ地になったエリアンドナン城。冬景色の中でもとっても絵になります。画像提供:VisitScotland / Paul Tomkins

ゴルフ発祥の地として知られるスコットランドのゴルフ場(550を超えます)といえば、海沿いの比較的平らなリンクスコースのイメージが強いでしょう。ですが小高い丘に広がる林間コースもいくつかあり、雪が積もるとクロスカントリースキーやそり遊びに理想的です。

インヴァネス郊外の小さな旧温泉地ストラスペッファーのゴルフ場。クロスカントリースキーやそり遊びを楽しんでいる人々を見かけました。

こちらはケアンゴームズ国立公園のスキー場。圧巻の風景の中でのスキーは爽快感抜群!画像提供:VisitScotland / Kenny Lam

そして意外かもしれませんが、スコットランドではオーロラ鑑賞だってできます!北極圏付近まで行かずとも見られるんです。

筆者が居を構えるインヴァネス地域でも、比較的よく見られます。ただ残念なことに、自宅付近で見たオーロラをカメラに収めることには未だ成功していません。そこで今回は、スコットランド政府観光局(VisitScotland)から拝借した写真をお見せします。

スカイ島の人気ハイキングスポット、オールドマン・オブ・ストーの上空を彩るオーロラ。画像提供:VisitScotland / Airborne Lens / Liam Anderstrem

スコットランド北東部ローズハーティーのマウントフーリー・ダブコット(ハト小屋)にかかったオーロラのカーテン。画像提供:Discover Fraserburgh / Fiona McRae

冬の外遊びの強い味方

スコットランドの冬の外遊びの宣伝が長くなってしまいましたが、このようなアクティビティを楽しむには、多くの場合、車での移動が欠かせません。しかし、スコットランドのような北国の冬の道路には、路面凍結や積雪など、交通事故の原因になりうる要素が数多く潜んでいます。

グレン・コー渓谷やベン・ネヴィスなどの人気スポットをつなぐ幹線道路。周辺はまるで『ナルニア国物語』。実は映画『007スカイフォール』で、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが大女優ジュディ・デンチ演じるMを連れて生家の「スカイフォール」へとボンドカーで逃走するシーンが撮影されたのもこの近くです!画像提供:VisitScotland / Airborne Lens

そこでヒーローのごとく登場するのが、除雪車や凍結防止剤散布車。冬の道路の安全を守り、車での移動を可能にしてくれる、冬の外遊びの強い味方です。毎年11月上旬(場合によっては10月)から翌年5月中旬にかけて、およそ240台の除雪・凍結防止剤散布車がスコットランド全土で大活躍しています。

作業中の凍結防止剤散布車。除雪プラウも装着されています。画像提供:Northpix/Peter Jolly

ユーモアあふれる名前

実はこれらの凍結防止剤散布車にはとてもユーモアあふれる名前が付いていて、毎年この時期になると、スコットランドのマスコミだけでなく、英国の全国紙や米国などの英語圏メディアでも大きな話題になります。

SNSでもバズり、例えば、スコットランドのユーモラスな名前の凍結防止剤散布車の活躍を称えたあるX(旧Twitter)の投稿が、24時間で80万件を超える表示回数を記録したことも。

また、スコットランド交通行政局(Transport Scotland)のウェブサイトでは、どの名前の凍結防止剤散布車がどこで作業中かをリアルタイムで追跡することもできます。これが大ウケで、1日の訪問数が10万件を超えることもあるとか。

Transport Scotlandのリアルタイムトラッキングページのスクリーンショット。凍結防止剤散布車のアイコンが愛嬌たっぷり!

007シリーズをもじった名前も!

名前の多くは英語のダジャレや有名人の名前をもじったもので、特にユーモアあふれるものの中には、凍結防止剤散布車を意味する英語のGritter(グリッター)と、米国の元アイドル歌手ブリトニー・スピアーズをもじったGritney Spears (グリトニー・スピアーズ)や、環境活動家のグレタ・トゥーンべリの名前をもじったGritter Thunberg(グリッター・トゥーンベリ)、凍結防止剤には塩が入っているためSalt(ソルト)とも呼ばれることと、ディズニー創設者ウォルト・ディズニーの名前をもじったSalt Disney (ソルト・ディズニー)などがあります。

「グリトニー・スピアーズ」号。画像提供:Amey

みぞれを意味するSleet(スリート)と50年以上のキャリアを誇るロックバンド、フリートウッド・マックを掛け合わせた「スリートウッド・マック」号。画像提供:Amey

また、英国スパイ映画の元祖、007シリーズのタイトルをもじったものもいくつかあります。

シリーズ第1作目の『Dr. No(邦題:007ドクター・ノオ)』とSnow(雪)を掛け合わせたDr. Snow(ドクター・スノウ)や『Goldfinger(邦題:007ゴールドフィンガー)』をもじったCold Finger(コールド・フィンガー)、『For Your Eyes Only(邦題:007ユア・アイズ・オンリー)』をもじったFor Your Ice Only(フォー・ユア・アイス・オンリー)などがその代表例。

「コールドフィンガー」号。ワルサーPPK(?)のシルエットがカッコいい!画像提供:Amey

「ドクター・スノウ」号。ボンドのシルエットがシブい!画像提供:Amey

オンラインで凍結防止剤散布車の名前を一般募集中!

これらの凍結防止剤散布車の名前は、2020年以来、毎年オンラインで一般募集されています。

事の始まりは、Transport Scotlandが小学生を対象に面白い名前を募集した2006年。それがコロナ渦中の2020年、沈んでしまっていた国民の気持ちを少しでも盛り上げようと、スコットランド南西部と北東部の幹線道路の維持管理を受託しているAmey(アメイ)社がオンラインで一般募集したところ、驚きの大反響!以来、人気の高い冬の伝統となっています。

ABBA(アバ)のヒット曲をもじった「スノウイング・ミー・スノウイング・ユー」号。画像提供:Amey

2023/2024年度の一般募集が始まったのは2023年11月8日。Amey社の広報担当者の話では、現時点での応募数は1400超。当初の締め切りは今年の1月16日でしたが、1月末頃まで応募を受け付ける予定だそうです。選ばれた名前は、FacebookとXの同社アカウント(@SWTRUNKROADS)でシェアされます。

提案された名前の数と質(どれだけオリジナル性とユーモア性に富み、的を得ているか)に左右されますが、毎年3つから6つぐらいまでの名前が選ばれます。そして新しい名前を冠した凍結防止剤散布車は、その年の11月に始まる次の冬期にデビュー。

実はこの一般募集、応募できるのはスコットランド在住者だけではありません。世界中のどこからでもオンライン応募できるそうです!当然のことながら英語の名前に限定されますが、読者の皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか?

スコットランドの冬の国民的ヒーローの名付け親になるチャンスです!ふるってご参加ください。

応募はこちらから:https://forms.office.com/e/Furr7AbaT1

凍結防止剤散布車のいくつかを紹介するアニメ動画も掲載されているAmey社のウェブページ:https://swtrunkroads.scot/winter-service/meet-our-gritter-fleet/

 

私が書きました!
スコットランド在住ライター
ケリー狩野智映
大阪府出身。海外在住歴ほぼ30年。英国で修士号を取得後、フランスで国際的な仏企業2社の広報部に計10年近く勤務。2008年にフランスから英国に再移住し、2020年より現夫の故郷であるスコットランド・ハイランド地方に居を構えています。フリーライター、メディアコーディネーター、翻訳者、コピーライターとして活動中。ウイスキー愛好家で、ウイスキーの聖地スコットランドでの生活に至上の喜びを感じています。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

NEW ARTICLES

『 海外の旅 』新着編集部記事

高地トレーニングと大自然のゲートシティ——アリゾナ州フラッグスタッフ【100周年を迎えるルート66の点と線・その6】

2026.01.24

シマ模様はみんな同じ!? 絶滅危惧種もいるシマウマの見分け方とは?

2026.01.22

風景と文化の交差点——ニューメキシコ州アルバカーキ【100周年を迎えるルート66の点と線・その5】

2026.01.20

歴史と文化が交錯する街——オクラホマ州タルサ【100周年を迎えるルート66の点と線・その4】

2026.01.19

アラビア砂漠の「遊牧民キャンプ」のあと○○に行ってみた!

2026.01.12

垂直落差1,131m!サウジアラビア・リヤドで「世界の縁」まで行ってきた

2026.01.09

映画『バグダッド・カフェ』の舞台を訪ねる【100周年を迎えるルート66の点と線・その3】

2026.01.08

サウジアラビア建国の地「ディルイーヤ遺跡」を夜間探検!

2026.01.08

伝説のモーテル&カフェ「Roy’s」を再建した日系人【100周年を迎えるルート66の点と線・その2】

2026.01.07