「お鉢巡り」「日本唯一の砂漠歩き」「絶景温泉」と言えば…さて、ここはどこでしょう? | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2024.01.15

「お鉢巡り」「日本唯一の砂漠歩き」「絶景温泉」と言えば…さて、ここはどこでしょう?

ぽっかり空いた噴火口に行ってきましたよ~。

どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。今回は真夏のオーストラリアから抜け出して、冬の日本からお届けします。

さてさて2023年の暮れも押し迫った12月下旬。私は冒頭の写真の場所に行ってきました。「うわっ、その噴火口って富士山頂のお鉢かよ~。登山道が閉鎖されたこの時期に行くなんて、おまえはいつから迷惑系ユーチューバーになったんだよ~」という皆様の声が聞こえてきそうですが…よく見てください。雪はどこにもありません。

じつはここ、富士山ではなく東京都の伊豆大島なんです! そして山の名前は三原山。

この三原山へのハイキングツアーを、東京の竹芝ターミナルなどからの船を運航している東海汽船が主催しています。で、前年に一時帰国したときにプライベートで行ってすごく気に入ったので、今回取材することにしました。添乗員付きのツアーと各種チケットなどが用意されるフリーツアーの2種類があり、前回は後者だったので今回は前者にしてみました。

じつはこのツアー、お鉢まわりハイキング以外にも楽しいことがてんこ盛りなんです!

フルフラットの寝台で「船中泊」!

ツアーのスタートは午後10時、東京の竹芝旅客ターミナル。はい、伊豆大島まで大型客船で向かいます。

このツアーで用意されている船室は「特2等」。名称は微妙ですが、なんとフルフラットの二段ベッド寝台なんです! 敷居はレールカーテンだけとはいえプライバシーも保てて、なによりのびのび寝られるフルフラットです!

幅は畳一畳よりちょっと狭い80センチくらい。

長さは身長180センチの私が寝転んでも、頭上も足元も余裕の2メートル以上。床面はクッションで、掛布団もついているので、快適に寝られます。

登山でよく使う夜行の乗り物というとバスを思い浮かべますが、通常「座席」のみで「仮眠」くらいしかできません。寝転がってゆっくりと体を休められるのがうれしいですね。

ところがこの東京湾には魔物が潜んでいます。いや、ダイオウイカとかそういうのではなく…。

下から見上げるレインボーブリッジもオツなものです。

はい、「夜景」です。通常夜景というと高いところとかタワーやビルの上から見下ろすもので、見上げたり水平に見たりするのもまた風情があります。

川崎の工業地帯を通り過ぎて、横浜港に23時半頃到着。

横浜港から先は明かりも減っていくので、夜景観賞はこのくらいにするのがおすすめです。なんたって伊豆大島到着は朝6時。翌日のハイキングのために充分な休息をとりましょう。

とはいえ、陸の光が減り、暗闇が増すにつれ、また新たな魔物が現れます。はい、星空です。晴れた夜の星空、見事です(船が動いているので写真はなかなか撮れませんが…)。

おすすめの星空観賞スポットは客室としては最上階の6階の後方デッキからまた階段を上って到着する中央甲板。ほぼほぼ真っ暗だからです。見回りに来ていた船員の方も「ここがベストスポット」とおっしゃっていました。

けどとにかく寒い。じつはこの「夜景」と「星空」の鑑賞をしたのは、前年に行ったとき。今回はグッと我慢して早々に寝ました。どちらをとるかは自己判断で。

そうこうするうちに伊豆大島に到着。波の状況などによって岡田港と元町港のどちらに入るか決まるそうです。私の場合は前回も今回も岡田港でした。

下船して右方向に進み、大島温泉ホテル行きの「路線バス」に乗車。もちろんこの代金もツアー代金に含まれています。

乗車時間は約20分。つづら折りの道をぐいぐい上がっていきます。立って乗車の際はグラグラするつり革ではなく、バーを両手でしっかりつかむことをお勧めします。

645分くらいに大島温泉ホテルに到着。ここで「バイキングの朝食」と「絶景露天風呂のある温泉入浴」という楽しみがあります。特に露天風呂から三原山までの約3キロメートルの間には、眼下に臨む低木の樹林帯以外何もない! 一見の……というか「一浴」の価値ありです!

いよいよハイキングがスタート

さてさてその後、8時半過ぎの路線バスに揺られること約10分。終点の「三原山頂口」からハイキングがスタートです!

今回の添乗員さんである篠さん(男性)と森田さん(女性)、および人相の悪い男一人(笑)。

二人ともなんと東海汽船の社員で、普段は営業部でお仕事をしているとのこと。知識が豊富でした。

スタート地点から臨む三原山。大島温泉ホテルの露天風呂からも大体こんな感じの眺めです。

まずは今回のルートを確認しておきましょう。

地図の下のほうに書かれた「現在地」から、青い線の「山頂遊歩道」を登ります。紫の線の「カルデラ周廻線 火口一周コース」を反時計まわりにほぼ一周して、ピンクの線の「裏砂漠線」を降り、画面左の「大島温泉ホテル」に向かいます。地図の左が北になります。

最初の「山頂遊歩道」は地図にも「舗装道」とあるように歩きやすい道。

ススキの穂を見ると、つい逆光写真を撮りたくなります。

途中、ところどころにあるこの半円筒形のスペース、なんだと思いますか?

私は弾薬庫か何かだと思ったのですが、なんと「噴火の際に飛んでくる噴石を避けるシェルター」だそうです。まあ、吹っ飛んでくる噴石を避けてここまで逃げ切るのも大変そうですが…。

こう見るとなだらかに感じられるのですが、それなりに傾斜はあります。

「富士山」「海と島々」など途中も見どころ満載!

で、このあたりは東側の斜面を登っているわけですが…。

高い木がないので、海と伊豆半島越しに富士山がずっと見られる状態!

途中で見つけたつらら。寒さがお分かりいただけると思います。

この「山頂遊歩道」を登りきり、「カルデラ周廻線 火口一周コース」に入ってすぐに「三原神社」が現れます。

鳥居越しの富士山。

富士山とのツーショットをもう一つ。ポーズは悪くないのに服の着方がだらしなくて、限りなくダサい私。

「三原神社」のすぐ先に「火口展望台」という3階建てくらいの高さの建物があります。

その屋上からは360度の見晴らし。三原山側は逆光ですが、ここからも富士山はバッチリ。

メインイベントの「中央火口」を間近に見る!

この先「カルデラ周廻線 火口一周コース」の南側の斜面を登るのですが、前回も今回もここでの強風がすごかったです。特に前回はほぼ四つん這いにならないと歩けない状態。

その後東側斜面を登り切ったあたりが、一番火口を見やすいスポット。つまり今回のハイキングにおける目的地になります。

中央火口です。本当にお椀のような形。上のほうの斜面はほぼ垂直なのがご覧いただけるかと思います。

この三原山中央火口は噴火のたびに大きさや形を変えてきましたが、ほぼ現在の状態になったのは1987年の爆発的噴火のときだそうです。直径350メートル、深さは200メートル。広さは東京ドーム約2.5個分で、深さは東京タワーの3分の2といったところです。

中央火口の反対側に広がるのが「裏砂漠」。島なので火口側ではなく海側の絶景も楽しめるのが、この三原山ハイキングのいいところの一つ。本当に飽きません。

じつはこの「裏砂漠」、国土地理院が発行する地図において、日本で唯一「砂漠」と記された場所だそう。ちなみに「砂漠」と「砂丘」の違いは以前、モートン島での「砂すべり」の記事で書きましたね。

「カルデラ周廻線 火口一周コース」をさらに進むと、右手に「中央火口」とは別の「割れ目火口」というのが見えてきます。

火口というと丸いイメージがありますが、ここはまさに「割れ目」。

ここは1986年の噴火でできたものだそうです。

「カルデラ周廻線 火口一周コース」から「裏砂漠線」というルートに出ると、あとは基本的には下り坂。

地球とは思えない異空間の「裏砂漠」

今回は少し時間的余裕があるとのことなので、なんと先ほど見た「裏砂漠」にまで足を延ばせることになりました。といっても片道150メートルなので、往復するだけなら5分もかかりません。

この道標を「裏砂漠・風の丘」のほうに向かいます。

そして到着したのがこんな場所。「風の丘」です。

荒涼としていて、まるで月面のような雰囲気。

とはいえ地面は「砂」というよりは大きめの粒です。

この物質は「スコリア」と呼ぶそう。噴火により出た多孔質の火山噴出物のうち、火山灰などでない「塊」で「多孔質」のもののうちで、淡色のものを軽石、暗色のものがスコリアだそうです。

このスコリアの地面ではただでさえ飛んできた種が根付きにくいうえに、ここは海風が強くてすぐにまた飛ばされてしまうので、「砂漠」になっているのだとか。

「裏砂漠線」に戻り、気持ちのいいススキの原っぱの間を歩きます。

遠くに見える白い建物がゴールの「大島温泉ホテル」です。

途中、左に「ジオロックガーデン」という奇岩群が見えてきます。

このあたりのススキの原っぱら歩きは本当に気持ちがいいです。

頭の中で♪ランランララランランラン~と「ナウシカレクイエム」が鳴り響きます。さっきの「風の丘」という地名に引っ張られているな、私の脳。

12時前にゴールの大島温泉ホテルに到着。今度は島の食材をたっぷり使ったというお弁当のランチが提供されて、温泉にも入れます。その後13時半過ぎの路線バスで港に向かい、帰りは大型客船ではなく高速ジェット船に約2時間乗って竹芝桟橋に向かいます。

巨大な「お鉢まわり」に、日本唯一の「裏砂漠」。見渡す限りの「海と島々」に、霊峰「富士山」。そんな様々な風景が楽しめる三原山ハイキング。

そこに「絶景露天風呂」と、「バイキングの朝食」と「お弁当の昼食」という内容の異なる2回の食事もプラス。さらには旅情たっぷりの「夜行の大型客船の個室」と、爽快な「高速ジェット船」という2種類の船旅の楽しみも! というなんとも内容充実の「三原山ハイキングツアー」です。

ちなみに開催は、閑散期の10月~3月が中心です(開催日は少ないのですが46月もあるとのこと)。202310月~20241月のツアー料金は12000円(23月は上記とはお鉢まわり後の内容が変わって14000円)です。

2024年1月の船の運賃を見てみると、超お得な「往復きっぷ」を利用してもジェット船が11000円で、大型客船特2等船室が12000円。朝昼2食と温泉入浴と路線バスの運賃までついて、ほぼ同額で行けちゃう無茶苦茶お得で欲張りなツアーです。

次回は添乗員付きではない「フリープラン」にして、「山頂遊歩道」ではなく「周回乗馬コース」から歩いてみようかな。「裏砂漠」も「風の丘」までではなく、「櫛形山第二展望台」まで足を延ばしてみようかな。

何度も行きたくなる三原山ハイキングです!

東海汽船

https://www.tokaikisen.co.jp/

私が書きました!
オーストラリア在住ライター
(海外書き人クラブ)
柳沢有紀夫
1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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