川を渡り谷底から這い上がり、辿り着いた…ロサンゼルスの「どこにも行けない橋」で見たもの | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2023.10.31

川を渡り谷底から這い上がり、辿り着いた…ロサンゼルスの「どこにも行けない橋」で見たもの

崖の上からハイカーを見下ろす野生の山羊。

崖の上からハイカーを見下ろす野生の山羊。

ロサンゼルスの東側に連なるサン・ガブリエル山脈にある、「Sheep Mountain Wilderness」(羊の山の大自然)と呼ばれるエリア。そこで最も人気の高いハイキングコースのひとつに、「Bridge to Nowhere」(どこにも行けない橋)と言う名の橋に辿り着くルートがあります。

まるで村上春樹著『羊をめぐる冒険』のようですが、こちらは片道9kmほどの道のりで、標高差も約400m。往復の所要時間は4~5時間ほどの「穏やかな」ルートです。とくにミステリアスな要素はないように思えます。

トレイルヘッド(登山道入り口)の案内板。

トレイルヘッド(登山道入り口)の案内板。

アメリカではよくハイキングコースの難易度を「Easy」(簡単)、「Moderate」(穏やか)、「Strenuous」(険しい)、「Very Difficult」(非常に困難)という風に分類します。

2番目の「穏やか」とされるこのルート、確かに小学生くらいの子どもを連れた家族連れや遠足のようなグループの姿も目にしました。普段から歩く習慣を持っている人なら、歩き通すことはさほど難しくない距離と標高差でしょう。しかし、実際に歩いてみると、誰でも簡単に楽しめるとは言い切ることはできない部分もありました。

 膝まで水に浸かる、覚悟の「徒渉」ポイント

トレイルヘッドと呼ばれる登山道入り口には大きな駐車場があり、そこからサン・ガブリエル川に沿って歩いていきます。目的地の橋までは、基本的にはなだらかな登り道になります。

このルートの問題は(ある種の人にとってはまったく問題にならないかもしれませんが)、途中で川の中を歩いて渡らなくてはいけない箇所が4、5か所あることです。

大きな河川を渡ることを「渡河」と言い、小さな川の浅いところを歩いて渡ることを「徒渉」と言うそうです。この辺りは川幅が5〜10mくらいですので、後者の呼び方が相応しいでしょう。

徒渉ポイントのひとつ。

徒渉ポイントのひとつ。

浅くなって歩きやすいところに、両岸からロープが張ってあります。それを伝って歩く限り、さほど危険を感じることはありませんでした。

そうは言っても、水の中を歩くわけですので、やはり快適とは言い難い部分もあります。渡り終えて登山道に戻り、びしょ濡れになった靴と靴下の不快さに耐えながら歩き始めて、ようやく乾いてきたかなと思った頃に、次の徒渉ポイントが現れます。その繰り返しです。

あらかじめ川の中を歩くためのサンダルやウォーターシューズを持参して、川を渡るたびにそれに履き替えていた用意周到なハイカーもいました。私などはたった半日のハイクで4回も5回も靴を履き替えていられるか、と思うのですが、その辺は人によって様々なのでしょう。

この川は渇水期にあたる夏から秋までは膝くらいまでの深さなのですが、水量が増える冬から春にかけては腰まで水に浸かることもあるそうです。足元だけならともかく、パンツまで冷たい水に濡れるとなると、それはやはり心楽しいことではないだろうと思います。このルートは1年中開いていますが、暖かい季節を選んだ方が良さそうです。

峡谷にこだまする理解しがたい人々の叫び

さて、2~3時間ほど歩くと、目的地の「Bridge to Nowhere」(どこにも行けない橋)が谷川を見下ろすような形で見えてきます。その名の通り、登山道は行き止まりになっていて、そこから先には進めません。

ですから、ハイカーの多くはそこで一休みしてから引き返すわけなのですが、橋の上では信じられないような行為に興じる集団がいます。

バンジージャンプです。

“Bridge to Nowhere” で行われているバンジージャンプ。

“Bridge to Nowhere” で行われているバンジージャンプ。

橋の手すりを乗り越え、はるか下に小さく見える谷底に向かってジャンプする人が次々に現れます。高所恐怖症の私にとっては身の毛もよだつ光景です。橋の高さは37mということですが、もちろん私にはその何倍にも感じられます。

峡谷にこだまするジャンパーたちの叫び声は「イエーイ」かもしれませんし、「バカヤロー!」とか「阪神タイガース優勝バンザーイ」かもしれません。

看板には1回120ドル(約18,000円)と書いてありました。チャレンジしたらご褒美に賞金を貰えるのではありません。彼らはそんな大金を払って、わざわざ恐い思いをしているのです。しかも、ここまでは川を渡り、谷底から這い上がって、山道を登って来るしか方法はないのです。

彼らの心理は私には到底理解できませんが、興味のある方がいらっしゃるかもしれませんので、運営会社のウェブサイトを紹介しておきます。オンラインで予約もできるようですが、その場で申し込んでいる人も多くいました。

BUNGEE AMERICA: https://www.bungeeamerica.com/

私が書きました!
米国在住ライター(海外書き人クラブ)
角谷剛
日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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