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『ダリエン地峡決死行』 北沢豊雄 産業編集センター

2020.09.01 (閲覧数) 301

■世界で最も過酷な国境

コロンビアとパナマの国境地域。世界で最も過酷な国境と呼ばれるダリエン地峡。アラスカからパタゴニアまで続くパンアメリカンハイウェイが唯一途切れている区間。ゲリラ(FARCコロンビア革命軍)が潜伏し地雷を仕掛け、身代金目当てに旅行者を誘拐する。マフィアの麻薬と武器の密売ルートでもある。

林道や山道さえなく、陸路では人が踏みつけた細い獣道・トローチャをたどるしか国境を越える方法がない。旅行者は案内人なしでは歩けない……というか生きて地峡から出られる可能性が限りなくゼロに近い。しかし、コヨーテまたはギアドールと呼ばれる彼らが豹変して身ぐるみ剥がされることもある。

■居酒屋のバイトが「面白いところに行ってみたい」の一心で

コロンビア・ボゴタの日本人が経営する居酒屋「侍や」でバイトをしていた北沢氏は、ある日、社長である高橋氏に「帰国前にどこか面白いところへ行ってみたい」と尋ねる。高橋社長がすすめたのはダリエン地峡を越えてパナマに入国するという冒険の旅。すすめる人もすごいと思うが、それにのる北沢氏も偉い。

ダリエン地峡越えの1度目、2度目、そして3度にわたる過酷な挑戦を軽快なタッチで描くアドベンチャールポルタージュ。

どの部分を紹介しても“ネタバレ”になるから旅の内容には触れない。3度挑戦したということは最初に載っているマップでわかることだから、このくらいは勘弁して欲しい。ひとつだけいいたいのは「ええっ!なんでとツッコみたくなるタイミングで過酷になっていく」ということ、だから飛ばさず最後まで読み切って欲しい。

■誰もが明日から挑戦できる冒険

北沢氏は冒険家ではない、コロンビア滞在が長いおかげでスペイン語が堪能になった旅行者だ。準備に準備を重ね、体力をアップして、厳密な下調べの後、数ヶ月分の食料を担いで冒険に出かけた……わけではない。バイト先の店長にポンと背中を押されてダリエン地峡に向かう。いってみればこれを読んでいる誰もが明日から挑戦できる冒険なのだ。

誰でも挑戦は出来るけど生還できるとは限らない。

「無謀だ」という人もいるだろう。
「愚かだ」という人もいるかもしれない。

■読者の背中を押してくれる

「そこに行ってみたいから行く」
これはとても正しい。行ってみたいところにいけない、やってみたいことが出来ない世の中のなにが楽しいだろうか。「行ってみたい」から北沢氏は世界一過酷な国境地帯を踏破しようとする。

そんなことしてなにかあったら皆に迷惑がかかる、国に迷惑がかかる、自己責任で済むことではない、

などと大きな声を出す人がいる。

でもね、そんなことをいっていたら、遭難の危険がある冬山にはいけない。沈して溺れるかもしれないからカヌーで激流を下ってはダメ。転んでケガしたら救急車の世話になる可能性があるから自転車で峠道に遊びに行くなんてとんでもない、てなことになる。

やってみたいからやる、これを止めたらなにもできないし、つまらない。

「やってみたいことがあるけどちょっと危なそうだなあ」「難しいかなあ」と悩んでいる人がいたら、この『ダリエン地峡決死行』が背中を押してくれるはずだ。

ダリエン地峡決死行 
北沢豊雄
産業編集センター
2019年6月27日第1刷

https://www.shc.co.jp/book/10675

ちなみにボゴタに住んでいる私の身内は、冒険に出かける前の北沢氏に「侍や」で出会い、強く止めたそうです。Mよ、北沢さんは無事に帰国して素敵な本を書き上げているから心配しないように。

■Samurai - Ya Cocina Japonesa
https://www.facebook.com/Samuraiaya/posts/2153822734761641

yuzuさん

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