
BOOK 01
正に行き当たりばったり! 先の読めない一期一会旅
『シェルパ斉藤の還暦ヒッチハイク』
斉藤政喜著
産業編集センター
¥1,760

旅に求めるものは一体何だろうか。非日常、美しい景色、うまい食、出会い……。想像もしていなかった展開こそが旅の醍醐味でもある。
本書はそんな予期せぬ広がりを期待したヒッチハイク旅のルポルタージュ。本誌で長年に亘り執筆を続ける著者、本書はそのうちのヒッチハイク篇をまとめたものだ。
年齢を重ねた旅人は人生の経験値が高くどんな状況も楽しむ心の余裕があると、還暦を目前にヒッチハイクの旅に出る。東京から熊本へ、はたまた津軽から山梨へ、一期一会を楽しみながら移動していく。
見ず知らずの著者を乗せた何人ものドライバーたち。世の中にはこんなにもいい人たちがいるんだ!と、優しさに感じ入る。過去にヒッチハイクの経験がある人は乗せたくなるようだ。
ヒッチハイクは完全に他力本願の旅。とにかく笑顔で、午前10時と午後1時以降が狙い目、など巻末の指南はかなり実践的。先の読めない至極の旅スタイルだ。
BOOK 02
数万光年に思いを馳せて、誰かと話したくなる夜空
『星座の見つけ方と神話がわかる星空図鑑』
永田美絵著
牛山俊男写真
成美堂出版
¥1,430

暦の上では白露、日没も早くなり夜空は秋の足音が近づいてきている。秋の夜長にのんびりと星空を見上げてみるのはどうだろう。本書は全天星座88のうち、主だった星座を春・夏・秋・冬の季節ごとにナビゲートする。見上げる方角と見つけ方のコツ、星座にまつわる神話や言い伝えも解説。
ギリシャ神話にまつわる星座は愛憎劇や悲劇、英雄譚といったドラマチックな展開のものが多い。一方で中国では北斗七星をブタに見立てていたり、みずがめ座の甕に入っているのは実はお酒だった!? など、誰かと話しながら星を眺めたくなるようなストーリーも。
星座への誘いの数々はいずれも朗らかで、幼いころから星が好きだという著者の思いを感じる。本書では南半球の星空や、惑星・恒星・銀河といった天体の基本的な知識や皆既日食などの天体現象についての解説も詳細だ。星々を繫いで想像を膨らませてみよう、星空にはロマンが溢れている。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2025年10月号より)