2018.01.01

日本史アウトドアズマン列伝②「西郷隆盛のウサギ狩り」――メタボ改善のために山野を駆ける「薩摩の巨人」

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2018年度のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主人公は西郷隆盛(1828-77)だ。薩摩の下級武士に生まれた西郷は、藩主・島津斉彬の目にとまり、江戸や京都で奔走。倒幕や明治維新の中心人物となってゆく。

西郷といえば、「上野の西郷さん」として親しまれている上野公園の銅像を思い出す人は多いだろう。太い眉にぎょろりとした目、どっしりとした体躯は、「薩摩の巨人」の風格を漂わせている。

上野公園の西郷隆盛銅像(高村光雲作。犬は後藤貞行作) 写真:のびー / PIXTA(ピクスタ)

実際に、西郷は身長が180cm近く、体重は100kgを超える巨漢だった。若い頃は筋肉質の剛健な肉体だったようだが、明治新政府に出仕するようになってからは運動不足にくわえ、脂っこい豚肉や甘いものが好物だったこともあり、どんどんメタボ体型になっていった。

西郷の肥満を心配した明治天皇は、お雇い外国人のドイツ人医師ホフマンに相談して西郷を診察させた。その結果、「このままでは命にかかわる」と西郷は宣告され、ダイエットに励むことになる。

ダイエットにあたり、ホフマンからは下剤を処方され、食事療法(低炭水化物ダイエット)と適度な運動をすすめられた。そこで西郷が始めたアウトドアスポーツが、「ウサギ狩り」だった。

ウサギ狩りは、もともと武士の鍛錬のひとつであり、山に網などの罠を仕掛けておいて高所から犬を放ち、野ウサギを追い詰めて捕まえるもの。ウサギ狩りには犬が数頭必要なので西郷は犬を飼い、東京郊外の駒場野(現在の目黒区駒場)あたりに出かけていってはウサギ狩りで汗をかいた。ウサギ狩りや散歩などで身体を動かし、ホフマンの健康指導の甲斐もあって、西郷の肥満は改善したようだ。

その後、西郷は征韓論にやぶれて下野し、薩摩に帰る。そして明治10年(1877)に西南戦争を起こす。結果、西郷軍は敗走をくりかえし、故郷の鹿児島を目指して九州山地を越えていった。夜間、急峻な崖を這いつくばって登っているとき、西郷は、「夜這いごつ」(まるで夜這いにいくようだな)とつぶやいて、周囲を笑わせたという。こんな余裕(?)も、ウサギ狩りで取り戻した健康体あってこそだろう。

西南戦争にも西郷は犬を数頭連れていて、最後は放している。もともと西郷軍は東京を目指していたので、東京でまたウサギ狩りをしようと思って連れてきたのかもしれない。

西郷の死後、顕彰のために建立された上野の銅像は、犬を連れて散歩する姿に見られがちだが、本来は、ウサギ狩りに出かける姿を想定したものだ。大河ドラマ「西郷どん」で、鈴木亮平演じる西郷が、犬を放ってウサギ狩りをするシーンを観ることができるかどうか、期待したい。

構成/内田和浩

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