【ロングトレイル旅】ビバルマントラックを歩く 「初夏の気候だと思っていたのに!」

2018.01.09

アパラチアントレイル最終章 ビバルマントラックの旅 vol.011

北のターミナルから

ノースターミナルから歩き始めると、マークはアスファルトの道路を示していました。

しかしそのマークは、公園らしき道に入り、やがてカラマンダ国立公園へ。一気に人の気配がなくなりました。その後、なかなかマークが現れずダートロードを歩いていると、僕が追っているマークが変なことに気が付きました。
黄色の三角形のマークなのですが、よく見るとそこに描かれていたのは馬の絵。ビバルマントラックを示すヘビのマークではなかったのです! たまたま、人が歩いてきたので「ここはビバルマントラックだよね?」と聞くと、「ビバルマントラックのルートではない」と言われ、興ざめる僕。

カラマンダ国立公園へ

マークを見落としてしまっていたせいで、1時間ほどのロスト。本線にようやく戻り、マークを再度確認すると、どうやら旧ルートに迷い込んでいたようでした。少し油断していたのかもしれません。とにかく先を急ぎました。10日分の重い荷物を背負って、足早に歩いたせいか、両足の太ももがつり始めました。
でも、それにかまっている時間も精神的な余裕もそのときの僕には、ありませんでした。ひくひくしながらアップダウンを超えると急に足に力が入らなくなり、太もももふくらはぎに痛みが走ります。

ニュージーランドとも全く違う道のり

それでも日暮れが迫っていたので、かまわずにそのまま進むしかない。途中、初めてワイルド・グレー・カンガルーを見かけたのですが、カメラを出すこともできず、撮りたいという気持ちの余裕もありませんでした。

何度か途中でテントを張ろうと思ったのですが、手元にはもう水がありませんでした。地図に記してあるはずの川も見当たらない。水を確保できなければ、泊まれないので雨水タンクが設置してあるシェルターまで、どうしても歩く必要がありました。

やがて闇で辺りが見えなくなったので、バックパックからソーラーランタンを取り出し、足元を照らしながら歩きました。やっとシェルターの案内が出てきて、到着するころには、19時を過ぎ、真っ暗な中のゴールとなったのです。すでにシェルターにいた1組のハイカーは寝るところでしたが、暗闇の中から現れた僕に「大丈夫?」と心配してくれ、その暖かさに病んだ気持ちは癒やされました。

とりあえず安心して水を汲みに行くと、使っていたソーラーランタンの電力がゼロに。ヘッドランプをどこに収納したのか真っ暗闇では探せません。脚が痛いのにも関わらず歩き通していたこともあり、荷物を広げる気力もなく、そのまま食事も摂らず寝袋に入りました。さすがに2食食事を抜くと、空腹感すらありませんでした。

いつものように半裸で寝袋に潜り込んだ僕は、深夜、あまりの寒さで何度も目が覚めました。

実は、僕の装備は、初夏の西オーストラリアを想定してチョイスしています。

それでも寝袋は0℃対応を準備していました。マットは、直前までウレタンマットとエアーマットで悩んでいたのですが、飛行機の預かり荷物の関係で、コンパクトなエアマットをチョイス。

それが裏目に出たのかもしれません。シェルターの床からジワリとくる冷気が背中に伝わり、寒さで目が覚めるといった状況。これから、こんな夜が毎日続くのでした。日中は気温が上がり、汗だくになります。しかし、日陰に入ると寒く、16時を過ぎるとダウンジャケットなしでは過ごせないほどです。万が一寒かったら、と出発するときにバックパックの空きスペースにダウンジャケットを入れたのですが、これが大正解! 1週間は体がこの気候に慣れるために時間が必要だし、気候の確認、水場の間隔などなど、ビバルマントラックの歩き方を、現実に沿って自分なりに確立しないといけません。

2、3日歩いてみて感じたのは、
1.日の出は6時。日没は17時30分
2.地図に記されている水場はほぼ枯れている。
3.水場の水の状態が悪い。
4.朝露が多く、テント張ると乾かすのに時間がかかる。

これらの状況をふまえると、歩く時間は6時から~16時頃が限界でしょう。水場がなかったり悪かったりなので、シェルターにある雨水タンクを利用するしかありません。
シェルターを渡り歩けば、朝露でテントも濡れないので乾かす手間が省けます。

これが僕の考えた当面の歩き方。予定通り僕の体は1週間程ででトランスフォームしていきました。足の皮が厚くなり、腰回りとふくらはぎの筋肉が急激に盛り上がります。

年に数か月も歩く生活を続けていると、体が自然にこの生活にあわせ順応していくのです。それでも今回は距離の感覚だけがずれていました。いつもなら、予想通りの時間で、一定の距離を歩く感覚は大きくずれませんが、この感覚だけが全く修正されないのでした。距離に対する予想到着時間が、時には2時間ほどズレることもありました。

その原因は分からないので、やはりギリギリな予定を組むことはできませんでした。

はたして、この感覚はこの先修正できるのだろうか?また、この寒さ、水場の状況は改善していくのだろうか?

寒い事もあり、咲き初めのワイルドフラワー

フェイスブックで見ていてくれて、声を掛けてくれた親子。

つづく

 プロフィール

 

 

 

【Profile】斉藤正史 

山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。

ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail

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