「中央分水嶺・高島トレイル」を歩いてみよう! 日帰りと3泊4日のモデルコース(後編) | BE-PAL

「中央分水嶺・高島トレイル」を歩いてみよう! 日帰りと3泊4日のモデルコース(後編)

2021.08.01

紅葉のシーズンになるとトレイルのいたる所で樹々が色づく。

高島トレイルは「春・秋・冬」がベストシーズン!

「中央分水嶺・高島トレイル(※以下、高島トレイル)」は全体的に標高が低く、最高峰の三重嶽(さんじょうだけ)でも標高は1,000mに届きません。夏は暑さがこたえる季節になるため、ハイキングには「春」「秋」「冬」の季節がおすすめです。春は色とりどりの花が咲き、秋は紅葉、冬になるとスノーシューハイキングを楽しむことができます。

前編に続き、後編では高島トレイルクラブで代表理事を務める谷口良一さんに詳しく話を聞きました。

高島トレイルについて教えてくれた谷口さん。主にマキノの山のエリアを中心にハイカーのガイドをする傍ら、環境省の自然公園指導員として自然保護の活動、啓発も行なっている。カヤックで琵琶湖も案内する

春|新緑と花の季節

大地に咲き乱れるオオイワカガミ。

高島トレイルではGW頃から花が見頃を迎えます。

「オオイワカガミやイワウチワの変種トクワカソウが山肌を覆うように咲き乱れるので、一面ピンク色の絨毯を敷いたような景観を愛でることができます。この季節はブナの新緑が増してくる時期でもあります」。

さらに、この時期は日照時間も長いため、夏までは長い距離を歩くスルーハイクに適した季節ともいえるでしょう。

トクワカソウは薄ピンクの花弁が可愛らしい。

秋|キノコと紅葉の季節

オオイタヤメイゲツが色づくと風景が朱く染まる。

高島トレイルでキノコが多く見られるようになるのは9月以降。地面から顔を出すキノコを探しながら目線を上に移すと、赤や黄色に色づく錦秋の森が頭上を染めます。

「紅葉の見頃は10月下旬から11月上旬。トレイル上ではブナと一緒に、鮮やかな赤色に染まるオオイタヤメイゲツというカエデの紅葉が見られます。エリアを紹介すると、朽木の山にある“おにゅう峠”は紅葉狩りのポイントですね」。

おにゅう峠から眺める紅葉と雲海の絶景。

冬|スノーシューハイキングを楽しめる白銀世界

スノーシューハイキングを一度経験すると、独特の浮遊感が病みつきになるはず。

高島トレイルに連なる山は標高が1,000mにも満たない低山ですが、冬になると雪に覆われた別世界が広がります。

「12月後半から雪が降りはじめて、しっかり積もるとスノーシューハイキングを楽しめるようになります。ベストシーズンは1月から2月。とくにマキノ高原の近くにたたずむ赤坂山周辺はスノーシューハイキングに適したコースがたくさんありますよ」。

積もった雪はGWまでにはほとんど解けて、再び花の季節を迎えます。

長距離トレイル初心者も楽しめる日帰りモデルコース!

「明王の禿」と呼ばれる小ピークから望む赤坂山。

それでは具体的に、高島トレイルを歩くモデルコースを紹介します!
高島トレイルを日帰りで楽しみたい! と思ったら、交通の便がいいマキノ高原を起点にしたコースがおすすめです。

高島トレイルを歩くにあたって、まずは地図を購入しましょう。

全体のコースタイムと距離は左の「中央分水嶺・高島トレイル詳細マップ」が詳しい。右の「中央分水嶺・高島トレイル 公式ガイドブック」は、高島トレイルを14コースに分割して見どころを紹介している。

こちらは高島トレイルを維持管理している「NPO法人 高島トレイルクラブ」で購入することができ、高島市内では道の駅などで販売されています。

NPO法人 高島トレイルクラブ:https://takashima-trail.jp/

「赤坂山から寒風までのコースは、背の高い木がすごく少なくて見通しがいいんです。草原の中を歩いていくので、眼前には進む道、振り返ると歩いてきたトレイルを遠くまで見渡すことができます。それと、ここは北西には日本海、南東には琵琶湖を眺めながら歩けるコースでもあります。まるで馬の背を歩いているような感覚でハイキングを楽しむことができるんです」。

赤坂山から寒風へ向かう。広大な草原のなか、気持ちのいいハイキングを楽しめる

公共交通機関を使ったモデルコース

JR湖西線マキノ駅=(バス)=マキノ高原温泉さらさバス停〜ブナの木平〜赤坂山〜寒風〜西山林道出合〜マキノ高原温泉さらさバス停=(バス)=JR湖西線マキノ駅
(約9.5km/約5時間30分)

スルーハイキングに挑戦する3泊4日のモデルコース

テントを担いでスルーハイキングに挑戦。念入りな準備が必要だ。

総延長80kmを一度に歩くスルーハイクに挑戦するには、飲み水の確保と泊まる場所を考える必要があります。高島トレイルには水場が少なく、実はキャンプ指定がないのです。一日の終わりには林道の脇にあるスペースにテントで泊まることになります。

今回は、飲み水を確保できる峠をビバークポイントとした3泊4日の計画を紹介しますが、毎日のコースタイムは10時間前後もあるので、テント泊装備一式を背負って山道を歩く相応の体力が必要です。

夜、静かな山の中で思い思いの時間を過ごす

「いずれのビバークポイントにも水場がありますが、時期によっては枯れている可能性も。必ずインターネットなどで事前に情報を得て最新の状況をチェックしてください」。

公共交通機関を使ったモデルコース(3泊4日の場合)

1日目:JR湖西線マキノ駅=(バス)=国境バス停〜愛発越登山口〜乗鞍岳〜赤坂山〜抜土(約18.1km/約9時間55分)
2日目:抜土〜大御影山〜三重獄〜武奈ヶ嶽〜水坂峠(約19km/約9時間10分)
3日目:水坂峠〜行者山〜駒ヶ岳〜木地山峠(約20.8km/約10時間35分)
4日目:木地山峠〜百里ヶ岳〜三国峠〜三国岳〜桑原橋バス停(約23km/約12時間10分)=(バス)=JR湖西線安曇川駅

スルーハイクに挑戦するなら、便利なツアーも検討しよう!

ツアーに参加すればトレイル上の植生や見どころ、麓の名所やグルメなど、細かい情報と共にハイキングを楽しめる

「スルーハイクに挑戦したいけど、体力に自信がない」という方もいるかもしれません。そこで紹介したいのがツアーの利用です。

「NPO法人 高島トレイルクラブ」では、水坂峠を境に前半と後半をそれぞれ2泊3日の行程で歩く企画を実施中。テント場まで荷物を運んでくれるサポート付きなので、体力に自信がない方も安心して高島トレイルの全線踏破にチャレンジできます。

NPO法人 高島トレイルクラブ:https://takashima-trail.jp/

ハイキングと一緒に地元グルメも楽しもう!

高島市の名所、メタセコイヤの並木道

前編で紹介したとおり、高島トレイル上には日本海と琵琶湖をつなぐ交易の路であった鯖街道の峠道が残ります。その影響から、鯖を使う料理が地元・高島市の名物です。

高島市に立ち寄ったらぜひ味わいたい鯖寿司。

「鯖寿司が有名で、お店によって少しずつ味も違んです。鯖寿司を山で食べても美味しいですね。また、鯖を丸ごと串に刺して焼いた焼き鯖も美味です」。

「高島市は“発酵のまち”とも呼ばれており、なれ寿司、お酒、醤油、味噌のお店が多いのも特徴ですね」。

なれ寿司は塩と米飯で魚を発酵させた地元の珍味。

高島市内には歴史ある醤油屋もある。

さらに、琵琶湖で獲れる魚も美味しいようで、こちらも地元グルメと呼べるでしょう。

「ゴリやイサザなど、琵琶湖だけに生息する魚は16種類もいるんです。ビワマスなどは、すごく美味しいですね。鮎も琵琶湖は有名です」。

地元の名物「イサザのじゅんじゅん」。「じゅんじゅん」とは「すき焼き」のこと。

高島市を拠点に「高島トレイル」を訪れてみよう!

朽木の山にある駒ケ岳周辺にはみずみずしいブナの森が広がる。

前編・後編に分けて駆け足で紹介してきた「高島トレイル」。歩くだけでは気付きにくい歴史や自然、地域に根付く文化などを少しでも感じて頂けたでしょうか?

高島トレイルは水場が少なくビバークポイントも限られているとあって、ハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、日帰りで歩くだけでも「高島トレイル」の魅力の触れることは十分可能。麓にある高島市を拠点にして、奥深い歴史と豊かな自然、地元グルメを堪能しながらハイキングを楽しみましょう!

私が書きました!
山岳ライター
吉澤英晃
群馬県生まれ。登山用品を扱う会社の営業マンを経てフリーランスとして独立。幼少のころ家族で楽しんだキャンプでアウトドアが好きになり、大学で探検サークルに入ってから山に登り始めました。現在は山岳会に所属して、春から秋は沢登りとテンカラ釣り、冬は主にラッセル山行とアイスクライミングを楽しんでいます。
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