散歩が楽しくなる花の名前判定アプリ「ハナノナ」が便利!

2020.06.08

私が書きました!
ライター、編集者
高木義人
札幌と福島を行き来する”IT方面”の会社員兼ライター、編集者。趣味は旧版地形図を眺めながら自転車で田舎道や山道を徘徊すること、キャンプ、酒類全般、おき火づくり。そして呑み鉄。https://www.panologue.com
ハナノナアプリでツルニチニチソウを判定

スマホをかざせば人工知能が花の名前を教えてくれる

いつもの散歩みちで見つけた花の名前がわからない…。そんな時に活躍するのが「ハナノナ」アプリだ。ポケットから取り出したスマホを調べたい花にかざすだけ。人工知能(AI)が花の種類を判定し、ものの数秒で名前が表示される。花を見つけてから名前がわかるまでの一連の体験が実に小気味良い。シンプルで直感的、とにかく楽しい。
ハナノナアプリ サーチモード

花弁の色や形、枚数、葉の付き方や形、背丈といった分析的特徴ではなく、画像全体から総合的に判定しているため、蕾(つぼみ)や実の状態でも名前を判定できる場合がある

操作は簡単だ。アプリを起動すると「サーチモード」での表示となる。花の姿を画面に収めれば一瞬ののち花の名前が判定される。強い風で花が揺れていたり、直射日光に照らされているような特殊な状況を除いて、ほぼストレスフリーで動作する。

画面内の複数の花の種類も判定可能

画面内に複数の花や、異なる種類の花が写っていても、それぞれの花の位置に名前が表示される。スマホの内部で名前の判定処理を行なうため、電波が通じない場所でも使用できる

名前の下に表示される数字は人工知能が判定結果にどれだけ”自信”を持っているかを表している。時には判定を”迷う”ことも”間違う”こともあるけれど、そこになぜか”人間み”を感じてしまうのだ。

ハナノナアプリ カメラモード

花の写真を残したいときは「カメラモード」を選択。シャッターボタンをタップすると確認画面(写真右)が表示され、wikipediaを参照して判定結果を自分で確認することができる。サーチモードの画面を保存したい場合はiPhoneのスクリーンショット機能を使おう

開発したのは人工知能の研究者

竹内彰一さんと蒲地輝尚さん

【写真左】千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab)
主席研究員 竹内彰一(たけうち・あきかず)さん
【写真右】株式会社 mokha 蒲地輝尚(かまち・てるひさ)さん

日常のなかで人工知能を体験して欲しい

「人工知能」というとなにか大規模なシステムという印象があり、スマホでこれだけサクサク動作するのは意外だった。そこでアプリの開発者に背後でどんなことが行なわれているのかを聞いてみた。

核となる花の名前を判定する部分を担当したのは竹内さんだ。
「開発が始まったのは2016年です。人工知能を訓練する最新の方法である”深層学習(ディープラーニング)”という技術を研究するにあたって、似たものが多い花をどうやって見分けるかをテーマに選びました。現在では770種類の花を判定できるようになりました。1種類につき150〜700枚ほど、最終的には35万枚の写真を用意して、種類ごとの特徴をコンピューターが自分で見つけ出すような訓練を続けました」

2017年夏、それまでの研究の成果を発表するために、千葉工業大学のキャンパスにPCやプロジェクタを使ったハナノナの体験展示がオープンした。同時にブラウザから花の写真をアップロードするwebバージョンも公開された(この段階で判定できた花は406種類)。そして2020年春、さらに多くの人にハナノナの研究成果を知ってもらうために、蓄えてきた学習結果を活かして無料のアプリとしてリリースされた。

「判定結果が完璧でないことや、自分を含めたヒトとコンピューターの認識の類似点と相違点を体験してもらうことで、人工知能の有益な面や欠点などに日常のなかで気付いてもらえたら嬉しいです」

ハナノナ体験型インスタレーション

「ハナノナ体験型インスタレーション」2017年度グッドデザイン賞受賞。東京ソラマチ8階の千葉工業大学東京スカイツリータウンキャンパスに展示されている。2020年春には判定結果を表示する「花マップ」が3D表示に進化。
写真提供:千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab)
※開館状況は東京ソラマチのwebサイト(https://www.tokyo-solamachi.jp/)を参照のこと

AR(拡張現実)でわかりやすく表示

「散歩の途中でサッとハナノハを試してみたかった」という竹内さんの思いに対し、簡単なだけではなく、いかに楽しく使えるかをテーマにアプリ化の作業を担当したのが蒲地さんだった。

「当初はスマホをかざすと花の名前が表示されるだけの単純なものでした。でもたくさん花がある場合、それがどの花の名前かわかりにくくなってしまいます。そこで花の上にその花の名前を重ねて表示するAR機能を搭載することにしました」

アプリ化にあたって追加したもうひとつの機能が判定の精度を調節する「フィルター精度」のスライダーだ。

「花の種類や画像の条件によってはうまく判定できないことがあります。そこで結果を表示する際の基準をどこに設定するか、竹内さんに判断してもらおうと思ってスライダーを作りました。ところが実際に使ってみると、あえて精度を低く設定することで似ている花の名前が表示されたり、花じゃないものが花として判定されることがあり(笑)、これはおもしろいとそのまま残すことになりました。フィルター精度をあえて0にするなど、自分で調節して結果がどう変わるか。試してみてください」

フィルター精度の調整例

白くてモフモフした犬やネコが「ワタスゲ」や「フウセントウワタ(風船唐綿)」と判定されたり、茶色い柴犬が「ガマ」と判定されることも。人工知能が2次元の写真から花の特徴を学習しているため、過去に撮影した写真を表示したスマホの画面やテレビに映った風景、絵本や看板などでも花の判定が可能となっている

webバージョンならではの機能も

「ハナノナ」アプリは現在iPhone/iPad版のみ。Android端末やPCからはブラウザで利用できるwebバージョンにアクセスしよう。一旦撮影した写真をアップロードする必要があるが、判定結果の表示画面では複数の候補が表示され、判定結果へのフィードバック機能もある。

ハナノナ: webバージョン

ハナノナ: webバージョン。判定結果画面では似ている花が一覧で表示されるので、アプリで名前がわからなかった場合に利用すると手掛かりが掴めるかもしれない。なお、アップロードされた画像は2週間後に削除される

今後は判定できる花の種類を増やしたい

「現在ハナノナは学習したデータの関係で高山植物と沖縄地方の花の判定が苦手です。今後はこれらを中心に500種類ほど学習させたいと考えています。ただし栽培品種は数が多すぎるので、散歩の合間に目にするような野山に自生する花を中心に増やしたいですね」と語る竹内さん。

ハナノナの技術を使えば釣った魚や樹木の葉から名前を判定することも可能だが、学習用の画像を集めるのが大変なので当面は花だけに注力する方針だ。同様に毒キノコの判定も技術的には可能だが、リスクを考えると実現はむずかしいそうだ。

蒲地さんからおすすめされたのは、twitterのユーザーに教えてもらったという「my図鑑」アプリ(iPhone版とAndroid版あり)。花の名前付きで保存した写真を管理するのに便利とのこと。またtwitterではあえて花以外のものを判定する”大喜利”的な楽しみ方も含め、さまざまなユーザーの投稿が増えているので「#ハナノナ」で検索してみよう。

ハナノナは一度使うと外出には欠かせない存在となる。季節が変われば咲く花も変わるので、ぜひ1年を通じて使い続けたい。ひとつの花の名前を覚えると行く先々でその花が目に付くようになり、より深く自然を楽しむことができるようになる。
唯一の欠点、というかこれはアプリの問題ではないけれど、ハナノナを使い始めると庭にはびこる雑草を退治できなくなる。くれぐれもご注意を…。

ハナノナapp

https://apps.apple.com/jp/app/%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%8E%E3%83%8A-app/id1490984087

ハナノナ:webバージョン

https://flowers.stair.center

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