これぞDIY精神! 自分たちで仕事をつくる! 映画『Workers 被災地に起つ』

2018.10.03

仕事がないなら自分たちでつくっちゃえ! 新しい働き方を追う

映画『Workers 被災地に起つ』(配給:一般社団法人 日本社会連帯機構)

 「戦後という時代を生きているというように、私たちはいま、震災後という時代を重ね合わせて生きています」――元NHKアナウンサー、山根基世の落ち着いた声によるナレーションが響きます。そうして、まるで「空爆を受けたあとのような状態」だった被災地の映像。「この映画は震災で仕事を失った人、困っている人、さらにいまの時代、仕事がなくて孤立した人たちが、協同労働というかたちで地域の人たちと一緒に仕事をつくり出し、復活していく物語です」と力強く宣言されます。働く人みんなで出資し、責任を分かち合いながら経営する「ワーカーズコープ(労働者協同組合)」、その取り組みを追います。

 紹介されるのは、「仕事がないなら自分たちでつくっちゃおうよ!」という発想でコツコツと一歩一歩を積み重ねて前へ進んでいる人たちです。例えば岩手県大槌町の地域共生ホーム「ねまれや」。子どもたちの一時預かりと、震災で孤立した高齢者のたまり場「お茶っこ」らの活動で、地域の人の心の拠り所となるような場所を目指しています。

 そこで子どもも高齢者も障害がある人もない人も一緒に過ごす姿を見て、当たり前のことに気づくのです。高齢者はただお世話されるだけの存在ではなく、子どもの扱いを知り、彼らに教えるべきことをたくさん持つ人生の大先輩であること。そんな“大先輩”たちも子どもという、いつでもその瞬間を生き、ただそこにいるだけで周囲の人間の心を圧倒的に明るくする存在と触れ合うことで生きる力を取り戻すはずです。それは家にひとりで引きこもり、一日中ただぼ~っとテレビを観て過ごすだけでは得られないはずのパワーをもたらすことでしょう。

左が「ねまれや」所長の東梅麻奈美さん。子どももお年寄りも、障害のある人もない人も、みんな一緒に過ごす。

 また宮城県亘理町の「ともにはま道」は農園を展開し、生産者の会をつくって野菜や加工品を提供してもらうことからスタートした多機能型福祉施設。震災前は飛行機の整備士だったという所長はまず赤字経営からの脱却を図るため、全員参加の経営に関する勉強会を開きます。

「ワーカーズコープ」というのは労働者=経営者ですから、なにをするにも話し合いが必要です。凄腕のカリスマ経営者が鶴の一声で組織が動くのとは違い、どうしても話が回りくどくなって歩みの速度が遅いのです。けれど映し出されるのはそうしたことを根気強く行いながらも意外と肩の力は抜けていて、ゆったりと笑顔だったりする人びとの姿。人間というのは強いものだな~と実感します。

「ともにはま道」の職員がみんなで、経営の勉強会。

 お役所でデスクワークばかりをしていたり、理論を構築することが職務である人とは違い、ここに登場するのは現実を現実的に生きる現場の人たちです。その言葉には実感を伴う重みがあり、素直に考えさせられます。彼らは「これからどう生きたらよいのだろう?」というあまりに大き過ぎる命題、もう長い間、誰も答えを出せていないように思える難問を前に、とりあえず行動した人たちです。

そしてその命題を前に呆然としたままなのは、被災地に生きる人だけではありません。そんななか、本当に追い詰められたはずの人たちの力強い姿に触れ、いちど失われてしまった人びとのつながりを再び構築する? 仕事を働く人自身が生み出す!? なんてクリエイティブなのだろう! と思わせられる映画なのです。

 

『Workers 被災地に起つ』

(配給:一般社団法人 日本社会連帯機構)
http://workers2-movie.roukyou.gr.jp
監督:森康行 
2018年10月20日~ポレポレ東中野ほか全国順次公開 ©日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団

◎文/浅見祥子

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