日本にフジロックのようなビッグフェスしかなかった時代はもうひと昔前のこと。最近では、アウトドアメーカー主催や音楽レーベル主催、アーティスト(バンド)主催など、さまざまなフェスが各地で開催されるようになりました。そんななか、個人が主催するフェスが長野県で開催されるという情報を入手。果たして個人主催のフェスとはどんなフェスなのか、参加して参りました。
フェスの名前は「HAPPY FARM MUSIC FESTIVAL」。主催するのは長野県中野市にあるダイニング・カフェバー「nico-simply」を営む太川さんご夫婦とそのご友人のみなさん。お店でLIVE等のイベントを開催するなかで育んできた人との繋がりを結集してフェスを開催しているそうで、初開催は2012年。今年は記念すべき5回目の開催とのことでした。
会場は標高約1,500mにある長野県高山村の山田牧場キャンプ場。なだらかな斜面に芝生が広がり、天空の楽園を思わせる会場には下界の暑さを忘れさせる心地良い風が吹き抜けていきます。そして、2つあるステージのまわりにはフードブースやハンドメイドアクセサリー、エスニック系衣類の販売ブースが並び、レゲエを中心とした音楽とともに牧歌的な空気が流れていました。
会場に子供の姿が多いのも印象的でした。木でできた手製の遊具もあり、みんなキャッキャ言いながら走り回っています。
また、他のフェスではなかなか見られないものとして、サーカス団のパフォーマンスがありました。アクロバティックな体勢でのジャグリング、綱渡りなど、技を成功させる度に拍手喝采が沸き起こり、会場を盛り上げます。
個人主催と言っても出演アーティストは超一流揃い。「フェス番長」の異名を持つジャムバンドのDachamboをはじめ、フジロック出演経験もあるYole Yole、Muff、LITLLE TEMPO、TURTLE ISLAND、KARAMUSHI、OKI DUB AINU BAND(英語ばっかりですが、みんな日本人です)など、豪華なラインナップが名を連ねます。
ある出演者の方に話を聞くと、「ハッピーファームは、出演者の間でもいいフェスだと評判なんです。みんな気合い入ってるから、他の出演者に恥ずかしくない演奏をしないといけないっていう良い緊張感がありますね」とのこと。
出演者とスタッフが顔の見える関係で繋がっているからこそ、出演者は最高の演奏をしようと特別な気合いを込める。一般の参加者もその雰囲気を期待して会場まで足を運び、フェスのファンになっていく。そうしたバイブスの好循環が会場に満たされているのを感じました。そしてそれこそが、個人が主催するフェスの特徴であり、魅力なのでしょう。
ぜひまた来年も帰ってきたいと、強く思わせるフェスでした。
オリジナルキャラクターのモウモウちゃんに再会を誓い、会場を後にしました。また来年来ます!
【イベント概要】
HAPPY FARM MUSIC FESTIVAL
会場:山田牧場キャンプ場
日時:2016年7月8(金)(前夜祭)〜7月10(日)
文/加茂光 写真/須古恵