プラスチックに代わる「竹」アイテムとユニークな使い方

2020.10.28

生長が早く、強くしなやか。ファイバーとしてもチューブとしても使え、あらゆる姿に成形できる竹。この中空素材にはサステナブル社会への提言が詰まっている。

竹虎・山岸竹材店 山岸義浩さん (57歳)

1963年生まれ。1894年創業の竹材店の4代目。日本唯一の虎竹の産地で、自社加工品を中心に、さまざまな竹製品を取り扱う。抱えているのは真竹製の抱き枕。
竹虎 高知県須崎市安和913-1 0889-42-3201

プラスチックに代わる「竹」の可能性

「日差しがよく入り、風が吹き抜け、鳥がさえずる気持ちのいい場所が本来の竹林。持続可能性とは、こういう風景を未来につなぐことです」

切れかかっている循環のつなぎ直しが必要だ

竹はおそらく、自然界で最も優秀なマテリアルだ。
「台所の笊、農具の籠や箕。川魚を獲る漁具。家の屋根や壁。かつては暮らしのあらゆるところで竹が活躍してました」
 
こう語るのは、高知県須崎市の名産品として知られる虎竹(虎斑竹)の生産加工を行なう山岸義浩さんだ。日本一竹を愛する熱いオトコを自称する。
 
竹はなぜ暮らしから消えたのか。答えはプラスチックの登場だ。現代科学の申し子、合成樹脂は竹が持つ性能をほぼカバーした。しかも値段が格段に安い。
「便利だ、便利だと肯定していった結果が、海のマイクロプラスチック問題です。もうひとつが山の荒廃問題ですわ。私ね、田舎の人間自身が竹害というのを聞くと腹が立つんです。植えたのはあんたらやないかと」
 
プラスチック問題は環境問題の総本山。だが、みんなが再び竹細工のような天然素材の製品を買えば、いろんな問題が一挙に解決できるかというと、現実はそんなに甘くもない。
「籠が編める人も減っていますが、良い竹を育てて山から切り出す技術を持つ職人がおらんがです。循環が切れかかっちゅう」
 
明るい兆しもある。天然素材の生活道具に関心を持つ若い人が、少しずつだが増えている。ただ山岸さんにいわせると、まだ本物のムーブメントではない。
「若い人にはインスタ映え的な目新しいものにすぎんがですよ。飾っておいたらかびたとか、青い色が抜けて白くなったというような投稿をSNSで見るとがっくりします。かびるがは殺菌剤を使っておらんから。竹細工が本当に美しくなるのは白くなった先。彼女らのおばあちゃんの時代まで常識でしたがね。文化のつなぎ直しも必要です」
 
竹虎の店頭には、神々しいほど美しい竹細工がいくつも並ぶ。竹文化の灯を絶やすまいと、山岸さん自身が県内外の職人を励まし、買い支えてきた製品だ。
 
プラスチックは優秀だが、プラスチックである必要のないものもある。まずそこに気づいてほしいと、日本一竹を愛する熱いオトコは力説するのだった。

虎竹。淡竹の変異種で表皮が斑入りの黒い模様で彩られる。高知県須崎市にのみ分布。装飾材として江戸時代から好まれてきた。

虎竹の黒い発色は海から吹きつける塩分によるストレスと考えられている。生垣のほか、花材、生活道具などさまざまなものに利用。

プラスチックである必要のないものは
もう一度竹に任せてほしい

竹 5つの利点

1.資源回収が早い
2.加工性がとても高い
3.応用性に優れている
4.使うほど風格が出てくる
5.直せる。使えなくなっても土に安全に還る。

(上から時計回りに)白竹八つ目角籠バッグ。縦44×横19・5×高さ29㎝。大分県製。白竹とは真竹を晒したもの。山岸さん自身も買い物に使っている。4万8000円。白竹麻の葉脱衣籠。縦56・5×横41・5×高さ10・5㎝。大分県製。4万3000円。茶碗籠。青竹(真竹)で高知県製。直径34・5×高さ15㎝。1万5000円。

右は室内履きとして外国でも大人気の竹皮草履。2000円。左は虎竹の二段ピクニックバスケット。縦21・5×横15×高さ(本体)16㎝。1万8000円。

竹を悪者にしないためのユニークなアイデア

国産メンマ
孟宗竹の筍で作るご当地メンマ

メンマは中国の麻竹の筍で作られた食品。これを孟宗竹で作ってみたらとてもおいしいことがわかり、今ではサミットが開かれるほど研究開発が進む。伸びすぎた筍でよいのもポイント。

竹テント
考えてみたら理想のポール材だった!

千葉県神崎町から持続的な暮らしを提案しているNPO法人トージバでは、2日間で習得できる竹テント教室を開催。ジョイント部のみ金属で、ポールには交換が利く竹を利用するしくみ。
竹テントhttp://www.toziba.net/ 

竹バーベキュー
2時間でお開きのスマートBBQ

竹問題に取り組む天竜川下りの船頭さんたちが楽しんでいる竹バーベキュー。割った青竹を筏型に組み焼き網がわりに使う。2時間程度は持つ。

竹あかり
竹から浮き上がる幻想的な光と影

夜のイベントとして近年人気を呼んでいるのが、竹に穴を開けてロウソクやLEDなどで光を透過させる竹あかり。写真は「伊東温泉竹あかり」。
竹あかりhttp://www.itotakeakari.com/

※構成/鹿熊 勤 撮影/藤田修平
※写真提供/深澤義則(メンマ)、NPO法人トージバ(竹テント)、大槗弘(竹バーベキュー)、伊東市観光課(竹あかり)

(BE-PAL  2020年5月号より)

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