手延べそうめんは元・宮廷料理?!  小豆島で箸分け体験

2019.08.31

私が書きました!
ゲストハウスオーナー
アイエアナロン範子
ゲストハウス「Sen Guesthouse」を夫婦で経営。香川県出身。ニュージーランドのホステルで働いてから、世界中の旅人が「自分の家」のように帰ってきてくれるゲストハウスを将来作りたいなぁと大阪のゲストハウスで修行した後まずは松山で6年半ゲストハウスを開き、Senの第二幕として小豆島へ移ってきました。四国から、関西・本州・世界に近い立場として、もっともっとディープな四国ファンを増やしていこうと思います。Sen Guesthouseホームページ https://www.senguesthouse.com/about-us-jp

「そうめん。素麺。ソーメン」

と聞くと、皆様にはどんなイメージが浮かぶでしょうか。あまりの暑さに食欲の出ない夏には特に人気。母がお中元にもらったそうめんを大量に茹でて氷と一緒にたらいに入れ、それを家族全員で好きなだけ取って食べる。そうめん・出汁・ネギ・大人用に生姜のみのいたってシンプルな昼ご飯。それでいて五臓六腑にいきわたる満足感に爽快感。私は、そんな記憶を思い出します。

申し遅れましたが私、醤油やオリーブオイルが特産の小豆島でゲストハウスを運営しております、通称“ノリ”と申します。以前当宿を取材していただいたことがご縁で小豆島の記事を書いてもらえないかと依頼され、面白そうだったのでホイホイ引き受けた次第です。よって今回から少しだけ皆様お付き合いよろしくお願いいたします。

さて、話は戻ってそうめんですよ。日本は四国・香川県出身の私ですが、1年前に小豆島へ引っ越してくるまでは、そうめんというと上記のような格付けで、主役級になるのは夏のお昼時のみ、後はなんとなくはかない存在感、時々味噌汁や吸い物の中に登場してくるくらいの、麺類の中では一番脇役の存在でした。なんといってもうどん屋が信号機より多いといわれる香川県本土で育ったのですから無理もありません。

香川県本土から小豆島のアクセスは、高松港から土庄港までが便利(所要時間約60分)

ところが人生の駒が進み、何のご縁か小豆島へ引越ししてきてからは、1分間隔で見かけていたうどん屋の看板の代わりに飛び込んでくるそうめん製麺所の看板や広告たち。そうめんは小豆島の名物、郷土料理でもあり、ふるさと納税の返礼品にもなっているほど。美味しい店や有名店も多いのです。食べる頻度も夏だけといわず確実に増えました。職業柄、お客様に素麺のことを聞かれることも少なくありません。

ということで、そうめんのことを少し勉強してみました。

そもそもそうめんは何でできているのか? 小麦粉、塩、水・・・じゃないの? そうです。それに加えてそうめんには植物油が加わります。しかも小豆島のそうめんには小豆島名産物でもあるごま油が使われています。そして作り方には、機械麺と手延べそうめんの2種類があり、小豆島は後者の手延べそうめんです。

ごま油を使うことで、そうめんを伸ばしていく行程でひっつき合うのを防ぎ、酸化を抑えられます。またごま油を使うことで、小豆島の手延べそうめんの特徴である黄身がかった色となります。

そもそもなぜ小豆島でそうめんがこれほど作られるようになったかというと、400年ほど前に小豆島池田村の島民が奈良県の三輪に立ち寄った際に、そうめんの製造技術を学び、小豆島に持ち帰ったのが始まりだそうです。そしてそのそうめんは、冬に農家の方の仕事がない時、出稼ぎにいかなくても家族で生産できることと、冬の小豆島は乾燥していて晴れている日が多いのでそうめんを外で干すのに最適だったことから小豆島に広がったそうです。なるほど、小豆島へ越してきてまだ1年しか経っていない私たちですが、冬の閑散っぷりは見事なものがありました。その期間を上手く使えないかという気持ちは農家さんでなくてもよく分かります。それが400年も続く立派な産業に発展するとは。私たちも何かそんな新しいことを生み出して、冬も人で賑わう小豆島にしたいものです。

観光におすすめのそうめんづくりができるお店

原材料と歴史が分かったところで、でもあんな細いそうめん、しかも手延べってことは手作業? どうやって作るの? と作り方にご興味をお持ちになったのではないでしょうか。映画『八日目の蝉』で女優の永作博美さんがシャーッシャーッと器用に長い箸を使いこなしていた光景を覚えてる方も多いのでは。小豆島ではそんなそうめんづくりの体験をできる製麺所がいくつかあります。

◎工場見学&試食・箸分け体験 
丸善製麺 ※要予約
https://www.maruzen-jp.com/

◎箸分け体験
ひとみ麺業 ※要予約
https://24hitomi.jp/

◎工場見学・箸分け体験・食事
なかぶ庵 ※要予約
http://www.shodoshima-nakabuan.co.jp

◎箸分け体験・見学
作兵衛
http://sakube.co.jp/user_data/sakube.php

◎実演コーナー・食事
手延べそうめん館
http://www.soumenkan.com/index.html

と言いいつつ、実際に行ってみました。今回お邪魔したのは食事も体験もできる人気店「なかぶ庵」さんです。

ランチの提供やそうめんの販売もされている「なかぶ庵」

小豆島内だけで150軒弱ある製麺所の中では中くらいの規模ということです。まず生地を作って伸ばし始める所から見せていただきました。といっても時間の限られた見学会なので、機械の横で写真を見せながら作り方を説明してくださいます。それにしても、ほのかに漂うごま油の香りがなければ今私はそうめん工場ではなくて製糸工場にいるのか? という感覚になってきました。それくらいいくつかの機械を通して少しずつそうめんを細くし、かつ、よりをかけながらしなやかに強靭にしていく作業。

どうしてそこまでして細くする必要があるのか・・・と自然に沸いてきた疑問を投げかけてみました。すると「そうめんは元々宮廷料理として作られていたんですよ。そして、細ければ細いほど技術が要される、つまり職人の腕が評価されたわけですね」というお答えが。

なんと・・!! 最高級の黒帯から赤帯など種類やランクの差はあれど、そうめんといえば、スーパーで気軽に手に入る「安い&美味い」 庶民の味方の食材だと思っておりました。大衆が食べるようになったのは江戸時代からだそうです。なんとも細くて長きそうめんの歴史。

切れるんじゃないかとドキドキしながらさせていただいた箸分け体験ですが、とても強くて伸びる伸びる。それができるのも、この工程に至るまでの作業が成功している証です。さらに細く伸ばされたそうめんがずらりと並ぶ光景はとてもキレイで芸術的でもあります。

なかぶ庵さん、とても丁寧で分かりやすいご説明をありがとうございました! 箸分け、ハマりそうです。なかぶ庵さんでは、体験と見学、食事の提供のほか、そうめんの直売もやっています。ぜひお試しください。

曲線を描く節麺、独特な食感の生もおいしい!

さてそろそろ、そうめんが食べたくなってきた頃でしょうか。小豆島ではいろんなお食事処やレストランでそうめんをメインにしたメニューも食べることができますし、何かの定食についてくるお吸い物の中にそうめんが入っていることもしょっちゅうあります。家庭で食べられる頻度もやはり他と比べて多い気がしますが、特によく見るのは「節麺(ふしめん)」。通常そうめんはまっすぐの状態で売られていますが、棒で伸ばした後に吊して乾燥する時に棒にかかっていた曲線部分を乾燥後に切り分けたもので、うどんなどでもよくある副産物です。

そうめん屋さんやお土産物やさんでもまとめて袋に入れて安く売られていたり、知り合いがそうめん屋で働いていたりするともらえたり。これが調理するときに結構便利な代物で、お汁の具がひとつ足りないな~と思ったらポポイと最後に入れればすぐ完成。茹で方、茹で時間もお好みでOK。レシピもいろいろで、グラタンにもできたり、離乳食にも最適。家庭に常備しておきたい一品です。

「節麺って、余った切れ端を売っとるだけやろ~? てよく言われるんやけど、こうやって丸まって長くなっとるとこは切ってやらないかんし、吊るして干せんから時間かかるし、結構手間かかるんやで」とは先程のなかぶ庵さんのお言葉。はい、すみません。全くその通りに思っておりました。これからもっと感謝していただきます。

そうめんの食べ方といえば、やっぱり冷えたのをつゆにつけて食べるのが王道でしょうか。にゅうめんと呼ばれる温かいそうめんもいいですよね。でも新鮮なそうめんをそのまま味わえる生そうめんってものがあるのはご存じですか? 生パスタはすっかり認知されていると思いますが、生そうめんってのは聞いたことない人が多いのではないでしょうか。かくいう私も数年前に小豆島で初めて生そうめんを味わってから、それまでのイメージを大いにくつがえされました。

写真提供:(一社)小豆島観光協会

ツヤッツヤのプリップリで、「そうめん=乾麺」のイメージが見事に打ち破られます。讃岐うどんを食べる要領で、つるっと ずるるっと一気にいってください。先程のなかぶ庵さんで食べれます。小豆島へ来る人たちに大人気で繁忙期には予約必須ですが、ぜひお試しあれ。

流しそうめんでイベント的な楽しみ方も◎

それから夏真っ盛りの時期に人気といえば流しそうめん。誰が考えたんだかこのシステム、決して食べやすい方法じゃないしめんどくさいし家では絶対(あくまでうちでは)しないけど、誰かがセッティングしてくれるなら喜んでやってみたいイベント的食べ方。

ということで、夏季限定でそんな場を提供してくださっているのがこちら。しかも海を真横に構えたプールで散々遊んだ後ですよ。盛り上がらないわけがない。15名から申し込みできます。

小豆島ふるさと村 ファミリープール
http://www.shodoshima.jp/activity/1468.html
http://www.shodoshima.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/2ba8e4135360b66b855c53cd0688d3f9.pdf

写真提供:(一社)小豆島観光協会

今年の小豆島は梅雨が遅くてこれからいよいよ夏真っ盛り。皆さんはどんなそうめんを楽しみに来ますか?

 

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