東京で体験できる畑や牧場。循環型のアーバンファーミングに注目! | BE-PAL

東京で体験できる畑や牧場。循環型のアーバンファーミングに注目!

2020.11.01

都市の空き地を利用して循環型農業をめざすアーバンファーミング。サステナブルライフのひとつとして世界中で盛り上がりを見せているが、日本では!?

都市には潜在的な畑がいっぱい!

代表理事 小倉 崇さん (51歳)

編集者として農家を取材する機会が多く、食べ物を作ることの大切さを実感。2015年、渋谷のライブハウスの屋上に畑と田んぼを作り、渋谷の農家として活動をスタート。

ビルの屋上が農地に。「渋谷の畑」で農ある暮らしを実践!

渋谷駅からひと駅、おしゃれな店が並ぶ恵比寿駅から徒歩5分。7階建てのビルの屋上に、アーバン・ファーマーズ・クラブが運営する「渋谷の畑」のひとつがある。大小のプランターではハーブやイチゴが育っている。ルッコラをごちそうになったが、都会育ちとは思えないほど濃厚な味わいで、おいしい!

畑を案内してくれた小倉崇さんが、都市農業について考えるきっかけになったのは、東日本大震災だった。店から食料が消え、都市には“生きるために生産して食べる”という根源的な機能が欠けていることを実感。状況が落ち着いたら、「野菜くらい作れるようになりたい」という思いが生まれたという。

原宿、渋谷、恵比寿に6か所の拠点を作り、400名を超えるメンバーが活動中。

2014年からは友人の有機農家を支援する目的で、渋谷のライブハウスの屋上に畑を作り、体験農のイベントを開催した。
「毎回、数百人が集まってくれたし、地元の見学者も多くて……。都会に住んでいても農業をしてみたいという意識は、都市生活者の共通な思いだということに気がつき、世界のアーバンファーミングを調べはじめたんです」

アーバンファーミングは収穫だけが目的ではない。テーマは共有と循環。畑は農作業や勉強会、イベントなどを通じて、農的暮らしの価値と体験を共有する場。
「自宅で再現したり、会員同士で郊外の田んぼを借りたり……。地元の保育園児の米作り体験や、飲食店から出る生ゴミをたい肥化する取り組みもしていて、人とのつながりがどんどん深くなっていくんです。大人の部活みたいで、楽しいですよ」

田植えや稲刈り、イチゴの収穫など、地域の保育園児も参加。今年は養蜂にも挑戦する予定だ。

本格始動から2年。渋谷の畑を通じて新しい循環が生まれ、アーバンファーミングに、さまざまな可能性が見いだせるようになった。小倉さんはいう。
「全国の都市に広げたいんです。渋谷でできるんですから、全国どこでもできますよ(笑)」

URBAN FARMERS CLUB

都市農業の活性化を目指し、2018年に結成。「自分で食べる野菜は自分で育てる」というコンセプトのもと、東京都の渋谷エリアを中心に「アーバンファーミング」を推進。
URBAN FARMERS CLUB https://urbanfarmers.club/

牧場を開放して牛飼いの魅力を共有!地域に認められるオープン・ファーム

東京の郊外、八王子市で戦前から農業を営んでいた磯沼家。本格的に牧場運営をスタートしたのは、磯沼正徳さんが東京農業大学短期大学部を卒業した1972年のこと。当時とは周辺環境が激変し、周囲には民家が立ち並んでいるが、いまも元気に都市型ファームを存続させている。

カウボーイスクールもやってるよ!

牧場主 磯沼正徳さん (68歳)

農業と酪農を生業にする家に生まれ、1972年から家業に従事。1992年からはヨーグルトなどの加工事業も開始。現在は6種類、約100頭の乳牛、羊毛用の羊を10頭ほど飼育。

「楽しめる要素を抽出し、地域に提供すれば、都市近郊でも酪農は長く続けられます」と、磯沼さん。

牛飼いの楽しみを共有してもらいたいと、毎週日曜日に乳しぼりやバター作り体験会などを実施。牛の一生に付き合う大変さと喜びを伝えるために、年間を通じたスクールも開催している。また、生産物を地域に還元したいと、六次産業化を実現。ヨーグルトやアイスクリームも生産・販売している。とはいえ、最優先するのは牛の健康だ。

毎週日曜日の13時から、乳しぼり体験教室を開催。ミルクの試飲、牧場案内もしてもらえる。参加費700円。

「家畜福祉(アニマルウエルフェア)の考えを取り入れ、育成牛には牧場で牧草を食べて自由に運動させ、搾乳牛は牛舎の中で放牧しています。餌には牧草などに加え、ビールを作る際に出る麦芽滓やニンジンジュースの搾り滓なども利用しています」

アーバンカウボーイ&ガールを育てるための連続講座も開催。取材日も元気なボーイズが活躍!

周辺には民家もあり、においの問題が浮上したこともあるが、「壁を立てて、刑務所みたいな場所で牛を飼っても根本的な問題は解決しない」と、廃棄されていたカカオ殻やコーヒー滓を引き取って敷き藁代わりにし、においの問題を解消。使用済みのカカオ殻などは、有機肥料として再利用されている。

カカオ殻やコーヒー滓をメーカーから引き取り、敷き藁代わりに活用。その後は畑の肥料に。

周囲の理解を得ながら循環システムを作ることで、生産現場かつ都市生活者の癒やしの場となった磯沼ミルクファーム。
「うちはオープン・ファームなので、いつ来てもOK。酪農に興味を持つ人なら大歓迎です」

磯沼ミルクファーム

東京都八王子市にある家畜福祉の考え方を取り入れた牧場。気軽に訪れられるよう、牧場は開放している。新鮮な牛乳から作るヨーグルトやアイスクリームは絶品!
磯沼ミルクファーム http://isonuma-farm.com/

アーバンファーミングでできること

●誰でも参加OK。農ある暮らしの価値と体験を共有し、人や自然との関わりに気付く。
●人口の多い場所で地産地消をすることで、フードマイレージを削減。
●飲食店から出る生ゴミをたい肥にするなどして、地域の中でエコサイクルを確立。

※構成/松村由美子 撮影/高橋郁子 

(BE-PAL  2020年5月号より)

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