インドのレトルトを使って「本格派スパイスBBQ」に挑戦!

2020.03.04

私が書きました!
スパイス料理研究家・物書き
カワムラケンジ
1980年から様々な飲食業の現場を経験し、スパイス&ハーブの研究を始める。1997年に100%独自配合・自家製粉によるスパイスのカレー専門店開業。1998年には日替わりインド定食の店『THALI』開業。2010年、『スパイスジャーナル』創刊(全18巻)。著書に『絶対おいしいスパイスレシピ』(2015年木楽舎)、『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』(2018年幻冬舎)がある。
www.kawamurakenji.net

実はインド・スパイス料理の中には、アウトドア向きなものが多くあることをご存じだろうか。

チャパティやパラタ、プーリーなどのロティ(パン)類。魚やエビなどの魚介類、カバブやチキン、マトンなどの肉類などの各種グリル。米や豆の発酵させた生地で焼くドーサやウッタパムなど南インドのティフィン類の一部。これらすべてが鉄板や網で料理することができる。ほか、鍋一つあれば数えきれないほどの料理が可能となる。

よく考えてみれば、電気やガスによる調理ができるようになったのは、せいぜいこの100年のこと。それまでは世界中がワイルドな環境だった。今なおその伝統が色濃く残っている地域のひとつがインドを中心とした周辺諸国なのだ。

スパイスとは大雑把に言うと、自然界にある植物の中で、調味に向き、薬効が期待できるものを指す。薬効とは身体の健康だけでなく、素材や料理の抗菌、抗酸化作用も含むのだ。

今回はそんなインド・スパイス料理の中でも、だれでも簡単にできて、なおかつ本場の味を楽しめるスペシャルなスパイスBBQを提案する。

そうだ、今日のお昼はスパイスBBQにしよう

その日はあまりにも気持ちのいい快晴だった。そうだ、こんな日はスパイスBBQをやろう。そう思い『オーガニックファームhara』(大阪府高槻市)の末延冬樹さん(以下末延君)に電話をかける。すると、「ちょうど収穫が一段落したところで、今からなら大丈夫です」と気持ちのいい声が返ってきた。

末延君は世界一辛いといわれるキャロライナ・リーパーをメインとしたトウガラシ専門農家である。土造りからこだわり、徹底したオーガニック自然農法をとっている。

期待の若手ファーマー、『オーガニックファームhara』の末延冬樹さん。1986年、高槻市生まれ。大学卒業後、食品卸売企業に就職するが、元々興味のあった農作業を趣味で始め、27歳の時に自宅から片道50キロほど離れた京都府南丹市の農家に修業入り。そして2016年、現在の高槻市原地区で独立を果たした。

家での下準備は約1時間

筆者の家から農園までは車で1時間ほどの距離。マリネするのにちょうどいい時間だ。さっそく準備をする。

1.鶏肉をスパイスとヨーグルトで漬ける

昨日たまたま買っていた鶏肉を使う。これをスパイスとヨーグルトで漬けると、スパイスの風味が全体に馴染み、肉質も柔らかでジューシーになる。ターメリックと胡椒は、味の良さと高い薬効の期待があるのでマリネにはもってこいだ。

鶏肉は皮を取り、肉を切り分け、材料のすべてあえる。スパイスはターメリック以外にもクミンやレッドペパー、ガラムマサラなどでも美味しい。皮は脂役として持っていく。

2.バスマティライスを水で洗い、袋に入れる

締めくくりのご飯も本場でないと。インドやパキスタンが誇る高級米、バスマティライスを用意する。米は一度流水でさっと洗い、水を切り、ジップロックに入れておく。バスマティライスがなければ、タイ米、日本米でもあう。今回はより本場風ということで。ほか冷蔵庫にあった野菜も一口サイズに切り分けジップロックに入れる。

3.インドで人気のレトルトカレーMTRを持っていく

そしてMTRのレトルトカレーも持っていく。これは本場インドらしく、塩味と辛味が強いのでBBQソースにちょうどいいのである。

ところでMTRレトルトカレーはいくつも種類があるがどれにしようか。日本国内で入手しやすく、なおかつ日本人にも食べやすいのが、ミックスベジタブル(いろんな野菜のカレー)、パラクパニール(ほうれん草とカテージチーズのカレー)、パニールバターマサラ(カテージチーズとバターのカレー)、パニールティッカマサラ(グリルしたカテージチーズのカレー)ではないかと思われる。

また、これらはすべてベジであるが(インドは大別して肉や魚を食べないベジ派と食べるノンベジ派がある)が、今回はスパイスBBQということで肉(魚も)との相性もいいと思う。ということで今日はミックスベジタブルカレーを選択。

MTRレトルトカレーはネットで容易に入手できる。1パック350~400円。

10時頃、農園に向けて出発した。

現場についていざ本番。ここでさらに1時間

火を起こす末延君。芥川のせせらぎと青い空が気持ちいい。

11時頃、末延君の農園に到着。作業場のすぐ下には、大阪と京都の府境付近を水源とした芥川が流れている。この川べりで食べることにしよう。まずは火を起こし、鍋にたっぷりの水とレトルトカレーを入れて置いておく。

次に炊飯だ。鍋を温めて、ギーとクミンシードを加え、お米をさっと炒める。そして塩を一振りして、水を加え、よく混ぜたら蓋をして、15~20分火にかける。レシピの詳細は以下のとおり。

「バスマティライス」レシピ

インドの言葉でジーラ(クミン)ライスと言う。タイ米でやってもおいしい。

<材料と備品>

バスマティライス 2カップ
ギー 小さじ2(なければバター大さじ1)アルミホイルなどに包んでおく
クミンシード 小さじ1/2
塩 ひとつまみ
炊飯用の水 500㏄
ジップロック Mサイズ 1袋

<作り方>

1.先に家で、流水でさっと洗い、水を切ってからジップロックに入れておく。
2.現地にて、鍋を火にかけ、ギー、クミンシードを入れる。溶けたギーにクミンシードを混ぜるようにして、小さな泡が出てきたらお米を加える。
3.お米を混ぜながら炒めて、塩を加えてさらに混ぜる。
4.水を加えて混ぜたら蓋をして炊く。密閉性の高い蓋なら約15分、通常は約20分。
5.炊き上がったら10分ほど蒸らし、蓋を開けてざっくりと混ぜたら出来上がり。

スパイスBBQチキンを焼きはじめよう!

ライスが炊けるまでの間、鶏肉の下焼をする。平たい鍋(フライパンでも可)を温め、先に鶏の皮をじっくりと炒める。これがけっこう時間がかかる。最初は鍋にくっつく可能性が高いが、無理にはがさずそのままにし、チクチクと細かい音がしてきて、脂が染み出すのをひたすら待つ。

火が通り、焦げそうになったら裏返す。そして最終的に大さじ1~2ほどの脂が染み出したら、皮を取り出し、肉を炒める。ちなみに鶏の皮は、こんがりとキツネ色になるまで焼き、せんべいのように固くなったら、塩を一振りするといいつまみになる。

マリネする際に粗挽き黒胡椒をたっぷり入れると風味が染みて、なおうまい。

鶏肉は両面をうっすらと焼き、70%ほど火が通ったら火からおろしておく。ここらへんでライスが炊けているかも。もしできていれば火からおろし、10分経ったらしゃもじでざっくりと混ぜて蓋をしておいておく。そして、根菜など火の通りに時間のかかる野菜があればそろそろ焼きだす。

「スパイスBBQチキン」レシピ

<材料と備品>

鶏もも肉 300グラム(通常サイズ一枚)
ニンニク 1片 おろす
ショウガ 1センチ程度 おろす
塩 ひとつまみ
ヨーグルト 大さじ1
ターメリック 小さじ1/3
粗挽き黒胡椒 少々
密閉容器(ジプロックでも可)

<作り方>

1.先に家で準備をする。鶏肉は皮をとり、4~6個に切り分け、ニンニク、ショウガ、塩、ヨーグルト、ターメリック、粗挽き黒胡椒を加えてよく混ぜ、密閉容器にいれる。皮はアルミホイルに包む。
2.鶏肉をクーラーボックスなどに入れる。移動している間マリネ状態になる。
3.現地にて火を起こし、平たい鍋で鶏の皮をじっくりと焼き、脂をたっぷりと出す。
4.その脂で、マリネした鶏肉を下焼する。やや弱火で両面とも焼く。70%ほど火が通れば、火からおろす。必要な時に、網の上で直焼きする。

焼きたてスパイスBBQをカレーにつけて食べる!

すっきり野菜味のカレーに、鶏肉のうまみと炭焼き野菜の香ばしさが重なっていく。後半はバスマティライスを加える。

カレーが温まっていれば小皿に分ける。MTRのレトルトカレーは1パックで2人前。全容量は300gなので日本のカレーの1,5倍量ということになる。インド人は通常何種類かの料理を食べるので、1種のカレーを大量に食べるということはまずないので、こういった量感覚になる。

準備は整った。網の上に、下焼しておいたチキン、野菜を適当に載せていく。そして焼けた順にMTRレトルトカレーにつけて食べていく。末延君が目を丸くして「おいしい、おいしい」と大喜びする。

すっきり野菜味のカレーに、鶏肉のうまみと炭焼き野菜の香ばしさが重なっていく。後半はバスマティライスを加える。

MTRのレトルトカレーには、日本製のカレーのようなコンソメ的なうまみは殆どない。野菜のあっさりとしたうまみと、スパイスの風味、塩気が利いているところがBBQソースにぴったりだ。

時折、末延君が育てた、世界一の辛さを誇るキャロライナ・リーパーの粉末を、注意しながら一振りだけ入れる。びりびりっと痺れるような辛さの後、ナスを甘くしたような深い香りがわずかに漂う。

鶏肉の焼ける匂いとバスマティライスの香りがあたり一杯に立ち込めている。

動物の視線を感じつつ、川のせせらぎをBGMに

そんなときである。末延君がはっと裏の森のほうへ顔を向けて固まった。「何かがいる!」と言うのだ。じっと目を凝らす末延君の背後で、筆者は緊張で固まる。どうやら匂いにつられて鹿が様子を見に来ているのだそうだ。

最近は裏山から鹿、猪、アライグマなど様々な獣が川を越えて荒しにやってくると言う。夜中には大きなサルの群れが塀を乗り越え、つるしてあるタマネギを食べ漁ることも増えているとも。

深々とした森の合間に、スパイスとバスマティライスの香りが立ちこめ、芥川の勢いよく流れる水の音が響き続ける。

さて、時計を見ると午後2時過ぎになっていた。颯爽と後片付けをして、スパイスBBQランチはこれにて終了。

残りのカレーを混ぜて、ビリヤニも!

もしご飯や肉、カレーが残れば、それらを一度ざっくりと混ぜて、密閉容器に入れておくといい。夜には、ちょっと濃いめのビリヤニのようになっているはず。もちろん冷蔵して、明日のお弁当にするのもいい。スパイスBBQは実にサステイナブルである。

ゴミは少ないし、もし残ったら夕ご飯や明日の弁当にできるのでスパイスBBQは無駄がない。

「スパイスBBQ」全体の流れ

<道具と材料>

レトルトカレーを温めるための鍋
炊飯用の蓋つきの鍋
肉を下焼するための平たい鍋(フライパンでも可)


BBQグリル(焚火台でも可)
トング(炭手入れ用と鶏肉や野菜の素材用の2つ)
お箸
スプーン
しゃもじ
MTRミックスベジタブルカレー(2人前入り) 1パック
スパイスBBQチキン材料(詳しくはスパイスBBQチキンのレシピを)
バスマティライス材料(詳しくはバスマティライスのレシピを)
キャロライナ―リーパー粉末(『オーガニックファームhara』製)
野菜一式 ピーマン3~4個 エリンギ2個 ナス2本

<全体の流れ>

1.家でスパイスBBQチキン、バスマティライス、野菜の下ごしらえをする。
2.現地に着いたら火を起こし、鍋にたっぷりの水(水道水でよい)を入れて沸かし、レトルトカレーをいれておく。
3.バスマティライスの調理にとりかかる。
4.スパイスBBQチキンの下焼きをしておく。
5.ライスが炊けたら火からおろしておく。
6.カレーを小皿に分けて、野菜、チキンを自由に焼いて、カレーをソースとして楽しむ。
7.ライスを小皿によそってライス&カレーで締めくくる。

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