【SMALL TALK】vol.7 DATSインタビュー

今年、大注目バンドのDATSは、(左から)早川知輝(ギター)、伊原卓哉(ベース)、杉本亘(ヴォーカル/ギター)、大井一彌(ドラム)の4人組だ。2014年のデビュー直後から2年連続でサマーソニックに出演し、2015年デビューEP『DIVE』をリリースした。そして2017年Rallye Labelに移籍後、初となるシングル「Mobile」を3月8日に発売。こちらは、500枚限定で生産され、タワーレコードでのみ取り扱われる。

 

 

 

「Mobile」のマスタリングには、砂原良徳が参加。さらには、高橋幸宏やLEO今井といった、面々がコメントを寄せている。グローバルかつジャンルレス。新しいのになぜか懐かしい。そんな音楽をつくる彼らの素顔に迫った。

 

大岡山にある「PEAK-Ⅰ」が出会いの場!

――DATSは、いつ結成されたんですか?

杉本 結成自体は、2013年です。その時は、僕と早川と初期のメンバー2人と4人でやっていました。

早川 今回のCDの前にライブ会場限定のEPを出していて、それが2年前の2015年。12月にベースの伊原が正式に加入した感じです。

 

――2013年に杉本さんと早川さんがバンドを組もうとなったきっかけは?

早川 高校生のときに入り浸っていたライブハウスがあって、僕は杉本の2個上なんですけど、かっこいいことやっている後輩がいるなって、ずっと見ていて。

杉本 それは、ありがとうございます(笑)。

早川 杉本が前のメンバーとYouTubeに曲をあげていて、それがめちゃくちゃかっこよくて! 僕は別のバンドで活動していたんですけど、一緒にやりたいって思ったんですよね。

 

――入り浸っていたのは、どこのライブハウスですか?

杉本 大岡山の「PEAK-Ⅰ」っていうライブハウスです。僕は、出身がそっちなんですよね。

早川 僕は、地元は遠いんですけど、そこに行けばかっこいい音楽に出会えるって聞いて通っていました。

杉本 当時、そういう熱いカルチャーがあって、かっこいいやつはみんな集まってたんです。SuchmosのヨンスくんとかYogee New Wavesの角舘くんとか、俺とか(笑)。

 

――いま、大活躍されているミュージシャンばかりですね!

杉本 みんな同世代なんですよね。そのライブハウスは、いまもあるけど、俺らのときみたいな熱いものがあるかは、わからないです。当時は、誰がいちばん尖っているか、誰がいちばんかっこいいことをやれるかみたいなことを音楽を通して競い合うような場所でした。

伊原 それを聞いて、名古屋出身の僕は、涙目になるっていう(笑)。僕はそのライブハウスに行ったことがなくて、名古屋にもそういう場所があったのかもしれないけど、すごくうらやましいって思います。

 

――そのライブハウス、すごく気になります。

伊原 僕も気になります! ライブハウスの向かい側にとんでもないラーメン屋があるらしいですよ。

杉本 「凌駕」っていうラーメン屋ね(笑)。めちゃくちゃ量が多いところなんです。早川とは、そこで知り合って、バンドを組むことになりました。組んだ当時は、本当に漠然としていて、とりあえず好きだったUKロックっぽいテイストの音楽とエレクトロダンスをうまいこと融合して何かを作っていけたらぐらいに思っていましたね。そこから活動を進めていくうちに、もっとより細かい部分で自分たちが出したい音が具体的に見えてきた感じです。

 

――当時の音楽は、いまとは違うんですか?

杉本 まったく違いますよ。

 

――伊原さんと大井さんは、そのころのおふたりを知っているんですか?

大井 僕は知っています。杉本がバンドをやる前から彼の音源は聞いたことがあって。僕も大岡山に集まるメンバーだったんですけど、他のバンドで活動していました。いちファンとして見ていたら、いつの間にかメンバーになってた。

 

――音楽をバンドを将来やっていきたいって本気で思ったのはいつごろですか?

杉本 高校生です。ライブハウスに通うようになってからかな。

伊原 僕は、このバンドに入ってからですね。元々、大学1年生のときに杉本と知り合って、30秒ぐらいでクソ仲良くなって(笑)。「俺、DATSってバンドやってて」って聞いたから「じゃあ、今度見に行くわ」って。それで見に行ったら、すごくかっこいいんだもん! 僕は彼らのファンだったし、その大好きなバンドに入れて、いま、いちばん音楽が楽しい。改めて音楽最高! って思い始めて、バンドをやっていきたいって思うようになりました。中学からバンドはやっていたけど、コピーバンドで楽しいな、ぐらいで終わってたから。

 

――杉本さんは、高校生のときからオリジナルを作っていたんですか?

杉本 コピーバンドから始めたんですけど、物足りなくなって、オリジナルを作るようになりました。そのころは、オルタナティヴグランジ系の音楽を。

早川 僕はずっとコピーバンドで、そのときはベースも弾いてたんです。とりあえずいろんな音楽を聞いて、いろんな音楽要素を吸収して、いずれやってくるときに備えようと。自分の中に蓄えようと思っていました。

全員 そんなこと思っていたんだ(笑)。

伊原 戦争へ行く前みたいだね!

早川 いいメンバーと出会うまでは、自分を磨いておこうと思っていたんだよ!

 

――そのライブハウスに集まっていた人たちが、こぞって活躍されているのが本当にすごいですよね。同世代のバンドの勢いについて、どう感じますか?

杉本 単純にすごいなぁって。それぞれがかっこいいし、エッジの効いたものを出して、あれだけ騒がれるって、本当にリスペクトしますよ。すごいし、かっこいい。俺らも、そういうふうになっていきたいとも思いますしね。

 

 

 

ファッション誌から音楽を知ることもありますよ!

 

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――みなさんが出会った高校生のころって、まだCDを買う時代でしたか?

杉本 僕は買っていましたね。

大井 ギリギリかなぁ。

早川 ディスクユニオンで買う中古が多かったけど、買っていましたよ。

大井 でも、いま逆にレコードがおもしろいって思うことがあって。モノを持つことって大事なんですよ。画面の中でちっちゃくカバーフローがあるけど、レコードだとあんなに大きくジャケットの画が見られて、手にも取れて。そういうのって大事なんだなと思います。

杉本 ばぁちゃんの車に乗ると、カセットでカントリーミュージックが流れたりしていたなぁ。

伊原 俺の家は、MDだった! CDからMDに焼いて、それを聞いてましたね。俺、浜崎あゆみがCMをしていたウォークマン買ったもん! 多分、小5ぐらいかな。

 

――MDは一瞬だったので、みなさん知らないかと思っていました! ちなみに最初に買ったCDは覚えていますか?

伊原 僕はオレンジレンジのファーストアルバムです。10歳ぐらいのときかな、初めて好きになったバンドがオレンジレンジで。ライブも見に行ったんですよ。

大井 僕は宇多田ヒカルの『HEART STATION』ってアルバム。中学生だった気がします。

早川 カラオケに行くと、宇多田ヒカルの歌、歌うもんね!

大井 そう(笑)。もうちょっと練習するわ(笑)。

杉本 僕はスマッシュ・マウスです。7歳~10歳の間、アメリカに住んでいて、そのときに買ったんですよ。

伊原 おーい! 片田舎で俺が「オレンジレンジください」って言ってたときに、おまえはアメリカでおしゃれか!

杉本 (笑)。でも、アメリカでスマッシュ・マウスは、そういう立ち位置かもしれないじゃん?

伊原 だとしても、かっこいいよ!

早川 僕、邦楽は何を買ったのか全然覚えていなくて、それこそ「だんご3兄弟」だった気もするし(笑)。初めて買った洋楽CDがWEEZERだったことは覚えています。中2のとき友達が「おまえは絶対これが好きだから買え」ってススメてくれて、直輸入版をお小遣いで買ったんですよ。

 

――お友達は、なぜそれをおすすめしたんですかね?

早川 なんでだろう。僕がELLEGARDENとか好きだったんで、その影響かな。聞いてみたら、「あ! かっこいい!」ってなりました。

 

――お友達と音楽の話をする以外にどこから情報は得ていました?

杉本 インターネットが主ですね。あとは、そういうディグるのが好きな友達とかが多いかな。

 

――雑誌を読むことってあります?

杉本 たまにありますよ。例えば『MENS FUDGE』の「今月のおすすめディスク」とか見たり。こんなおしゃれな雑誌が紹介するんだから、かっこいいに決まっているだろ! って(笑)。

 

――ファッション誌から! 意外です。音楽誌かな? と思ったので。

伊原 なるほど。違った視線から見てくれているほうが、異なったインスピレーションがあるかもしれないし。

 

 

 

SNSにどっぷりハマっているようで、客観的に見ている部分もある

 

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――曲は、すべて杉本さんが作られているんですか?

杉本 基本的には、僕が作っています。トラック自体は1日か2日で。そこからみんなで肉付けしていく感じです。メロディーをつける作業にいちばん時間がかかるんですよね。作詞がいちばん嫌いなんですけど、いつもベッドでゴロゴロしながら携帯に書いてます。

大井 今回は、メンバー全員で作詞を分担しているんですよ。「Mobile」のテーマがSNS世代のリアルなんですけど、この世代特有のキーワードみたいなのをポンポン上げていって、紐付けて文章にして、最終的に英訳に。

 

――みんなで歌詞を作るっておもしろいですね。

杉本 ひとつのテーマに対して伝えたいことも解釈の仕方も人によって違うと思うんですよ。だから、DATSからメッセージを出すことにおいて、必ずしも俺ひとりが伝える必要はないなって。しかも、作詞が嫌いっていうのもあって(笑)。4人それぞれみんなどう見えているの? って観点で発信していければいいし。

 

――歌詞を書かずにインストでやるという選択肢はなかったんですか?

杉本 インストでもいいんですけど、メロディーがあることが大きな武器だと思っているので、使わないって選択肢はナシですね。

伊原 音源化はしなかったけど、ライブで日本語詞の曲も演奏したことあるんですよ。でも、英語詞を杉本の声で歌うのがかっこいいなって。

 

――日本語詞、新鮮ですね! 音源にする可能性はないんですか…?

杉本 可能性は、ゼロではないですよ。いまのところ、ハマっているのは英語ってだけで、将来的にはわからないです!

 

――楽しみです! ちなみにみなさんは「SNS世代」ですよね?

杉本 完全にそうですね。

伊原 最初は、モバゲーだったかな。Instagram、ツイッター、YouTubeとかって、コンテンツに特化しているじゃないですか。Instagramだったら、写真でツイッターだったら、つぶやき。YouTubeは動画。それが全部詰め込まれているのがモバゲーなんですよ。

 

――どんなことを投稿していたんですか?

伊原 ヘッタクソなベースを弾いた動画をアップしてました(笑)

大井 あ、俺もやっていたかも!

伊原 「アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の曲です」とかってベースを弾いて(笑)。でも、ベースだけだから、全然伝わらないの(笑)。謎の自己顕示欲。

 

――そこから、ツイッターやInstagramに流れてきたんですね。みなさんとって、SNSって、どんな存在ですか?

大井 存在というより、手とかと同じ感じ。話すのと変わらないです。

早川 特別な存在ではなくて、当たり前すぎて、何も思わないですね。

大井 この発言は、危険だとも思うんですけど「SNSとは僕の存在そのものです」って言っちゃいかねない。それぐらいのものだと思うんです。だから、あえて俯瞰したり距離を置いたりして、どっぷり浸かりすぎないようにコントロールしていると思う。

 

――いまはミュージシャンとして、SNSは情報を発信する場の利用もあると思うんですが、めんどうだなって思うことはないですか?

伊原 めんどうくさかったら、やらなくきゃいいって思っちゃいますね。

 

――「いいね!」数が気になったりしないですか?

杉本 本当にいいね、と思ったものにしか押さないですよ!

 

――会社の上司とか先輩の投稿だから、いいねを押さなきゃいけない…みたいな脅迫概念みたいなの、ないですか?

早川 例えば、自分たちのことを書いてくれたら、ありがとうございますの意味をこめて、いいねを押します。

杉本 本当にいいものを発信していたら、いいねって押す。単純なことですよ?

 

――タイムラインに流れてきたら、全部に押さなくちゃいけないって気持ちになっちゃうんですよね。

大井 え、そんなにですか?

杉本 そっか、でもそういう気持ちになっちゃう人もいるってことですよね。

 

――SNS世代のほうが、こだわっていないのかもしれないですね。私は大人になってから、SNSを始めたから、どうしても特別なもののような気がしてしまいます。

杉本 SNSは、自分にとって理想の世界でしかないですよね。ツイッターだって、自分が興味のあることしかフォローしていないんだから、自分の好きでしか世界は構成されていない。周りを見渡してみたら、そういう価値観じゃない人のほうが多いんですよ。でも、それに気づけないんです。のめり込みすぎてしまうと、自分の意見がいかに視野の狭いものなのかってことがわからなくて、いつか痛い目を見る場面があると思いますね。

 

――どっぷりハマっているようで客観的に見ているんですね。

杉本 そういう危機感を持たなくちゃいけないなっていう意味もこめて、このテーマを選んだのもあるんです。

 

 

僕たちストイックなんで、お風呂も4人一緒ですよ(笑)。

 

 

――インタビューをしていて、メンバーみんな仲がいいな、と思いました。

早川 一緒にお風呂入ったりしますしね。

 

――銭湯とか行くんですか?

杉本 いや、自宅の。ストイックなんで(笑)。普通に家のサイズの浴槽に4人で入ります。

 

――え! なんで?

大井 それは、ストイックなんで(笑)。

伊原 一緒にお風呂に入らないと仲間じゃないみたいなのがあるんですよ、男って。

大井 地方のライブとか行くと、みんなで銭湯に行くこともあるよね。

杉本 「俺、ちょっとシャワー行ってくるわ」とかは、ない。そしたら、DATSをクビにします(笑)。

早川 サウナは、先に出ちゃうじゃん!

杉本 サウナは、ちょっと苦手だから…。お酒好き派の早川と伊原は、サウナ好きだよね。

早川 酒を抜きたいみたいな気持ちがあるよね(笑)。デトックスしないと、お腹も出ちゃうし! 

伊原 車とかでも、みんなずっと話しているし、すごく仲がいいです(笑)。

 

――最後にDATSとしての目標を教えてください!

杉本 ぶっちゃけて言うと、そういうものがあまりなくて…。売れたいとか、大型のフェスに出たいとか、もちろんあります! だけど、いまは自分たちがおもしろいもの、かっこいいって思うものを追求して、その結果、自分たちが見られなかった景色が見られる機会が訪れたらいいなと思っています。だから、強いて言うなら「見たことがない景色を見る」が目標ですね。

 

DATS

杉本亘(ヴォーカル/ギター)、伊原卓哉(ベース)、早川知輝(ギター)、大井一彌(ドラム)の4人組。2014年と、翌2015年の2年連続でサマーソニックに出演し話題を集め、同年デビューEP『DIVE』をリリース。また、Ykiki Beat、Yogee New Waves、LUCKY TAPESら同世代のバンドを招いた自主企画イベント「MUSIC WORLD」を開催し、その活動やライヴ・パフォーマンスが各方面より高い評価を獲得。杉本と大井は、yahyelのメンバーとしても活動しており、次世代のシーンを担う存在として現在注目を集めている。
http://www.datstheband.com/

 

 

 

文=中山夏美 撮影=高橋郁子

 

 

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