クラフトビールの街ポートランドで最近流行っている8つのこと

手前は「ソルトアーモンドチョコレートリング」。右は、1番人気の「コアントロークリームブリュレ」。奥にあるのは「アップルフリッター」。

  • 手前は「ソルトアーモンドチョコレートリング」。右は、1番人気の「コアントロークリームブリュレ」。奥にあるのは「アップルフリッター」。
  • アメリカ大使館のコンテストで優勝した”チキンガンボ”。リゾットに似た煮込み。スパイスがきいていて、おいしい!
  • 自転車通勤する人が多いので、荷物がたくさん運べるタイプが人気。

『FEEL PORTLAND』で調査!
全米一グルメな街の真相とは

自然と生活のつながりを大切にし、DIY、クラフトビール、サードウェーブコーヒー、リノベーション系ホテル、自転車通勤など、独自のカルチャーが注目を集めているアメリカ・オレゴン州の街ポートランド。

 

日本でも最近、生産地や豆の洗浄方法にまでこだわったサードウェーブ(スペシャリティ)系のコーヒー店がずいぶん増えましたし、クラフトビールや、リノベ系のホテルも昨今各地で盛り上がっています。こうした潮流は、数年前にポートランドの街からはじまり、またたく間にアメリカ、そして世界の都市に広まっていった「小さな生活革命」といえそうです。

 

そうだとすれば、“ポートランドの今”を知ることは、“私たちの未来”を知ることになるかもしれません。
そんなわけで、ポートランドの生活スタイルや食文化を体感できるイベント『FEEL PORTLAND』(2016年12月10日(土)・11日(日)/東京・二子玉川ライズ広場)を取材してきました。

いま、ポートランドで何がブームなのか? ポートランダーたちの食生活は? など、いまどきのポートランド・カルチャーを大調査。2017年に日本でも流行りそうな「食、モノ、コト」をご紹介します!

 

 

■ポートランダーの朝食はドーナツ+コーヒー

BLUE STAR DONUTS

 

「アメリカでベスト10のドーナツ店」といわれる人気ドーナツ・ショップ。2015年に日本にも上陸し、代官山、横浜、新宿に『カムデンズ ブルースタードーナツ』としてオープンしました。ブリオッシュ生地をベースに独自のレシピを開発。保存料、合成着色料を使わず、厳選した素材のみを使っていて、お酒を入れたドーナツもあるので、別名「大人ドーナツ」とも呼ばれています。ポートランド同様、日本でもすべて手作り。冷凍保存はせず、いつでもフレッシュな状態で提供しています。

BSDジャパンの柳井雄介さん(右)、長岡 陽三さん(中央)、能勢 愛梨さん(左)。

BSDジャパンの柳井雄介さん(右)、長岡 陽三さん(中央)、能勢 愛梨さん(左)。

手前は「ソルトアーモンドチョコレートリング」。右は、1番人気の「コアントロークリームブリュレ」。奥にあるのは「アップルフリッター」。

手前は「ソルトアーモンドチョコレートリング」。右は、1番人気の「コアントロークリームブリュレ」。奥にあるのは「アップルフリッター」。

オリジナルのバッグやTシャツなどを販売。こちらは日本限定。

オリジナルのバッグやTシャツなどを販売。こちらは日本限定。

 

「ポートランドでは、ドーナツは朝食なんですよ。朝、8時からオープンしているのですが、7時半には人が並んでる。朝、パンを買うのと同じ感覚なんですかね。コーヒー、クラフトビール、ドーナツは、ポートランドでもブームになっていて、どれもフランチャイズより個人店が多いです。個人でやっているからといっても、ライバルにならず、お互い楽しくやりましょうという考えで。ポートランドを盛り上げたい気持ちのほうが強いみたいですね。

最近、気になっているのは『Salt & Straw』というアイスクリーム店。ポートランド内に3店舗あって、行列ができているんですよ。

あとは、辛いものもブーム。うちのお店も、本店ではブルーベリーとハバネロパウダーのドーナツを提供しているんですが、それが大好評! スーパーでもいろんな種類のハバネロパウダーが売ってますよ」(柳井さん)。

 

 

■革命は『STUMPTOWN COFFEE ROASTERS』から始まった

PADDLERS COFFEE

 

ポートランドを代表するコーヒーロースター『STUMPTOWN COFFEE ROASTERS』の豆を取り扱う日本唯一の正規取扱店がこちらのお店『パドラーズ・コーヒー』。

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「PADDLERS COFFEE」代表の松島大介さん(右)と「LOVE ME AND MISO SOUP.」の福永耕士さん(左)。

 

「ポートランドには、もともとコーヒーショップが多いんですが、近年はそのクオリティの高さが向上している気がします。自分たちで豆を農園から直接取り寄せているコーヒーショップが、いちだんと増えていると思いますね。日本でも定番化してきましてけど、『STUMPTOWN COFFEE ROASTERS』では初期のころから販売している豆の袋に焙煎した日の日付を入れていました。ポートランドのコーヒーカルチャーの発信源になっているお店だと思います」(松島さん)。

 

 

■地域の食材を使って世界中の料理を楽しむ

navarre tokyo

 

「navarre」(ナヴァ―)は、2002年にポートランドでオープンし、2009年にはオレゴン州のレストラン・オブ・ザ・イヤーにも選出された人気店。「navarre Tokyo」は、2016年4月に東京・青山にオープンしました。日本国内の契約農家から旬の食材を取り寄せ、野菜を中心としたオーガニックメニューも提供。また、35種類を超える自然派オーガニックワインもそろえています。

 

エバンズ亜莉沙さん(左)、オーナーの森 敏さん(中央)、シェフの秋山祐輝さん。

エバンズ亜莉沙さん(左)、オーナーの森 敏さん(中央)、シェフの秋山祐輝さん。

アメリカ大使館のコンテストで優勝した”チキンガンボ”。リゾットに似た煮込み。スパイスがきいていて、おいしい!

アメリカ大使館のコンテストで優勝した”チキンガンボ”。「ガンボ」とは、煮込みの意味。米も入っていて、リゾットに近い。アーモンドを使って、とろみをつけているそう。スパイスがきいていて、おいしい!

 

「ポートランドは、移民が多いこともあって、いろんな国の食文化が混ざっています。その中で共通しているのは、『地域のものを使う』ということ。野菜でも何でも、地産地消にこだわっています。
猟師がシェフなんてこともありますね。フランチャイズよりも、個人経営の店を地域が応援していて、経営者と農家との関係性もいい。東京店も、本店と同じように農家さんとの関係を密にして、素材の良さを伝える料理を提供しています」(森さん)。

 

 

■狩猟肉料理(ジビエ)が人気

PORTLAND KITCHEN

 

ポートランドの食文化にインスパイアされたフードメニューを販売。今回は、ジビエを使ったハンバーガーやソーセージを提供していました。毎年、秋に開催されているフェス「New Acoustic Camp」にも出店しています。

 

スタッフの新納 平太さん(右)と塚本英理子さん(左)。

スタッフの新納 平太さん(右)と塚本英理子さん(左)。

マカロニチーズと鹿肉のパテを挟んだハンバーガー。肉汁がすごい!

マカロニチーズとシカ肉のパテを挟んだハンバーガー。肉汁がすごい!

 

「ポートランドには、こだわりのお肉でおいしいハンバーガーを出すダイナーがたくさんあります。ハンバーガーはポートランドの人たちのソウルフードみたいなものですね。こちらは、C.W.ニコルさんと共同開発したシカ肉のハンバーガーです。マカロニをチーズとトマトソースと絡めて焼いた、ボリューム満点のメニューですよ。日本でも流行っていますが、ポートランドでもジビエは大人気。提供しているお店も多い印象です。生産者とダイレクトに繋がっているレストランが増えているので、シンプルに調理して新鮮なまま食べる文化も発達しています」(新納さん)

 

 

■紅茶革命もポートランドが震源地!

STEVEN SMITH TEAMAKER

 

世界中のスターバックスで展開された「TAZOティー」の創立で知られる米紅茶界のカリスマ、スティーブン・スミス氏が、キャリア40年の集大成として立ち上げたプレミアムティーブランド。缶で売っているのと同じような、フレッシュな茶葉をそのままティーパックに入れているので、いつでもフレッシュなままのお茶が飲めます。

スタッフの佐藤幸恵さん(右)、藤村梓さん(中央)、熊井ことみさん。

スタッフの佐藤幸恵さん(右)、藤村梓さん(中央)、熊井ことみさん。

 

「アメリカというと、コーヒーのイメージが強いですが、実は紅茶も大人気。スターバックスでお茶を販売しはじめたのもあって、『スミスティー』は、その火付け役ともいわれています。ポートランドには、テイスティングルームが2つあって、目の前で専任の茶師が淹れてくれるんです。数種類のお茶を飲み比べできる『ティーフライツ』や専用サーバーで窒素を詰めながら注ぐアイスティーの提供も。ぜひ、ポートランドに行った際には立ち寄ってみてください!

あと、最近、ココナッツオイルに継いで話題となっているのは『ギー』というオイル。バターオイルの一種で、健康調味料として人気なんです。バターを凝縮したような香ばしい風味は、料理を一味違う味わいにしてくれますよ」(藤村さん)

 

 

■クラフトビールづくりに必須な3要素とは?

EZO BEERPDX TAPROOM

 

ポートランドの象徴でもあるクラフトビール。「ローグエール」などポートランドの人々からも大人気のローカルビールを販売している「えぞ麦酒」社長のフレッドさん。北海道・札幌在住歴30年以上だそうで、ポートランドと日本の両文化に精通しています。

 

えぞ麦酒の社長フレッド・カフマンさん。

えぞ麦酒の社長フレッド・カフマンさん。

1989年にオレゴン州のニューポートで誕生したローグビール。「グレイト・アメリカン・ビア・フェスティバル」で、何度もメダルを受賞している。

1989年にオレゴン州のニューポートで誕生したローグビール。「グレイト・アメリカン・ビア・フェスティバル」で、何度もメダルを受賞している。

 

「ポートランドには、クラフトビールにとって大事な三要素『麦、水、のんべぇ』の3つが揃っているからね(笑)。クラフトビールと普通のビールは、日本でいう、吟仕込の日本酒とワンカップぐらい味が違う。飲めばすぐわかると思うよ。ポートランドで飲むなら、『フードポット』といわれる屋台村がおすすめ。タイ、インド、メキシコとか多国籍の屋台があって、いろんなものが食べれるんだ。大人数で行って、シェアすると楽しいよ!」

 

 

■「軽トラ」代わりの「自転車トラック」

PDW(ポートランドデザインワークス)

 

オレゴン州ポートランド市に本拠を置く自転車用品メーカー。

 

森本禎介さん(右)、自転車選手の伊澤一嘉さん(左)。

森本禎介さん(右)、自転車選手の伊澤一嘉さん(左)。

自転車通勤する人が多いので、荷物がたくさん運べるタイプが人気。

自転車通勤する人が多いので、荷物がたくさん運べるタイプが人気。

 

「ポートランドの道路にはほぼ全域にバイクレーンがあります。自転車通勤をすると社食が割引になる、無料になるなどのサービスをしている企業もあるんですよ。シャワールームやロッカールームには服が乾くようにファンがついていたりして、社員に自転車通勤をすすめる動きが盛んですね。路面電車にも、自転車ラックがあるし、車よりも自転車移動をしている人のほうが多いんじゃないかな。
そういったこともあって、写真のような荷物がたくさん乗せられるタイプの自転車が人気です。いろいろカスタムすると、安くても30万円ぐらいしちゃうんだけど、これがけっこう売れているんです。ポートランドでは車と同じ使い方で自転車を使っているから、軽トラを1台買うみたいな感覚なんだと思います」(森本さん)

 

 

■ポートランド的DIY工房『ADX』。日本版もスタート!

Nishitokyo CRAFT BASE

 

2016年に10月に西東京市東伏見にオープンしたばかりの、ものづくりワークショップを中心としたコミュニケーションスペース。イベントでは、コーヒードリップスタンド作りのワークショップを開催していました。

 

KAY PLANNING代表の谷本健治さんとCRAFT BASE代表の小菅亜実さん(左)。

KAY PLANNING代表の谷本健治さんとCRAFT BASE代表の小菅亜実さん(左)。

 

「工務店を利用して、ワークショップができる場を提供しています。道具もすべて無料で貸し出していて、地域の人たちが気軽に集まれる場になればいいと思っています。ポートランドの『ADX』(ものづくりの共有スペース)の視察に行って、コミュニティの大切さに改めて気づきました。自治体に任せず、自分たちで『街をどうするか?』を考えて行動しているんです。ポートランド人にとって、街づくりもDIYの精神と似ているのかもしれませんね」(小菅さん)

 

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2016年12月10日・11日に東京・二子玉川ライズで開催されたイベント『FEEL PORTLAND』。おいしいものを食べ過ぎて、取材班一同まんぷくプクの助の巻でした(ポートランドのイベント取材だとよくあるんですが…)。

 

コーヒー、クラフトビール、ドーナツ、DIY、自転車、そして「コロンビア」「キーン」「ペンドルトン」に代表されるアウトドアライフ。ポートランド的な生活カルチャーがこんなにもあるのか! と改めて気付かされるイベントでした。 

 

「BLUE STAR DONUTS」の柳井さんいわく「日本に出店したいと言っているコーヒーショップやドーナツ店の話は、次々出ている」とのこと。これからも、ポートランド発祥のカルチャーから目が離せませんね。

 

文=中山夏美 撮影=関口佳代