※古い時代の商品を紹介している関係で、一部見づらい写真があります。ご了承ください。
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アウトドア神ブランド大辞典 「ギア編」後編
100年変わらぬ造形美の圧力式ランタン

1917年、前身のEhrich&Graetz社が、加熱した灯油をジェネレーターで気化させ燃焼させる高輝度の圧力式灯油ランタンを開発。これが後の名品HK500の原型となった。1920年には創業者マックス・グレーツの愛称と名を冠した「ペトロマックス」が誕生。ドイツらしい質実剛健さと、時代に流されず培われたその独自の気化技術が、今も世界中のファンを魅了し続けている。
創業:1920年
問い合わせ先:スター商事 TEL:03(3805)2651

ブランド誕生前夜、1906年製の家庭用灯油ランプ。19世紀から続くランプ作りのノウハウが、後の屋外用ランタンに繋がっていく。
HK500
¥41,800

日本上陸当初は不具合が続出。代理店による修理後の販売という苦闘が7年も続いた。だが品質改善を経た今、美しきじゃじゃ馬と称される手のかかる構造こそが、愛着を生む最大の個性となっている。
質実剛健のモノ作りで冒険家を支えて1世紀

1892年、工業機械メーカーで働いていた創業者ヴィルヘルム・リンドクヴィストは、当時の人々が悩んでいたストーブの煤問題を解決すべく、燃料を圧縮・気化して燃焼させる画期的な技術を開発。ラテン語で「最初の、第一の」を意味する「プリムス」と名付けられたそのストーブは、燃焼器具の歴史を塗り替える一歩となった。
創業:1892年
問い合わせ先:イワタニ・プリムス TEL:03(3555)5605

煤で人々の生活が苦しめられていたとき、ヴィルヘルムの発明した「プリムス」は革命的な製品となった。

ヒラリーや植村直己ら、数々の冒険家を支えた信頼の火。極限地でこそ真価が発揮される。

煤の悩みから解放した革新的なプリムスストーブ。クリーンな燃焼が、野外調理のスタイルを劇的に進化させることとなる。
2243クラシックトレイルストーブ
¥9,350

1985年のイワタニ・プリムス設立時に誕生した「2243バーナー」は、スウェーデンの伝統技術と日本の知見が融合した共同開発モデル。
数々のロングセラーを生み出すULテントの元祖

登山用品メーカー「アライテント」として創業し、「人力移動の道具を作ること」を理念に商品開発を行なう。創業者の新井睦は1960年代に現在のほとんどのツェルトの原型となる「床付きツェルト」を開発。’84年自立式ツェルトを作成し、翌年そのゴアテックスモデル「ゴアライズ」を発表。その画期的な軽量テントは昨今のULテントブームのさきがけ的存在である。
創業 :1982年
問い合わせ先:アライテント TEL:04(2944)5855

1984年に登場したのが自立するツェルト「ライズ1」。これを元に軽量テント「ゴアライズ」、「エアライズ」が生まれていく。

1987年登場の「エアライズ」。日本の山岳テントのスタンダードとして40年近くにわたり人気を博する名品。
ライトエアライズ1
¥67,100

エアライズがパワーアップして新登場。300g軽量化され、1人用で重さは1.04kg。「カヤライズ」や「DXフライシート」といった豊富なオプションも特徴だ。
ボーイングの技術者が挑んだ最高の眠り

ボーイングの技術者ジョン・バロウズら3人によって創業。友人のジムが庭仕事中にクッションから空気が抜ける音を聞いた瞬間、気密生地で包み空気圧を調整する自動膨張式マットのアイデアが誕生。バックパッカー誌で史上最高のアウトドア発明5選に選ばれるなど、屋外の眠りに革命を起こした。
創業 :1972年
問い合わせ先:モチヅキ TEL:0256(64)8282

登山家でもあったジョン。彼がフィールドで感じた「もっと快適に眠りたい」という渇望が、ブランドの原動力となった。

米国内生産にこだわり、修理も製造現場と同じ技術で行なう徹底ぶり。日本でも燕三条製の点検設備を駆使し、本国同等の万全な修理体制を用意。

1972年に誕生した世界初の自動膨張式マット。地表の冷えと凹凸を解消し、野外の眠りを劇的に変えた。この一台からサーマレストの歴史が始まった。
1㎜の改善を積み重ねる精緻な内部へのこだわり

1884年創業。1897年、現在のマルチツールの祖となる「オフィサーナイフ」で特許を取得した。ブランド最大の真骨頂は、分解しなければわからない「見えない改善」にある。1㎜単位のバネ調整など、内部構造を日々進化させていく徹底したこだわり。その積み重ねが、他社の追随を許さない究極の精度と信頼を生んでいる。
創業 :1884年
問い合わせ先:ビクトリノックス ジャパン https://www.victorinox.com/

創業者のカール・エルズナー。亡き母ビクトリアへの敬愛をブランド名に刻み、世界で愛される赤いナイフの礎を築いた人物。

1930年当時の製造風景。1㎜の精度を追求する、見えない改善の精神は、このころから既に脈々と息づいている。

1897年に特許を取得した「オリジナル・オフィサー・アンド・スポーツナイフ」はまさにマルチツールの原点。この機能美は、後にMoMAの永久収蔵品にも選ばれた。
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スパルタン
¥3,850

原点の形を色濃く残している現行の「スパルタン」。その普遍的なフォルムに、140年分の見えない進化が凝縮されている。
熊でも壊せない破壊不可能なクーラー

2006年、テキサスで幼少期から狩猟や釣りに明け暮れた兄弟によって創業。当時の市販クーラーは、ひび割れや故障が原因で活動を切り上げざるを得ないものばかりだった。「壊れない道具があれば、長くフィールドにいられる」という切実な願いから、世界最強の耐久性を目指す挑戦が始まった。代表作「タンドラ」は、爆破や猛獣の攻撃にすら耐えうる堅牢性を誇る。
創業 :2006年
問い合わせ先:イエティ・ジャパン https://yeti.co.jp
クーラーボックス タンドラ45
¥61,380

ブランドの象徴「タンドラ」は、継ぎ目のない一体成型による圧倒的な剛性が最大の特徴。「フィールドに長く留まりたい」という創業者の願いを形にした、プレミアムクーラーの先駆者だ。

イエティの凄みは、猛獣でも壊せない過剰なまでのタフさにある。過酷なテストで自ら堅牢性を証明し続ける愚直な姿勢と圧倒的な自信こそが、唯一無二のブランド力だ。
無駄を削ぎ落とした美しき合理性と機能美

2018年に小杉敬氏が長野県の松本市で創業。「ハイスペック&ロープライス」を掲げ、価格高騰が続く市場に一石を投じたブランドだ。30年の経験と緻密な戦略を武器に、全財産を投じて開発した初期モデルは、圧倒的な機能美と適正価格で瞬く間に市場を席巻。現場での検証を徹底する実践主義を貫き、理想のアウトドア道具を追求し続けている。
創業 :2018年
問い合わせ先:ゼインアーツ info@zanearts.com

拠点を松本に置くのは、アイデアが生まれる環境を重視するため。フィールドに隣接し、圧倒的スピードで製品の改良・検証を行なっている。
ロガ4

創業時の初期モデルのひとつ。山岳テントの構造をベースに、耐風性と居住性を両立した。緻密な設計により、過酷な環境下でも快適に過ごせる。
ゼクーM
¥69,800

創業の覚悟を体現した旗艦モデル。独自のフレームで空間の広さを実現し、機能美と居住性を両立。現場主義と適正価格を貫く、まさにブランドの原点だ。
※構成/風間 拓、中山夏美
(BE-PAL 2026年4月号より)




