羊の目線を感じて歩く英国トレイル ~ワーズワースの故郷へ~ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2019.03.25 イギリス横断人気トレイルC2Cを歩く!

    DAY 3【Borrowdale to Grasmere 総距離14.5 km】

    イタタタ。膝やらかかとの靴擦れやら身体のあちこちにガタがきはじめている。とはいえ、逆に体力も多少付いてきて、身体に痛みはあれど怠さはなく、結果プラスマイナスゼロ、といった感じだ。

    小雨が降る中、テントを撤収。

    キャンプサイト内に納屋があり、パッキングは室内でできるのでありがたい。朝ご飯をゆっくり食べる人も。

    B&Bはもちろん快適だけれどイギリスの朝食は気合いが入っているので、ついつい沢山食べねばと思い、かえって一日のスタートがゆっくり目になってしまうデメリットもある。一方、キャンプは、それがないため、早い時間帯に、かつ身体が軽いままスタートできるメリットがある。

    苔生した石壁沿いを歩き、Borrowdale valleyを目指す。

    渓谷を流れるせせらぎは時に落差によって小さな滝の様になる。

    ケルンや滝の目印を進みながらLining Cragという岩山を目指す。

    時折、視線を感じて辺りを見回すと、つぶらな瞳がこっちを見ている。

    じーっと見つめ合い、まるで会話をしているようだ。

    続々とでこぼこした地形を縫って、ハイカー達が登ってくる。

    Greenup Edgeへと、500メートル程標高を上げて行った先には雄大な景色が。

    時折沼地が出てきて、足を踏み入れると、膝上までズボズボズボっと潜ってしまう箇所が多々ある。

    こうした時、ウォーキングポールがあると、泥沼から這い上がるのに役立つ。

    標高を上げて、尾根を歩くルートと谷の川沿いを歩く2ルートがあり、尾根ルートは+2時間、3.2時間かかる。後々のことを考え、私たちは川沿いを歩く事に。

    万里の長城のミニチュアのように時折見える、長く連なっている石塀。

    渓谷を抜け、Easedaleの集落に到着。イギリスの田舎の村は石が多用されているので、山の中から生活圏に入っても、さほど違和感がない。

    集落を抜け、本日のゴール地点、湖水地方をこよなく愛した18世紀のイギリスの詩人、ワーズワースも暮らしていたというGrasmereを目指す。

    今夜の宿、グラスミアYH。

    魔法の言葉「ラブリー」なムードに包まれて

    チェックインカウンターには、ジョディー・フォスター似のリズが私たちを迎えてくれた。

    私「今日から一泊、予約をしています」

    リズ「ラブリー♡!では、パスポートを提示してくれる?」

    私「はい、どうぞ」

    リズ「ラブリー♡!それでは、ここにサインをして」

    私「はい」

    リズ「ラブリー♡!!!!」

    こうしてどんなに平凡なことでもイギリス人が連発する魔法の言葉「ラブリー♡」によって、なんとなくそんな気分になるのだから不思議だ。

    予約した部屋に入ると、小さな2段ベッドが2つ、 マットレスもプラスチックの運動マットのようで実際はあまりラブリーではなかったが、立派な共有キッチンを使って自炊ができるのはユースホステルならではでありがたい。今夜はスーパーに買い出しをして自炊だ!

    まだ時は4時半過ぎ。8月下旬のこの時期は8時半頃までは明るいので、湖水地方で一番観光客が多いとされているGrasmereの村をしばし散策することに。

    湖水地方ならではのスレートと呼ばれる石を使った趣のある建物が見られる。

    Coast to Coastの絵葉書は迷わずゲット。

    ここGrasmereはワーズワースの故郷として有名なだけでなく、ここでしか買う事ができない、とっておきのご当地スイーツ目当てに訪れる人もいるという。その名はグラスミア・ジンジャーブレッド。

    ハイシーズンや観光バスの時間と重なると、行列ができるほど大人気。

    花より団子の私は、ワーズワースのお墓参りより、ジンジャーブレッドショップへ直行。 毎日休まずに営業しているというお店は想像していたよりも小さい。通常、食料品には材料の内容などが記載されているが、ここのジンジャーブレッドの包み紙には何も書いていない。1854年にセーラ・ネルソン夫人が作り出して以来、ずっとレシピは極秘のままで、従業員でさえ教えてもらえない、とレジの店員は話してくれた。

    「お前も知らないんだろー?」と厨房にいた同僚にふざけて聞いてくれ、返ってきた返事は本当か嘘か、「俺も全くわからないで作っているよ!」であった。

    店員さんたちは皆気さくでフレンドリー。

    そんな摩訶不思議のジンジャーブレッド。口に入れた瞬間、ショウガやシナモンの香りが広がりつつ、さっくりしながらムニュっとした食感がなんとも不思議でいてやみつきになりそうになる。血糖値も盛り返したところで、スーパーでジャガイモ、カレールー、トマトとサラダミックスを買い、宿に戻って夕食の準備に取りかかる。

    サラダを食べる直前にパリパリとポテトチップスを砕いて入れるといい食感が楽しめる。

    久しぶりに食べる生野菜は酵素たっぷりで身体が喜んでいるのを実感。シャワーを浴び、スッキリ爽やかリセットして、また明日の冒険に備える。明日もどうかラブリー♡な一日になりますように!

    (実際歩いた距離19.2km、万歩計30,935歩)

    写真・文/YURIKO NAKAO

    プロフィール
    中尾由里子

     東京生まれ。4歳より父親の仕事の都合で米国のニューヨーク、テキサスで計7年過ごし、高校、大学とそれぞれ1年間コネチカットとワシントンで学生生活を送る。
    学生時代、バックパッカーとして世界を旅する。中でも、故星野道夫カメラマンの写真と思想に共鳴し、単独でアラスカに行き、キャンプをしながら大自然を撮影したことがきっかけになり、カメラマンになることを志す。
    青山学院大学卒業後、新卒でロイター通信社に入社し、英文記者、テレビレポーターを経て、2002年、念願であった写真部に異動。報道カメラマンとして国内外でニュース、スポーツ、ネイチャー、エンターテイメント、ドキュメンタリーなど様々な分野の撮影に携わる。
    休みともなればシーカヤック、テレマーク、ロードバイク、登山、キャンプなどに明け暮れた。
    2013年より独立し、フリーランスのカメラマンとして現在は外国通信社、新聞社、雑誌、インターネット媒体、政府機関、大使館、大手自動車メイカーやアウトドアブランドなどから依頼される写真と動画撮影の仕事と平行し、「自然とのつながり」、「見えない大切な世界」をテーマとした撮影活動を行なっている。
    2017年5月よりオランダに在住。

    好きな言葉「Sense of Wonder
    2016 Sienna International Photography Awards (SIPA)  Nature photo 部門 ファイナリスト
    2017  ペルー大使館で個展「パチャママー母なる大地」を開催

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