
冬キャンプの寒さ対策は「100均」でどこまでできる?
冬キャンプは、焚き火や満天の星空など、ほかの季節では味わえない魅力が詰まっています。しかし、夜間の冷え込みは厳しく、特に初心者にとって防寒対策は最大の壁です。そんな中で注目を集めているのが、100円ショップの防寒グッズ。手軽でコスパの高い防寒用品が、多くのキャンパーに支持されています。
たとえば、ダイソーの公式オンラインストアでは「アルミブランケット」や「フリースブランケット」などの冬向け商品を数10種類展開しています。また、セリアでは肌触りの良い「ネックウォーマー」や「ボア靴下」、キャンドゥでは折りたたみ可能な「耳あて」や「膝掛け」などが季節限定で並びます。
これらの製品はいずれも、価格が安い上、素材もポリエステルやアルミ蒸着シートなど軽量・保温性を重視した構造になっています。ただし、用途や組み合わせを誤ると効果を十分に発揮できない場合もあるため、実際に使ってみたうえでの比較が欠かせません。
そこで本記事では、ダイソー・セリア・キャンドゥの代表的な防寒アイテムを記者が実際に使用。徹底比較し、初心者が冬キャンプで安心して使える、本当に使える100均防寒グッズを紹介します。
【ダイソー編】足元から暖かい、機能派防寒アイテムの実力
冬キャンプでまず頼りになるのが、ダイソーの防寒アイテムです。公式オンラインストアでは「冬のあったかグッズ」特集が公開されており(執筆時点)、靴用インナーソールやブランケット、手袋など、幅広いラインナップがそろっています。中でもおすすめなのが、吸湿発熱インナーソール(暖ソール)、フリースブランケット、ケーブル編み風手袋の3点です。いずれも価格は110〜330円と手頃で、機能性とコスパのバランスに優れています。
吸湿発熱インナーソール

日本製の「吸湿発熱インナーソール」は、靴の中でじんわり暖かさを感じられる高機能中敷きです。指定外繊維「サンバーナー(アクリレート系)」を使用し、ウールの約3倍の吸着熱を発生させるとされています。湿気を吸収して熱を生み出す仕組みで、足先の冷えを軽減してくれます。
また、抗菌防臭加工が施されており、長時間の着用でも蒸れにくく快適な上、カットライン付きなので、靴のサイズに合わせて調整可能です。実際に使用したところ、ブーツ内でも厚みが気にならず、地面からの冷えを感じにくくなりました。ただし、洗濯や水洗いは不可で、火気や高温環境では変形する可能性があります。
濡れた靴のまま使用すると発熱効果が下がるため、乾いた状態で使うのがポイントです。
フリースブランケット

次に注目したいのが「フリースブランケット」。素材はポリエステル100%で、ふんわりとした軽さと柔らかさが特徴です。サイズは70×100cmから大判まで数種類があり、ひざ掛けや肩掛けとして活躍します。洗濯可能で速乾性があり、家庭でもメンテナンスが容易。肌触りが良く、持ち運びや収納時もかさばらないため、ソロキャンプやデイキャンプに最適です。サイズなどのタイプによって価格帯は110〜330円と幅がありますが、どのタイプもコスパが高い印象でした。
ケーブル編み風手袋

「ケーブル編み風手袋」は、ダイソーのファッション雑貨カテゴリーで定番となっている人気商品。裏起毛仕様で手首までしっかり覆い、指先なしタイプのため、焚き火や調理時にも使いやすい設計です。実際に使用したところ、厚みはやや控えめですが、指先の自由度が高く、作業中でもストレスを感じませんでした。
総評:入手性と実用性のバランスが高い
これまでダイソーの防寒といえばブランケットやアルミシートが主流でしたが、吸湿発熱インナーソールの登場で、足元の冷え対策が格段に進化しました。ブランケットや手袋と組み合わせれば、全身を効率よく保温できます。110円という低価格ながら、日本製で抗菌防臭機能付き。素材にサンバーナー繊維を採用した本格仕様は、100均=簡易ギア、という印象を覆すクオリティです。
冬キャンプ初心者がまずそろえるべき“足元防寒アイテム”といえるでしょう。
【セリア編】軽くて暖かい、シンプルなフリースの魅力
セリアは、デザイン性と素材感にこだわった防寒アイテムがそろうブランドです。公式サイト(セリアグループ公式)では個別商品ページはありませんが、店舗情報や季節カタログ更新(2025年8月版)により、冬向けの小物類が各地の店頭で販売されていることが確認できます。
特におすすめなのが、「フェイスカバー」と「レッグウォーマー」。どちらも素材はフリースやボア生地を中心に構成され、軽量で肌にやさしい仕上がりが特徴です。
フェイスカバー

セリアのフェイスカバーは、フリース生地を使用したシンプルなデザイン。裏面までしっかり起毛しており、首元をやさしく包み込むような保温性があります。実際の店頭商品では、「無地・チェック柄・リバーシブルタイプ」などが並んでおり、男女問わず使いやすいカラーバリエーションが特徴です。
柔らかく通気性も良いため、キャンプだけでなく通勤や屋内作業にも重宝します。キャンプ中は寝る前に装着しておくだけで、冷え込みによる喉の乾燥を防ぐ効果が感じられました。
フリースブランケット

続いては、セリアの「フリースブランケット(約50×70cm)」です。サイズは小さめながら、軽量で扱いやすく、アウトドアチェアの背もたれやひざ掛けにちょうど良い大きさです。素材はポリエステル100%。生地はふんわりとした手触りで、短時間でもしっかりと保温性を感じます。
たたむと非常にコンパクトになり、バックパックの隙間やポケットにも収納可能でした。洗濯後も乾きが早く、繰り返し使える点も魅力です。110円という価格を感じさせない品質で、家庭でもキャンプでも「使い勝手のよい1枚」といえます。
総評:デザイン性と手軽さが光る防寒小物
セリアの防寒シリーズは、派手さよりも軽さ・清潔感・シンプルなデザインが特徴です。ネックウォーマーとフリースブランケットを組み合わせることで、首元と体をバランスよく保温でき、冬の屋外でも快適に過ごせます。カラー展開も豊富で、他の100均と比べて統一感があるため、ファッションとしても取り入れやすい印象でした。
キャンプ初心者が、まずは軽い防寒を試したい、というときに最適なアイテムです。
【キャンドゥ編】小さくても頼れる“隠れ防寒ギア”
キャンドゥは実用性を重視した生活雑貨が多く、冬の防寒アイテムも機能性に優れた製品がそろっています。公式オンラインストアでは「防寒グッズ特集」が公開されており(執筆時点)、アルミ系シートやブランケット、レッグカバーなどがカテゴリー別に紹介されています。
アルミブランケット

軽くて薄いアルミブランケットは、持ち運びがしやすく、防災やアウトドアの両方で活躍します。素材はPETアルミ蒸着フィルムで、体温を反射して熱を逃がさない構造。キャンプでは、就寝時に寝袋の下や背面に敷くだけで、地面からの冷気をしっかり遮断してくれます。使用した際は、朝方の冷え込み時でも背中の寒さをほとんど感じず、軽量ながら効果を実感できました。
折りたたむと手のひらサイズになるため、非常用としても携行しやすいアイテムです。注意点としては、通気性が低く湿気がこもりやすいこと。長時間の使用では結露が発生する場合があるため、フリースなどの布地と重ねて使うと快適です。
膝掛け

キャンドゥの「2WAYアーム&レッグカバー(OTONAシリーズ)」は、店頭限定で販売されている(執筆時点)大人向け防寒アイテムです。名称の通り、アームカバーとしてもレッグウォーマーとしても使える2WAY仕様が特徴。価格は330円です。
素材は店頭タグの情報からアクリルやポリエステルを含むニット生地系とみられ、伸縮性があり、肌触りもやわらかいのが特徴です。実際に使用したところ、足首からふくらはぎをしっかり覆い、テント泊や早朝の冷え込み時にも保温性を感じました。
また、デザインが落ち着いているため、アウトドアだけでなく日常使いにも自然に馴染みます。軽く折りたためてかさばらず、防災用バッグにも収納しやすい点も便利です。
※本製品は季節限定の「OTONA」シリーズに属するため、オンラインショップには掲載されていない場合があります。購入の際は実店舗での防寒コーナーが確実です。
総評:地味ながら頼れる“サブ防寒ギア”
キャンドゥの防寒アイテムは、他社と比べて目立たないながらも堅実な作りが印象的です。アルミブランケットで地面の冷気を遮断し、布製ブランケットで体を包むことで、気温が下がる夜間でも快適に過ごせます。また、価格が110〜330円と幅広く、組み合わせることで用途を広げられるのも強みです。防災バッグに入れておいても邪魔にならず、小さくても確かな防寒力を感じられるシリーズです。
3社の防寒グッズを比較! 一番使えるのは?

ここまで見てきたように、ダイソー、セリア、キャンドゥの3社はいずれも手軽に使える防寒グッズを多数展開しています。価格帯はすべて110〜330円で、初心者でも気軽に手に取れる点が共通している一方、各社で「得意なジャンル」と「使い勝手の方向性」には明確な違いが見られました。
比較表:主要防寒アイテムの性能まとめ
| 比較項目 | ダイソー | セリア | キャンドゥ |
| 主なアイテム | 吸湿発熱インナーソール(暖ソール)、フリースブランケット、手袋 | フェイスカバー、フリースブランケット | レッグウォーマー/アルミブランケット |
| 使いやすさ | ◎ サイズ展開豊富 | ◎ 柔軟性あり | ○ 軽量 |
| デザイン性 | ○ 実用重視 | ◎ 柄・カラー展開が豊富 | ○ シンプル |
| コスパ | ◎ 多機能で安価 | ○ 素材に対して妥当 | ◎ 用途に対して安価 |
| 総合評価 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐ |
各社の強みと向いているユーザー層
ダイソー:防寒性能と汎用性の高さが光るアルミ保温ブランケットやフリース製品の性能が安定しており、特に屋外キャンプでの使用に向いているため、一つで何役もこなせるギアを求める人に最適です。
セリア:デザイン性と肌触りを重視する人に柔らかい素材感や色柄の統一感が魅力で、屋内キャンプやデイキャンプ、車中泊にぴったりです。ファッション性と快適性のバランスを重視する人に向いています。
キャンドゥ:軽量・携帯性を求めるミニマム派にアイテム数は限られますが、耳あてや膝掛けなど、ちょっとした寒さを和らげる補助アイテムがそろっています。防災やバックアップ用途として持っておくと安心です。
冬キャンプ初心者が「100均の防寒グッズ」を使うときの注意点
100均防寒グッズは手軽で便利ですが、使い方を誤ると十分な効果を得られなかったり、安全面で問題が生じることもあります。ここでは、実際の使用経験と製品仕様(素材情報)に基づいて、初心者が気をつけておきたいポイントを整理します。
① 火気の近くで使用しない
ダイソーやセリアのブランケット類、ネックウォーマーなどは、ポリエステルやアクリルといった合成繊維で作られています。これらの素材は軽くて暖かい一方、高温に弱く、火の粉で簡単に溶けるという特性があります。焚き火やガスバーナーを扱うときは、火元から十分に距離をとりましょう。
特にアルミブランケットは燃えやすいわけではないものの、炎に近づけると溶解や変形を起こす場合があります。焚き火の前でひざ掛け代わりに使うといった使い方は避け、テント内や休憩時の防寒に限定するのが安全です。
② 結露・湿気に注意する
アルミブランケットは防風・断熱効果に優れていますが、通気性が低く、湿気がこもりやすいのが弱点です。就寝時に直接肌に触れるように使用すると、汗や呼気による水滴が内側にたまり、結果的に体温を奪ってしまうことがあります。このため、アルミブランケットは寝袋の下敷きや、テント床の断熱層として使うのが理想です。肌に触れる部分にはフリースや綿素材を挟むことで、蒸れを防ぎつつ保温効果を高められます。
③ 湿った状態での使用は避ける
ポリエステル製ブランケットやボア靴下などは、吸湿性が低く、一度濡れると乾きにくい性質があります。結露や霜で濡れたまま使うと冷えを助長し、かえって体温を下げる原因になります。特に足元の冷え対策には、乾いた靴下を常に1組予備で持つことが大切です。
夜間は地面からの湿気を避けるため、マットや断熱シートの上で使用するようにしましょう。
④ 使い捨て感覚ではなく「使い分け」が大切
100均防寒グッズは価格が安いため、つい使い捨て感覚で扱われがちです。しかし、素材自体は十分に耐久性があり、用途に応じて組み合わせることで長く使うことができます。たとえば、ダイソーのアルミブランケット+セリアのネックウォーマーというように、複数のブランドを併用すれば保温性を高められます。
安価でも、使い方次第で性能を引き出せるのが100均ギアの魅力です。
⑤ 公式情報で素材・注意書きを確認する
100均商品の多くは、パッケージに素材名や使用上の注意が記載されています。特にダイソーやキャンドゥの公式オンラインストアでは、「火気厳禁」「湿気を避ける」などの注意事項が明確に掲載されています。購入前にこれらを確認し、実際の使用環境に合ったものを選ぶことが重要です。
安全な使い方こそが“コスパの本質”
100均の防寒グッズは、正しい使い方をすれば十分な防寒性能を発揮します。一方で、安いからこそ注意深く扱うという意識が欠かせません。素材や構造の特性を理解し、安全な距離・湿度管理を心がけることで、コスパと安全性を両立した冬キャンプが楽しめます。
100均防寒で「冬キャンプの第一歩」を快適に
冬キャンプ初心者にとって、100均防寒グッズは手軽に試せる最初の一歩です。高価な装備をそろえる前に、まずは身近なアイテムで寒さ対策を実践してみましょう。その体験が、次のステップ――より快適で安全な冬キャンプへの扉を開いてくれます。








